サイエンス

鼻からスプレーするだけでウイルス・細菌・アレルギーに効く万能ワクチンが開発中


アメリカの研究機関による共同チームは、ウイルスや細菌、アレルゲンといった様々な脅威から呼吸器を守るユニバーサルワクチンの開発に成功したと報告しています。このワクチンは経鼻スプレー型で、記事作成時点ではマウスによる実験段階ですが、特定の病原体そのものではなく生体の免疫応答を強化する仕組みを持ち、広範囲かつ持続的な防御を提供するとのことです。

Mucosal vaccination in mice provides protection from diverse respiratory threats | Science
https://www.science.org/doi/abs/10.1126/science.aea1260

Universal Vaccine Blocks Viruses, Bacteria, And Allergies With a Nasal Spray : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/universal-vaccine-blocks-viruses-bacteria-and-allergies-with-a-nasal-spray

この研究で中心的な役割を担ったのは、スタンフォード大学の微生物学者であるバリ・プレンドラン教授が率いるチームです。プレンドラン教授は論文の責任著者を務めており、共同チームには同大学のほか、アメリカ国内の複数の専門機関から科学者たちが集結しています。


開発された経鼻スプレー型のワクチン「GLA-3M-052-LS+OVA」は、特定の病原体に焦点を当てるのではなく生体が持つ防御システムそのものを強化することに主眼を置いています。

今回の研究では、本来であれば短期間で効果が薄れてしまう第一防衛線の自然免疫を数カ月間にわたって活性化し続ける手法が確立されました。これは結核ワクチンの研究から得られた知見を応用したもので、適応免疫を担うT細胞が発する特定の信号を合成して模倣し、白血球の一種で免疫担当細胞である肺胞マクロファージに情報を刻み込む仕組みに基づいているとのこと。


研究チームが行ったマウスを用いた実験では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)だけでなく、重症急性呼吸器症候群(SARS)や他のコロナウイルス、さらには薬剤耐性を持つ黄色ブドウ球菌やアシネトバクター・バウマニといった細菌に対しても、3カ月以上の持続的な保護効果が確認されたとのこと。

プレンドラン教授は、この技術が将来的に、秋に一度スプレーするだけで新型コロナウイルスやインフルエンザ、さらには春のアレルギーまで防げるような、医療のあり方を根本から変える存在になるとの見通しを示しています。


研究に参加していない分子ウイルス学者のジョナサン・ボール氏は今回の成果を有望視しつつも、「免疫系を常に高い警戒状態に置く状態が、誤って自己の細胞を攻撃するような副作用を引き起こさないか、ヒトでの治験を通じて安全性を厳密に確認する必要がある」と指摘し、慎重視する見解を述べています。

研究チームは今後、ヒトを対象とした臨床試験へとステップを進める予定だとしています。順調に進めば、このユニバーサルワクチンは5~7年以内に実用化される可能性があるとのことです。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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