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ポーランドで17世紀の女性ヴァンパイアの遺体が見つかる


ポーランドのブィドゴシチ近郊にある17世紀に建造された墓地で、女性の吸血鬼(ヴァンパイア)の遺体が発掘されました。ヴァンパイアの頭蓋骨には鎌のようなものが置かれており、左脚の親指には南京錠がかけられていたそうです。

Remains of ‘female vampire’ found with sickle across her neck and a padlocked toe in Poland - Arkeonews
https://arkeonews.net/remains-of-female-vampire-found-with-sickle-across-her-neck-and-a-padlocked-toe-in-poland/

Archaeologists unearth remains of 17th-century female “vampire” in Poland | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2022/09/archaeologists-unearth-remains-of-17th-century-female-vampire-in-poland/

ヴァンパイア関連の伝承は少なくとも4000年前の古代メソポタミアにまでさかのぼります。アッシリアではラマストゥと呼ばれる魔の女神が、ベビーベッドや妊婦の体内にいる段階の赤ん坊を殺害すると恐れられていました。他にも、ヘブライ語の文献や民間伝承に登場する「リリス」と呼ばれる存在が、幼児や胎児をさらうと言い伝えられています。ラマストゥやリリスは、幼い子どもから血を吸うギリシャの伝説の化け物であるラミアの前身であるとされており、これらが後のヴァンパイアのベースになったと考えられています。ヴァンパイアの前身となったであろう怪物の伝承は世界各地に存在しており、中国の「クエイ」、ロシアの「upir」、インドの「vetala」、ルーマニアの「strigoi」、ギリシャの「vrykolakas」なども、ヴァンパイアと似た特徴を持つ架空の怪物として民間伝承で伝わってきた存在です。

ヴァンパイアの存在が英語のニュースで初めて報じられたのは1732年のこと。これは「ヴァンパイア由来の伝染病が東ヨーロッパで拡大した」というウワサが広まったことから報じられたものです。その後、19世紀までにヨーロッパでヴァンパイアに関する伝承が広がり、1819年にはジョン・ポリドリが英語で最初に出版されたヴァンパイアに関する小説「吸血鬼」を執筆。その後、1872年にシェリダン・レ・ファニュが「カーミラ」、1897年にブラム・ストーカーが「ドラキュラ」をリリースし、ヴァンパイアというジャンルを確立したとされています。

ヴァンパイアの特徴には「血を吸った人間を不死者としてよみがえらせる」というものがあるため、中世のロシアではヴァンパイアと疑われた人物の死体を火葬したり斬首したり心臓に木の棒を打ち込んだりすることで、死体がよみがえることを防ごうとした形跡が見られるそうです。

ドイツや西スラブ地域では、ヴァンパイアと疑われた者が斬首され、頭を足の間や体から離れた場所に置いて埋葬するという手法が取られていました。他にも、死体を逆さまにして埋めたり、膝の腱を切断して埋葬したりといったケースもあったそうです。ギリシャのヴリコラカでは死体の胸に十字架が刻まれた陶器の破片を置いて埋葬するという手法が取られました。また、ヴァンパイアがアリスモマニアに弱いとされた地域では、ヴァンパイアが出没するとされる場所にケシの実やキビの種がまかれたそうで、この民間伝承はX-ファイルのシーズン5エピソード12「Bad Blood」でオマージュされています。


そんなヴァンパイアの遺体と思われるものが、ポーランドの墓地で発掘されました。ヴァンパイアの遺体が発見されたブィドゴシチ近郊にある17世紀の墓地は、2005年から2009年の間に発見された中世初期の貴族の墓地であるとされています。ポーランドのニコラウス・コペルニクス大学のダリウス・ポリンスキ氏が率いる考古学者チームは、より多くの遺物を発見するために2022年初頭にこの墓地で再び発掘作業をスタートしたそうです。

発見された女性の頭蓋骨が以下で、首に鎌がかけられるような形で埋葬されており、これはヴァンパイアと疑わしい存在を埋葬する際の典型的な対処法のひとつ。


魔物が体内に侵入することを防ぐために、墓地の近くに大鎌や鎌を備えるという風習が一部に存在します。しかし、ポーランドの墓地では「鎌が平らに置かれているわけではなく、故人が起き上がろうとした際に、頭が切断されるか怪我をするように配置されたものです」とポリンスキー氏は言及しています。なお、足の親指に着けられていた南京錠について、ポリンスキー氏は「これは、ひとつのステージが終わり、戻ることができないことを象徴しています」と語っています。

ポーランドで見つかったヴァンパイアの遺体の持つ別の特徴のひとつが、「骨格から社会的地位の高い女性のものであるように見えること」です。この女性の頭部には下層階級の女性では手が届かないような価格である絹の帽子の残骸が見つかっています。なお、女性の遺体では前歯が非常に目立つように突き出ていたそうで、これがヴァンパイアと疑われる理由となった可能性が指摘されています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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