サイエンス

なぜ一部の人は「簡単に反証できる誤情報」を支持するのか?


SNSなどで交わされる議論を見ていると、「どうしてこの人は見るからにうそだってわかる誤情報を信じているんだろう?」と疑問に思うこともあります。カリフォルニア州立工科大学などの研究チームが、「一部の人が明らかにうそだとわかる誤情報を支持する理由」についての研究結果を発表しました。

Symbolic show of strength: a predictor of risk perception and belief in misinformation: The Journal of Social Psychology: Vol 0, No 0 - Get Access
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00224545.2025.2541206


Winning with misinformation: New research identifies link between endorsing easily disproven claims and prioritizing symbolic strength
https://theconversation.com/winning-with-misinformation-new-research-identifies-link-between-endorsing-easily-disproven-claims-and-prioritizing-symbolic-strength-265652

カリフォルニア州立工科大学のマーケティング学准教授であるランディ・シュタイン氏らの研究チームは、COVID-19のパンデミック期間中に「5Gネットワークがウイルスの原因である」といった誤情報を人々が信じる理由を調べるため、8カ国に住む5535人を対象に調査を実施しました。

分析の結果、COVID-19関連の誤情報やワクチン関連のリスクを信じるかどうかを予測する最も強力な因子は、COVID-19の予防活動を「象徴的な強さと弱さ」の観点から捉えているかどうかであることが判明しました。

言い換えれば、COVID-19関連の誤情報を信じるこれらの人々は、COVID-19の予防に関連する活動が何かに「屈服」しているように感じていたというわけです。シュタイン氏らによると、この要素は人々がCOVID-19全般について感じていることや思考スタイル、政治的信念などよりも重要だったとのこと。


調査では、「コロナウイルスの予防ガイドラインに従うことは後退を意味する」「メディアでコロナウイルスが継続的に報道されていることは自分たちが負けている兆候だ」といった主張に、人々がどの程度同意するのかが測定されました。これらの主張に対して肯定的だった人は、誤情報を支持することで「敵」に意見を覆すだけの力がないことを示し、「勝利」したように感じているとシュタイン氏らは考えています。

こうした考えの持ち主は、事実に基づいて問題を考察するのではなく、外部からの影響を受けない独立性を優先しているとのこと。これらの人々にとって、反証されやすい主張を支持することは強い意志表示であり、誤情報を指摘する外部の声に耳を貸さないことで、自分がどれほど覚悟を持って反発しているのかを示しているというわけです。


仮想通貨に関する態度に焦点を当てた追加の実験では、人々が仮想通貨への投資を「伝統的な金融からの独立を示すシグナル」と捉えているかどうかを測定しました。その結果、仮想通貨への投資に象徴的な意味を見いだす人々は、「政府が宇宙人接触の証拠を隠している」といった他の種類の誤情報や陰謀論も信じる傾向が強いことがわかりました。

研究では、反証可能な主張への支持が象徴的な意味を持つと考える傾向が、「一部の集団が他の集団を支配すべき」という信念や独裁政権への支持といった、権威主義的な態度と強く関連していることも示されています。この関連性は、強権的な指導者が国民にアピールする際、しばしば誤情報を用いる理由を説明するのに役立つとシュタイン氏らは述べています。


今回の研究結果は、一部の人々にとって誤情報が真実かどうかは問題ではなく、誤情報を支持することが「象徴的な力の誇示」につながっていることを示しています。これらの象徴的な思考をする人々は、内容が突飛だったり反証が容易だったりするほど、それを主張する人をより力強い存在だと見なすとのこと。

シュタイン氏らは、「政治的象徴主義に関する研究で知られる政治理論家のマレー・エデルマンは、政治家は成果を出すよりも『象徴的な得点』を稼ぐことを好む傾向があると指摘しました。その方が簡単だからです。指導者は具体的な成果を提供できない時にこそ、象徴的な意義を見せてくるのです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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