長々と会議しているのになかなか物事を決められないのは「部屋の二酸化炭素濃度」のせいかもしれない

有能な管理職や社員が何人も集まった会議なのに、要領を得ない会話ばかりがダラダラと続き、なかなか重要なことが決められなかった経験がある人は多いはず。ソフトウェア開発の知識と応用神経科学を組み合わせたコンサルティングを行うマイク・ボウラー氏が、「室内の空気」がこうした会議のボトルネックになっている可能性があると指摘しています。
The bottleneck might be the air in the room | Mike Bowler
https://blog.mikebowler.ca/2026/07/03/co2-and-decision-making/
最近のボウラー氏は携帯型の二酸化炭素モニターを持ち歩き、さまざまな場所で二酸化炭素濃度を測定しているとのこと。屋外の二酸化炭素濃度は約400ppmほどですが、数人しかいない密室の会議室では2000ppmを超える二酸化炭素濃度に達したこともあるそうです。
過去の研究から、室内の二酸化炭素濃度が人々の認知機能に影響することがわかっています。2012年の研究では、被験者を二酸化炭素濃度が「600ppm」「1000ppm」「2500ppm」の環境に置き、コンピューターベースの意思決定能力テストを受けさせました。
実験の結果、きれいな空気である「600ppm」の場合と比較して、「1000ppm」の環境では9つの意思決定指標のうち6つでパフォーマンスが大幅に低下しました。さらに、「2500ppm」の環境では9つのうち7つで深刻なパフォーマンス低下がみられ、中には「機能不全」と呼べる範囲に達したものもあったとのこと。
また、2015年に発表された別の研究では、二酸化炭素濃度の上昇に従って戦略や計画、プレッシャー下での情報活用といった、会議において重要な領域で大きな認知機能の低下がみられました。つまり、換気が不十分な密室での会議は、重要な認知機能を損なったまま進行している可能性があるというわけです。

ボウラー氏は、「1000ppmは決して極端な数値ではありません。数人が呼吸する密閉された部屋では、最初の1時間でその濃度に達します。窓のない役員会議室で行われる終日の計画会議、アーキテクチャレビュー、四半期ごとの戦略オフサイトミーティングなどの状況が、意思決定の質が著しく低下する範囲まで二酸化炭素濃度を押し上げるのです。 あなたは最も重要な思考を、最も不適切な環境で行っていることになります」と指摘しています。
多くの従業員は「部屋の二酸化炭素濃度」について意識していないため、この問題は誰かが二酸化炭素モニターを持ち込むまで表面化することはありません。二酸化炭素濃度の高い部屋にいても、多くの人は体調不良とまでは感じることがなく、せいぜい「少し疲れている」「頭がぼんやりする」「集中力が途切れている」と感じる程度です。その理由について考えてみても、会議が長すぎることや睡眠不足といった要因に帰結しがちです。
また、室内の二酸化炭素濃度が問題になるのは会議室だけではなく、リモートワークで働く従業員にも影響を与えます。家の中に作った作業部屋や小さなワークスペースで換気を怠ると、二酸化炭素濃度が認知機能に影響が出るレベルまで上昇する可能性があります。
ボウラー氏は、「私は何十年もの間、有能なチームがなぜ期待通りの成果を上げられないのかを理解しようと努めてきましたが、人を責めることから始まる説明には疑念を抱くようになりました。チームの意欲が欠けている、戦略的思考ができない、会議の文化が崩壊しているなどと結論付ける前に、建物内で最も安価な要因を排除してみる価値があります。二酸化炭素モニターは1時間分の時給よりも安価で、窓やドアを開けるのは無料です」と述べました。
この指摘については、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも話題となっています。
The bottleneck might be the air in the room | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=48783117
あるユーザーは、Appleなどの大手メーカーがスマートウォッチやスマートフォンに二酸化炭素モニターを搭載してほしいと主張。「大勢の人が換気の悪い部屋や教室、映画館など多くの場所でめまいを感じたり眠ってしまったりすることがありますが、それが単に血中酸素濃度の低下によるものだとは気づいていません。意識を高めることこそが、唯一の真の解決策です」とコメントしました。

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