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「JavaScript」の商標を持つOracleが商標の開放を求められるも「自主的に取り下げるつもりはない」と拒否


JavaScriptはHTMLやCSSと並んでWebの構築や動作に重要な役割を担っているプログラミング言語です。JavaScriptはテキサス州に本社を置くコンピューターテクノロジー企業のOracleが商標を所持していますが、一般的な用語として広く認識されていることから、有名なエンジニアが先頭に立って1万4000人以上の署名を集めて商標を開放するようOracleに求めました。しかし、Oracleは商標を開放しない意思を正式に示しました。

Deno v. Oracle: Canceling the JavaScript Trademark
https://deno.com/blog/deno-v-oracle


JavaScriptは1995年にネットスケープコミュニケーションズとサン・マイクロシステムズが発表しました。サン・マイクロシステムズは2009年にOracleが買収しており、その際に「JavaScript」という商標も譲渡されています。

JavaScript及びTypeScriptのランタイム環境であるDenoを開発したライアン・ダール氏らは、「JavaScript」を法的なしがらみから解放し、共有の公共財として認識することを目的として、2024年11月22日にOracleの「JavaScript」商標の取り消しをアメリカ特許商標庁(USPTO)に請願しました。

ダール氏らの主張は以下の通り。

・1:JavaScriptは汎用的である
「JavaScript」という用語は、プログラミング言語の一般的な名前になりました。これは、Oracleとはまったく関係ない場所で、世界中の何百万もの開発者や組織によって使用されています。法律により、一般名称となった商標は商標のままではいられません。JavaScriptはブランドではなく、現代のプログラミングの基礎です。

・2:Oracleは過去に虚偽の申請をした
Oracleは2019年にJavaScriptの商標を更新した際、Oracleとはまったく無関係な、ダール氏が立ち上げたプロジェクト「Node.js」のスクリーンショットをUSPTOに提出しました。Node.jsをOracleの「商用利用」の証拠として提示することは、商標法の完全性に違反します。USPTOが商標を更新するためにこの虚偽の証拠に依拠した場合は、商標の更新が無効になる可能性があります。

・3:商標は放棄された
Oracleは長年にわたり「JavaScript」という名前で重要な製品やサービスを提供していません。アメリカの法律では、3年連続で使用されていない商標は放棄されたものとみなされ、Oracleの不作為は明らかにこの基準を満たしています。

ダール氏らは嘆願書をUSPTOに送付するとともに、以下のような署名活動を実施しました。署名は1万4000件以上が集まり、中にはJavaScriptの生みの親であるブレンダン・アイク氏の名前も含まれています。


同様の「JavaScript」商標の開放は、2022年にもダール氏らによって試みられましたが、Oracleから無視されたとのこと。ダール氏は「Oracleはおそらくこの商標に実際のビジネス上の関心はないはずです。商標が更新されたのは、関連性や使用状況に関係なく、法務担当者がすべての商標を更新する義務があるためです。今回も行動を起こさない場合、USPTOに取り消しの請願を提出して所有権を争うことになります」と述べました。

しかし、2025年1月にOracleは嘆願に反応し、「『JavaScript』の商標を自主的に取り下げるつもりはない」とダール氏らに通知しました。


ダール氏の主張では、JavaScriptはすでに商標的な価値はないため、仮に一般のエンジニアがJavaScriptという名前を含む製品をリリースしたとしても、Oracleは商標侵害で訴訟を起こすことはできない可能性が高いそうです。しかし、商標をOracleが所持しているというだけで、慎重なエンジニアたちはJavaScriptという名前を避け、JavaScriptの標準化を担当する団体であるECMAが定義したJavaScriptの標準規格が「ECMAScript」とJavaScriptの名前を避けているように、紛らわしい用語が生まれているとダール氏は指摘。

Oracleが拒否したことで、ダール氏は引き続き法廷闘争を踏まえた働きかけをUSPTOに対して行い、商標をパブリックドメインにする活動を続けていく意思を示しています。

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in ソフトウェア, Posted by log1e_dh

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