親が「スマホに気を取られている」と感じる子どもほど親との愛着関係が不安定な傾向にあるという研究結果

スマートフォンやタブレットの普及に伴い、子どものデバイス使用が心身に与える影響について多くの研究が行われる一方で、親自身がデバイスに気を取られることが親子関係に与える影響については十分に分かっていません。Newport Healthcareのドン・グラント氏らは、親のデバイス使用と青年期の子どもが親との間で示す愛着傾向の関連について報告しています。
Frontiers | “Mommy, do you love your phone more than me?”: Parental device use and the adolescent-caregiver attachment bond
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2026.1766665/full
Teenagers whose parents are more distracted by phones are more insecure | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1131130

ある時、若者や家族向けのメンタルヘルス治療を手がけるNewport Healthcareに所属するドン・グラント氏は、「自分よりスマホが大事なのか」と幼い娘に言われた母親のエピソードを耳にしたことをきっかけに、「親のデバイス使用が子どもにどう受け止められているのか」に注目するようになりました。
親がスマートフォンなどのデバイスに気を取られて親子のやり取りが妨げられる現象については研究が進んできており、こうしたデジタル機器による対人関係の中断は「テクノファレンス」、目の前にいる相手よりスマートフォンを優先する行動は「ファビング」と呼ばれています。ただし、青年期の子どもが「親はデバイスに気を取られていて、自分に十分な注意を向けてくれない」と感じることを測る尺度は限られていました。
そこでグラント氏らは、子どもから見た親のデバイス中心の行動とその行動に対する感情を測る尺度「Device Attachment Interference Scale(DAIS)」を作成しました。DAISの項目は以下の通り。
・主な養育者のデバイス使用は、自分たちの関係に悪影響を及ぼしている
・主な養育者は、デバイスを使うせいで自分と十分な時間を過ごしていない
・主な養育者のデバイス使用は問題だ
・主な養育者は、デバイスを使っている時に自分を無視する
・自分にとって重要な行事に来ていても、主な養育者はデバイス使用のために注意散漫に見える
・主な養育者はデバイスに時間を使いすぎている
・主な養育者の注意を求めている時にデバイスを置いてくれないと、自分は重要ではないと感じる
・主な養育者は、他にやるべきことがある時にもデバイスを使っている
・社交的なイベントに参加している時でも、主な養育者はデバイス使用のために注意散漫に見える
・主な養育者がデバイスを置いてくれないと怒りを感じる
・主な養育者は、自分と一緒に過ごすべき時にデバイスを使っている
・主な養育者と自分は、その人のデバイス使用を巡って衝突する
DAISを使用した調査は2025年8月に実施され、アメリカ在住の12歳~17歳の子ども600人が参加しました。参加者には母親に相当する人物、または父親に相当する人物を主な養育者として挙げてもらい、その養育者について「まったくない」から「ほぼいつも」までの5段階で回答を求めたほか、主な養育者との愛着傾向を測る質問票にも回答してもらいました。

グラント氏らが回答を分析した結果、DAISの得点が高い子どもほど両親に対して不安型と回避型の愛着傾向が強いことが分かりました。不安型とは相手から見捨てられることへの不安が強い傾向、回避型とは相手との心理的距離を取ろうとする傾向のこと。つまり、親のデバイス使用によって「注意を向けてもらえない」と感じる子どもほど、親との間で不安定な愛着傾向を示していたというわけです。
臨床現場でも親がデバイスの画面に注意を向けている間に関わりを求めた子どもが、「軽く扱われた」「退けられた」「自分は重要ではない」と感じたと訴える例が増えていたとグラント氏は説明しています。
ただし、今回の研究は一時点での自己申告を元に分析した観察研究であり、親のデバイス使用が子どもの愛着傾向を不安定にしたと断定することはできません。
グラント氏は「子どもが注意を求めるたびに、親がデバイスでしていることを含めてすべてを投げ出し、応答しなければならないと言っているわけではありません」と述べた上で、子どもが関わりを求めてきた時にはその働きかけに気付いたことを示し、何らかの形で応答することを勧めています。
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