「雪の結晶」を自由自在に作り出す科学者が見つけた法則とは?

カリフォルニア工科大学で雪の結晶について研究しているケネス・G・リブレヒト教授は、さまざまな雪の結晶を人工的に作り出す「雪の結晶アーティスト」でもあります。そんなリブレヒト氏にインタビューした動画がYouTubeで公開されており、雪の結晶の作り方やリブレヒト氏の発見について知ることができます。
The Snowflake Myth - YouTube

リブレヒト氏は雪の結晶の専門家であり、映画「アナと雪の女王」では雪の結晶のコンサルタントを務めました。

リブレヒト氏は「指先から雪の結晶を作り出すのはいいのです。しかし、本物の雪の結晶でないと人々は信じてくれません」と、冗談めかしてこだわりを語ります。

リブレヒト氏が作り出した雪の結晶は切手にもなっているほか、雪の結晶についての書籍も多数出版しています。

人工的に作り出した雪の結晶について、リブレヒト氏は「これをデザイナースノーフレークと呼んでいます。私はこれらを即座に作り出したのですが、それを実行してくれるコンピューターは持っていません。すべて手作業でやっているので、それぞれ少しずつ違います」と話します。

リブレヒト氏は雪の結晶について非常に高度な知識を持っているため、要望に合わせた結晶の形を設計・構築することができるそうです。

これが雪の元となる結晶です。これに雪の結晶らしい「枝」を生やすには、温度をセ氏マイナス13度からマイナス15度に下げ、その後再び温度を上げればいいとのこと。

手作業で温度調節用のつまみを操作するリブレヒト氏。

すると、単なる六角形だった結晶から枝が生えました。

今度は温度を0度まで上げて水滴を発生させ、さらに調整を行います。

リブレヒト氏が設計した通りの雪の結晶が作られました。

リブレヒト氏が人工的に作り出した雪の結晶は、驚くほど鋭くて鮮明な形をしています。これは、自然環境にある雪の結晶は多かれ少なかれ観察前に蒸発してしまうのに対して、実験室で作ったものは形を保ったまま観察できるからです。

雪の結晶にはさまざまな特徴があります。まず、雪の結晶はすべて異なっていて同じ形は存在しません。

そして雪の結晶はすべて六角形を中心に対称的に成長し、反対側の枝は同じ形状になります。

一般に雪の結晶の直径は数mmですが、厚みはμm単位と非常に薄いことも特徴です。

また、一般に「雪の結晶」と聞いて連想するのはこのような形かもしれませんが、実際には多種多様な形状があります。

これらはすべて雪の結晶です。

リブレヒト氏は雪の結晶をタイプ別に分類した表も作成しています。雪の定義に固定的なものはなく、他の研究者も好きなように雪の結晶を分類しているとのこと。

すべての雪の結晶はほぼ同じような過程で形成されます。まず、水が蒸発して水蒸気となり、個々の分子が大気中を飛び回ります。水蒸気が上昇するにつれて冷却され、過飽和状態となってチリなどに凝集すると小さな水滴ができます。

気温が氷点下であっても水滴がすぐに凍るわけではありませんが、ある時点で1つの水滴は氷に変わります。その内部では水分子が固定され、水素結合によって六角形の結晶が形成されます。

水分子が集まった結晶には、分子が平滑に並ぶ「ファセット面」という面ができます。こうした結晶に新たな分子が衝突する際は、ファセット面にはくっつかずにざらざらした面にくっつきやすいとのこと。そのため、時間経過とともに結晶のざらざらした面は新たな分子によって埋められ、六角形を維持したまま大きくなっていくというわけです。

初期の雪の結晶は、このように平らな上面と底面(基底面)がある六角柱のような形状になります。

基底面が急速に成長すると、雪の結晶は柱状になります。

側面が急速に成長すると平らな雪の結晶ができます。

角の部分には周囲の水分子が結合しやすいため、水分子が集まって枝が形成されます。その枝の先にある角にも同様に水分子が集まりやすく、結果的にきれいな雪の結晶に成長するというわけです。雪の結晶1個が作られるには10万個もの滴が必要で、このプロセスには通常30~45分かかるとのこと。

1930年代、日本の研究者である中谷宇吉郎は温度や過飽和度などの条件によって、雪の結晶の形状が異なることを発見しました。

以下のように、温度ごとに作られる雪の結晶の形状が異なっています。

この法則はナカヤ・ダイヤグラムとしてまとめられています。まずマイナス2度付近でプレート状の結晶が作られ、マイナス5度を下回ると柱状や針状の結晶が形成されます。そしてマイナス15度からは再びプレート状の結晶になり、マイナス20度以下では柱状とプレート状の結晶がそれぞれ作られるとのこと。

雪の結晶の形を見ることで、ある程度は「この結晶がどのような環境で育ったのか」がわかるとリブレヒト氏は語っています。

雪の結晶の形状は、成長中の気温や温度といったさまざまな要因に左右されます。しかし、1つの結晶から伸びる枝の両端でこれらの要因が異なることはほとんどないため、結晶の両端は同じように成長するとのこと。しかし、個々の雪の結晶はその環境や軌道などがそれぞれ異なるため、同じ形状の雪の結晶は存在しないというわけです。

なお、実験室では雪の結晶が成長する際の条件を細かく制御できるので、理論上はまったく同じ形状の雪の結晶を作ることが可能です。リブレヒト氏の研究室では微細なサファイアの結晶を舞い散らせ、それを核として雪の結晶を作成しています。

リブレヒト氏は実際にまったく同じ形状の雪の結晶を作成して、それらを「一卵性双生児の雪の結晶」と名付けました。

またリブレヒト氏は、長らく謎だった「なぜ雪の結晶はナカヤ・ダイアグラムの通りの形状になるのか?」という疑問の答えも見つけています。リブレヒト氏の理論は、「氷の核生成における障壁(核生成障壁)」が関係しているというもの。核生成障壁とは、分子が集まって結晶が成長するために必要なエネルギーのことで、たとえば平らな面は核生成障壁が大きいため、その上に結晶が成長するのが困難です。

六角形の結晶において、基底面と側面の核生成障壁は異なります。側面の核生成障壁が低い場合、結晶は面状に成長します。一方で基底面の核生成障壁が低い場合、結晶は柱状に成長するというわけです。

氷の核生成障壁は温度の関数として知られています。さらにリブレヒト氏は「結晶の面の広さ」が核生成障壁に関与すると考え、以下のようなグラフを作成しました。青線は広い面の核生成障壁の変化を、緑線は狭い面の核生成障壁の変化を温度別に示したもの。

このグラフは、ナカヤ・ダイアグラムで提唱された雪の結晶の形状と一致するとのことです。

リブレヒト氏は実験を行い、このグラフが正しいことを確認したと述べています。

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