脳波はどのように記憶形成に関与しているのか
脳は絶え間なく電気信号である脳波を生み出していて、脳波は長い間ニューロンの活動による副産物だと考えられてきました。しかし、MITの研究により、ある2つの脳の部分が異なる脳波を発生させ記憶形成に重要な役割を果たしていることが明らかにされました。
How brain waves guide memory formation | MIT News
http://newsoffice.mit.edu/2015/brain-waves-guide-memory-formation-0223
MITの神経科学者であるアール・ミラーさんの研究は、学習能力に関わる脳の器官である海馬と前頭前皮質が異なる2つの脳波を発生させており、無関係なものを結びつける記憶形成に重要な役割を果たしていることを明らかにしています。
研究では、意識的に思い出す記憶である顕在記憶の形成についての実験を行いました。実験は名前・顔・場所・イベントといったものを結びつけるもので、動物に写真のペアを見せて記憶させ、問題に正解すると報酬を支払い、間違えた場合にはブザーを鳴らすというもの。この実験で動物が写真を記憶している際に、海馬と前頭前皮質から脳波を検知しています。
実験の結果、問題に対する推論が正しい場合と間違った場合の反応によって、異なる脳数が発生していたことがわかりました。推論が正しい場合は脳波はベータ波で、推論が間違っている場合は脳波がシータ波となっていました。
これまでの研究では、ベータ波が記憶のニューロン間の結びつきを強め、シータ波がニューロン間の結びつきを弱めるという結果があり、同じことが今回の実験でも起こっていて、正解の推測の場合はニューロンの結びつきを強め、不正解の推論の場合は間違っていることを忘れようとニューロンの結びつきを弱めていると、ミラーさんは考えています。
なお、MITの神経科学者であるミラーさんは、電気刺激によりベータ波を発生させ、学習能力をブーストさせることが可能か、についても研究を行っています。
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