長期にわたるストレスが脳を縮め、認知症を引き起こす可能性が指摘される

長期間にわたるストレスがトリガーとなって分泌される化学物質が、脳に対して有害である可能性が高まっています。ここで言う「長期間にわたるストレス」の例としては、愛のない結婚生活や仕事上の行き詰まり、過去の経験から来る精神的トラウマなどです。
Prolonged stress 'can shrink the brain' and even lead to dementia | Mail Online
今回発表された研究の結果として、ストレスにより分泌されるコルチコイドという物質が長期間、高い濃度で脳に作用し続けた場合、脳細胞を破壊してしまう可能性が示されています。かといって、コルチコイドは毒などではなく、ストレスのかかる状況下での恐怖に対抗するための反応である「攻撃・逃避反応」を手助けし、交感神経を刺激して血糖値を向上させる物質です。
記憶の一部を司る脳の部位・海馬は特にコルチコイドに敏感な性質を持っているため、長期間にわたるストレスは海馬の脳細胞を破壊し、認知症を発症させる可能性もあるとされています。
今回の発見のきっかけとなったのは、2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件。とある医師がウォール街にオフィスを構えていた会社の社長を治療する際に脳をスキャンしたところ、海馬が認知症にかかった高齢者と同じくらいに縮んでしまっているのを発見しました。

ニューヨークのアルバート・アインシュタイン医学大学で精神医学を教えているT Byram Karasu教授は「あの社長の例だけではサンプルサイズがあまりに少ないため、ここから結論を導き出すことはできません。しかしながら、ストレスが海馬に影響を与えてしまったと言うことはできるかと思います」と、ストレスが脳、特に海馬に与える影響について言及しています。
この研究に類する先行研究としては、軍人を対象にしたものと、一般女性を対象にしたものがあります。前者はサンフランシスコ復員軍人援護局医療センターが行ったもので、戦争で精神的外傷を受けた在郷軍人について調べたところ、他の軍人と比べて脳が著しく縮小していたことを確認したとのこと。
後者の一般女性を対象にした研究は昨年行われたもので、中年の女性の中でもストレスを感じる状況に繰り返しさらされた人は、そうでない人よりも認知症にかかる確率が2倍にふくれあがったという結果が出ています。ストレスが脳の縮小に与える影響については研究が進められているようですが、それをいかにして食い止めるかという解決方法の発見も待たれるところです。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log
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