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マーベルとDCが所有していた「スーパーヒーロー」の商標が取り消される

by Thomas Hawk

アメリカの特許商標庁が、アメリカの大手漫画出版社であるマーベルとDCコミックスが共同所有する「super hero」(スーパーヒーロー)の商標を無効にする命令を発しました。

MARVEL DC super hero TRADEMARK default.pdf
(PDFファイル)https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/legaldocs/zgvoawwzdvd/MARVEL%20DC%20SUPER%20HERO%20TRADEMARK%20default.pdf


Reichman Jorgensen Lehman & Feldberg Triumphs Over Comic Giants: super hero Trademarks Open to Public Use
https://www.prnewswire.com/news-releases/reichman-jorgensen-lehman--feldberg-triumphs-over-comic-giants-super-hero-trademarks-open-to-public-use-302260374.html

When Marvel and DC Teamed Up to Own Super Heroes - The Escapist
https://www.escapistmagazine.com/when-marvel-and-dc-teamed-up-to-own-super-heroes/

US Trademark Office cancels Marvel, DC's 'Super Hero' marks | Reuters
https://www.reuters.com/legal/litigation/us-trademark-office-cancels-marvel-dcs-super-hero-marks-2024-09-26/

この命令は、イギリスの出版社であるSuperbabies Limitedが提起した訴訟が認められた結果、発令されました。Superbabies LimitedはS・J・リカルド氏の「The Super Babies」という作品を出版しようとした際に、DCコミックスが「super hero」の商標を侵害していると主張し、法的措置を取るという通告を受けたとのこと。そのため、Superbabies Limitedは2024年5月に、アメリカの特許商標庁に商標の取り消しを請求しました。

この請願に対し、マーベルとDCは担当弁護士を選任したものの、商標取り消し請求に対する答弁書を期限である2024年7月24日を過ぎても提出しなかったとのこと。この結果、マーベルとDCコミックスはSuperbabies Limitedの請求に異議を唱えなかったとみなされ、「super hero」の商標が取り消されました。

by tom_bullock

マーベルとDCが「super hero」の商標を取得した経緯については、今回の訴訟に関わった弁護士の一人であるアドム・アドラー氏が以下の記事で解説しています。

When Marvel and DC Teamed Up to Own Super Heroes - The Escapist
https://www.escapistmagazine.com/when-marvel-and-dc-teamed-up-to-own-super-heroes/

アドラー氏によると、「super hero」という用語が商標登録されたのは1967年で、登録者は「Ben Cooper」という企業でした。Ben Cooperはハロウィン向けにスーパーヒーローのコスチュームを製造・販売している衣装メーカーで、Ben Cooperが取り扱っていたコスチュームの中には、マーベルやDCコミックスのキャラクターのものも含まれていました。

その後、1972年にアクションフィギュアメーカーのMegoが「World's Greatest Super Heroes」というブランド名を商標登録しようとしました。しかし、これに対してBen Cooperが商標侵害を訴えて異議申し立てを行います。そこで、Megoは「World's Greatest Super Heroes」の商標権をマーベルとDCに共同譲渡しました。そして、Megoが「World's Greatest Super Heroes」の商標権を共同譲渡した後、Ben CooperもマーベルとDCに「super hero」の商標を譲渡しました。2社が商標を譲渡するに至った背景には、マーベルやDCとの力関係や何らかの取引があったのではないかとアドラー氏は推察しています。

by Terry Robinson

もともと、マーベルは「Marvel Super Heroes」、DCは「Legion of Super Heroes」という特定のフレーズで商標を取得していました。しかし「super hero」という言葉については単独での商標取得は困難だと考えていた模様。そこで、MegoやBen Cooperからの譲渡を受け入れ、両者で「super hero」という商標を共同管理することになったというわけです。

マーベルとDCは、1979年に衣装関連の商標だった「super hero」を漫画本に拡大。さらに1980年代にはクッキーやベルト、ケーキ型などさまざまな商品にも適用しました。両社は、「super hero」という言葉を含む他社の商標登録に頻繁に異議申し立てを行っており、漫画本の「A World Without Superheroes」や自己啓発本の「From Business Zero to Superhero」が対象となっています。ただし、やみくもに異議申し立てを行っていたわけではなく、時には和解合意で解決したり、異議申し立てを取り下げたりするなど、法的リスクを最小限に抑えつつ商標を守る戦略を採っていたとアドラー氏は評価しました。


アドラー氏は今回の商標無効命令について、「『super hero』をパブリックドメインに確立することで、私たちは『super hero』をすべての物語の語り手が用いることができる英雄の象徴として保護します」とコメントしています。

なお、記事作成時点でマーベルとDCの広報担当者と弁護士はロイターのコメント要請に応じていません。

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in メモ,   マンガ, Posted by log1i_yk

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