サイエンス

「雪の結晶に同じものは二つとない」という定説が覆される


雪の結晶は複雑な形をとり、同じものが二つとないことが知られていました。しかし、雪が結晶化する条件を巧みに操ることで、同じ形状の雪の結晶を人工的に作り出すことにアメリカの研究者が成功しています。

Who Ever Said No Two Snowflakes Were Alike? - The New York Times
http://www.nytimes.com/2016/01/23/science/who-ever-said-no-two-snowflakes-were-alike.html

カリフォルニア工科大学のケネス・リブレット教授は、サファイアガラスを用いた冷却装置で、人工的に同じ形状の雪の結晶を作り出すことに成功しました。

雪の「核」から同じ形の結晶が生み出されていく様子は、以下のムービーで確認できます。

1μmに満たない微少なちりなどが空気中で冷却されることで氷のつぶが生まれ、その中心に水分子が凝固しながら成長することで雪は生まれます。しかし、雪が空から地上に降ってくるまでに、雪の核をとりまく気温、湿度、落下速度などは変化し続けるため、最終的にできあがる雪の結晶は、直線的なもの、平面的なもの、立体的なものなど、条件によって異なることが知られていました。


自然界でまったく同一の条件は起こりえないことから雪の結晶はまったく同じものが存在しないわけですが、「人工的に同じ条件を作り出せば同じ結晶ができるのではないのか?」というのがリブレット教授の研究で、冷却装置に入れた2つ氷の粒の環境を人工的に変化させることで、まったく同じ形状の氷の結晶を作ることに成功しています。


リブレット教授は、まったく同じ形に成長する雪の結晶を一卵性双生児にたとえて「Identical Twins」と名付けています。


なお、まったく同じ形状で成長するIdentical Twinsですが、分子レベルで見ればまったく同じというものではないとのこと。


Identical Twinsの生成実験は、雪の結晶が環境変化によってどのような構造をとるのかを研究する一環で行われたもので、この研究でガラス表面にそって成長すると予想された結晶構造が、実際にはキノコのように立体的ににょきにょきと伸びるように成長するなどの新たな知見が得られたそうです。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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