サイエンス

悪夢を見ることによって人は現実の恐怖に強くなることが判明

by amenic181

眠っている時に見る「夢」の持つ意味や、人に与える影響は、2019年の時点でもわかっていない点が数多く存在します。新たな研究では悪夢を見ている時に活性化する脳領域が特定されるとともに、夢が現実の「恐怖」に対する反応を変えることが示されました。

Fear in dreams and in wakefulness: Evidence for day/night affective homeostasis - Sterpenich - - Human Brain Mapping - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/hbm.24843

How our dreams prepare us to face our fears | EurekAlert! Science News
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-11/udg-hod112519.php

2019年11月に発表された研究で、研究者は18人の被験者の頭部に脳波の電極を256個取り付け、夜間の睡眠中に何度か覚醒させるという実験を行いました。被験者は起こされる度に「夢を見たか」「夢の中で恐怖を感じたか」といった質問を受けたとのこと。


上記のような質問への回答と、脳の活動を照らし合わせた結果、研究者は夢の形成に反応する脳の領域を発見しました。このとき同時に、夢の中の内容にあわせて特定の脳領域が活性化することも判明したとのこと。

研究者が被験者の反応をベースに脳を分析したところ、夢の中で経験する恐怖に誘発され活性化することがわかったのは、島皮質前帯状皮質という2つの脳領域。島皮質は覚醒時における感情評価に関係しており、恐怖を感じた時に自動的に活性化します。一方、前帯状皮質は脅威に直面した際の運動反応や行動的反応の準備に関係している部分です。研究を行ったジュネーブ大学およびジュネーブ大学病院の研究者らは「私たちは眠っている最中の『恐怖に相関した脳活動』を世界で初めて識別し、眠っている時でも起きている時でも恐怖を体験すると同様の場所が活性化することを観察しました」と述べました。

by ktsimage

さらに、研究者は「眠っている最中の恐怖」と「起きている時の感情」の関係を探るため、89人の被験者に1週間にわたって夢日記をつけてもらいました。被験者は毎朝起きた時に覚えている夢の内容と、それに対する感情を記録し、最終日にはMRIで脳スキャンを受けたとのこと。脳スキャンの際には被験者に暴行の様子などを描いた「感情的にネガティブな写真」と「ニュートラルな写真」を見せ、恐怖に反応する脳領域を確認すると共に、1週間の夢で経験した感情が、活性化する脳領域を変化させるかを調査しました。

島皮質や扁桃体前頭前皮質、前帯状皮質といった脳領域はこれまでの研究から感情の制御に関係していると示されています。研究者が新たに発見したのは、夢の中で恐怖を長く経験するほど、被験者がネガティブな写真を見たときにこれら脳領域が示す活性化の度合いが小さくなるということでした。加えて、恐怖に直面した時に扁桃体の活動を阻害する前頭全皮質の活動は、悪夢が増加するほどに増えることが示されました。

これらの実験結果は、「夢の中で経験した感情」と「現実で私たちが経験する感情」の間の強い繋がりを示していると研究者は主張しています。そして、ここから研究者は「人は覚醒時によりよい反応を示すために、夢の中で恐ろしい状況をシミュレーションしている」と仮説を立てています。「夢は、将来の反応のための訓練であり、私たちが現実で危機に直面した時の準備をしてくれている可能性があります」と研究者は述べました。

by NomadSoul1

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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