サイエンス

繁忙期の疲労を防ぐ「2つの効果的な対策」とは?


多くの仕事に追われる日々を過ごしていると、労働時間が長すぎてなかなか疲労が抜けないことがあります。新たな研究では、2つのシンプルな対策を採用することで、繁忙期の疲労を防ぐことができると示されました。

Surviving busy season: Using the job demands‐resources model to investigate coping mechanisms - Jefferson - Contemporary Accounting Research - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1911-3846.12999


Two simple steps can mitigate worker fatigue during busy seasons, VCU research finds - VCU News - Virginia Commonwealth University
https://www.news.vcu.edu/article/2025/01/two-simple-steps-can-mitigate-worker-fatigue-during-busy-seasons-vcu-research-finds

Study Reveals 2 Key Ways to Reduce Fatigue at Work : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/study-reveals-2-key-ways-to-reduce-fatigue-at-work

組織行動学や心理学の研究者らは、季節ごとの休暇や週末、終業後の活動といったさまざまな形態の休暇が、従業員のパフォーマンスや疲労、および幸福と関連していることを示してきました。さらに過去10年間では、仕事中に数秒~数分間の自発的な休息を取る「microbreaks(マイクロブレイク)」が勤務時間中の疲労を軽減するのではないかと注目されているとのこと。


また、組織支援理論では、職場の管理者による支援が従業員のパフォーマンスや仕事の満足度、ストレス管理の基本であることが示されています。管理者が部下の仕事をサポートしたり、仕事ぶりを評価したりすることで、従業員のストレスや不安を軽減できるそうです。

これらの理論を背景に、アメリカのウェイクフォレスト大学バージニア・コモンウェルス大学などの研究チームは、「定期的なマイクロブレイク」と「上司からのサポート」が疲労に及ぼす影響について調査しました。


研究チームは比較的ストレスの多い仕事である公認会計士を対象に、通常通りの勤務時間であることが多い11月上旬と、繁忙期である1月下旬にそれぞれ調査を行いました。調査期間中、被験者は睡眠の質や疲労の度合いを評価する質問や、その日の勤務中に行ったマイクロブレイクや上司からのサポートなどについて測定する質問に回答しました。

その結果、マイクロブレイクと定期的な上司のサポートの両方が、従業員の疲労を軽減することが示されました。これらの対策の効果は通常期間には見られず、繁忙期にのみ確認されたことから、ストレスが強い時期に有効なことが示唆されています。

以下のグラフは、縦軸が上にいくほど疲労感が少なく、下にいくほど疲労感が多いことを示しており、横軸は「Normal(通常期間)」と「Busy(繁忙期)」の疲労感を示しています。通常期間はマイクロブレイクや上司のサポートによる効果はみられませんでしたが、繁忙期になるとマイクロブレイクがある状態「c」や、上司のサポートがある状態「b」は疲労感が少なくなり、その効果は特にマイクロブレイクと上司のサポートの両方があった状態「a」で強くみられました。


マイクロブレイクや上司のサポートは、睡眠の質や翌日のエネルギーにも好影響を及ぼしたと報告されています。また、別の被験者を対象にした追跡実験では、マイクロブレイクを取ることによってタスクのミスが減少することも示されました。

研究チームによると、マイクロブレイクは人の注意を一時的に仕事からそらし、疲労回復を促進するとのこと。マイクロブレイクの例としては、「コーヒーを飲んだりスナックを食べたりする」「ちょっとしたストレッチをする」「短いニュース記事を読む」といった行為が挙げられています。

バージニア・コモンウェルス大学の会計学教授であり、論文の共著者であるリンゼイ・アンディオラ准教授は、「まず、マイクロブレイクは特に仕事の負荷が高い場合に、疲労を管理するためのシンプルで費用対効果が高い方法です。次に監督者によるサポートが疲労を軽減する上で重要な役割を果たします。これら2つのメカニズムを組み合わせることで、繁忙期やその他の高ストレスな時期に働く専門家に、最も大きな安心感を提供することができます」とコメントしました。


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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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