メモ

ジョブズ亡き後のAppleを担うデザイン統括責任者ジョニー・アイブの考え方


Appleのインダストリアルデザイングループ担当上級副社長であるジョナサン・アイブは、iPhoneを含む多くのApple製品のデザインを手がけたことで知られる、世界で最も優れたのデザイナーの一人であり、スティーブ・ジョブズ亡き後のAppleを率いていくリーダーとしての役割が期待されている人物です。アイブはAppleが公開しているムービーを除けばあまり人前に登場しないことでも知られていますが、母国イギリスの新聞Sunday Times紙のロングインタビューに応じて、デザインに対する考え方などを話しています。

Jonathan Ive: The man behind Apple | The Sunday Times
http://www.thesundaytimes.co.uk/sto/Magazine/article1385622.ece

Apple Designer Jonathan Ive Talks About Steve Jobs and New Products - TIME
http://time.com/jonathan-ive-apple-interview/

アイブはiMac・MacBook・iPod・iPhone・iPadのデザインを担当し、ジョブズが自分と同じビジョンを持つ数少ない人物として敬意を表していたとされています。ジョブズはAppleの幹部がインタビューに応じることを嫌っていたため、アイブのインタビューは非常に珍しいものですが、インタビューを行ったジョン・アリッジ氏によると、今回のインタビューをアイブは快諾してくれAppleが拠点を構えるクパチーノに招待してくれたそうで、インタビュー中も上機嫌であり、アリッジ氏はアイブがデザイナーであると同時に「作り手」であり、もの作りについて話すことがとても好きであると感じたそう。そんなアイブがインタビューで語った言葉は以下の通りです。

デザインの考え方について


「製品と作り手は不可分の関係です。その製品をよく理解するためには、それがどのように作られているのかを知る必要があります。私は、製品をデザインするとき、それがどんな見栄えであるべきかを考えるより前に、それが何のために必要で、どのように機能し、それにはどのように作るべきかについて考えます」

デザインが特に評価されていることについて
「デザインが優れていると取り立てて注目されるのは好きではありません。デザインも開発も製造もすべてが巨大なチームであることが求められるのです」

自身が率いるデザインチームについて
「みなさんが考えているよりもずっと小さなチームです。だいたい15人くらいで、ほとんどみな15年から20年くらい一緒に働いているメンバーです。ですから、仕事についてとても辛辣な意見を言い合うことができますし、みんなが持つそれぞれのエゴはとっくの昔に消え失せました。チームのメンバーはみな、もの作りに対する尊敬の念と愛情を共有しています」

初代iMacのデザインについて


「何ヶ月もの時間がかかりました。誰も見たことのないものをデザインするということは本当に難しいものなのです」

iPodのイヤホンについて


「これ以上にいいデザインにできないのか?ということについて悩みました。このような悩みはデザイナーにとって宿命でしょうね」

ジョブズとの思い出について


「スティーブとは、誰も気付かないような製品の細かい部分について一緒に多くの時間を費やしました。その違いは、機能性については関係のないものですが、私たちはそれに気付いていた以上、解決しなければいけなかったのです」

「そうそう、スティーブと一緒に旅行したときのこと。予定通りホテルに着きました。チェックインして、それぞれ部屋に入って。私は荷物を開けることなくドアのそばに置いて、いつも通り、彼からの電話を待ちました。予想通りスティーブから、『ジョニー。このホテルはクソだな。他へ行こう』って電話がありました」

ジョブズはみんなが言うとおり気むずかしかった?
「スティーブについては多く言われているけれど、それを確認したわけではないからなんとも。確かなことは、彼は鋭い意見を持っていたということ。時にそれは鋭すぎるほど。彼は、常に『これで十分なのか?これが正しいのか?』ということを自問自答していました。彼はとても頭が良く、彼のアイデアは壮大でした。たとえ良いアイデアが出てこないときでも、最後には素晴らしい物ができるはずだと信じていたのです」

Appleのこれまでの成功について
「私たちは誰が作ったのかわからない貧相な製品に囲まれて生活しています。それらは、どんな人が使うのかについてまったく気を払っていない製品です。Appleがこれまで作ってきた製品は使う人に対する注意が払われています。これは単なる美学ではありません。Appleがこれまで売ってきた数多くの製品は、美しくて、良くできたものだと信じています。Appleの成功は、純粋さと完璧さを求め続けた勝利です」

Apple製品の特別なところについて


「あなたが手にする、耳に入れて、ポケットに入れている(Apple)製品は、机の上にある製品よりはるかに親近感を覚えるものです。技術的な困難を乗り越えて製品をより親密なものにするところこそ、私がAppleを魅力的に感じた最初のポイントです」

模倣品について
「あれは泥棒です。盗まれた物はデザインだけではありません。それは、何千時間もかけて生み出されたものです。『これは追い求める価値があった』と言えるのは、何かをやり遂げようと努力して、それが実現したときだけです。そこには何年にもわたる投資と苦労があるのです」

Appleが素晴らしい製品を作る力を失ったのではという指摘について
「私はそうは思っていません。私たちは歴史的な時間のスタート地点にいます。今後も数多くの素晴らしい製品が開発されるはずです。技術の進化について考え、Appleがこれまで成し遂げてきたことを考えるとき、そこに限界はありません。これからも新しいものが生み出され続けます」

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in メモ,   ハードウェア,   デザイン, Posted by darkhorse_log

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