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「ドラキュラ」の作家ブラム・ストーカーの日記、100年の時を越えて発見される


現在では「ドラキュラ」と言えば吸血鬼というイメージが一般的ですが、この「ドラキュラ」という名前を作ったのは、19世紀末の作家ブラム・ストーカーでした。このブラム・ストーカーの日記が、死後100年経とうという今になって、子孫によって発見されたそうです。

ブラム・ストーカーの名前は「ドラキュラ」の作者として世界に知れ渡っていますが、その人となりは意外と知られていません。今回の発見は、ブラム・ストーカーという人物の新たな側面に光を当てるものとなりそうです。


Bram Stoker's great-grandson finds journal in which author sketched out Dracula | Mail Online

ブラム・ストーカー以前にも「吸血鬼」のモチーフはありました。ヨーロッパの各地には「一度死んだ人間が蘇って血を求める」という類型の伝承が存在しています。こうした伝承をもとに、19世紀初頭から流行し始めた恐怖小説の勃興の中で、1819年、ジョン・ポリドリによる「The Vampire」が生まれました。「The Vampire」は、吸血鬼をモデルとした小説の元祖と言われています。

ブラム・ストーカーによるドラキュラのイメージ画。耳がとがり、閉じた口から牙が出ています。


その後、アイルランド人作家シェリダン・レ・ファニュによる「カーミラ」が、1872年に誕生。女吸血鬼をモデルとした恐怖小説で、貴族的で美形、棺桶で眠り、心臓に杭を打たれて死ぬなどの典型的な吸血鬼の特徴がここで形成され、ブラム・ストーカーの「ドラキュラ」にも強い影響を与えることとなります。

「カーミラ」を執筆したシェリダン・レ・ファニュ。


ブラム・ストーカーの肖像。同時代の作家には「サロメ」などで知られるオスカー・ワイルドがおり、ワイルドとは個人的な交際もあったようです。


この「カーミラ」のモチーフを受け継ぎ、1897年にブラム・ストーカーの「ドラキュラ」が完成します。執筆時の題名は「不完全な死」というものでしたが、のちにルーマニア語で「竜の息子」を意味する「ドラキュラ」に変更。この小説がすさまじい売れ行きを示し、世界中でヒットしたために、「ドラキュラ=吸血鬼」というイメージが定着してしまいました。

ちなみに、ドラキュラのモデルは15世紀のルーマニアで生まれたワラキア公ヴラド3世と言われていますが、実際にはヴラド3世と共通するのはドラキュラというあだ名と、ルーマニア出身であるという2点だけです。

下の画像は、ブラム・ストーカーがドラキュラ城のモデルとしたと言われる、ルーマニアのブラン城。


ワラキア公ヴラド3世の肖像。


今回、日記を発見したのはブラム・ストーカーの曾孫に当たるNoel Dobbsさん。日記にはブラム・ストーカーの本名「Abraham Stoker」の署名がありました。内容はブラム・ストーカーが20歳になった1871年から始まり、305個の日記が載っているとのこと。各日記の長さはバラバラで、ごく短いものから長い文章まであり、中にはロマンチックな詩も含まれているそうです。

Dobbsさんは、いとこでありサウスカロライナ州で教授を務めるDacre Stokerさんに、この日記の写真を送りました。Dacre Stokerさんは「聖杯を見つけたような想いでした。ブラム・ストーカー自身が書いた文章には、彼がどのような人物だったのか知ることができるようなものは非常に少ないのです。家族や学者やファンたちが、長い間『ドラキュラ』の作者がどんな人物なのか、知りたいと思っていたのです。その重要な手がかりが今、手に入りました」とその興奮を語っています。

日記の中にはもちろん「ドラキュラ」の成立に関わるアイデアも記載されており、ブラム・ストーカーのファンにとっては必携の一冊となりそう。この日記は、2012年の3月に一般読者が読める形で発刊される予定。邦訳が行われるかどうかはまだ分かりませんが、今から期待が高まります。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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