バットマンやスーパーマンだけじゃないアメコミの世界を支える伝説の漫画家
アメリカン・コミックス(アメコミ)と言えば、スーパーマンやバットマン、スパイダーマン、アイアンマンなどのハリウッド映画化され世界中に熱狂的なファンを抱える作品を思い浮かべますが、全てのアメコミが超常的な能力を持ったスーパーヒーローによる勧善懲悪ものとは限りません。そんなスーパーヒーローものではなく、よりリアルな人間の日常を描くアメコミ作者が「伝説の漫画家」としてGreat Big Storyで紹介されています。
The Legendary Cartoonist Changing the Face of Comics - YouTube
「バットマン」や……
「スーパーマン」は、アメコミ好きでなくとも知っている超有名キャラクターです。
それでは、「ゴーストワールド」や……
「エイトボール」
「David Boring」といった作品を知っていますか?これらもアメリカを代表する漫画のひとつです。
映画化も果たした「ゴーストワールド」の著者が2010年に公開した漫画が「ウィルソン」です。
「映画化されたウィルソンでは、愛情をこめて主人公を演じることができました」と語るのは、実写映画化された「ウィルソン」で主人公を演じたウディ・ハレルソン氏。
これらのアメコミの著者は、ダニエル・クロウズ氏。
クロウズ氏は漫画家であり……
脚本家であり……
作家でもあるという人物。「彼の作品は、私たちが知っているように、人気文化としての漫画の軌跡を変えることとなった」とハレルソン氏は語ります。
そんなクロウズ氏は、1961年4月14日にアメリカ・シカゴで生まれました。
1970年代、クロウズ氏はヒッピーなクラスメイトに囲まれて学生時代を過ごします。
友人たちが「グレイトフル・デッド」や「ジェファーソン・エアプレイン」の楽曲を聴いている時……
クロウズ氏は全く別のものに熱中していました。それが漫画です。
クロウズ氏は自身が高校生だった頃を思い返しながら、「私が高校生の頃、『漫画にのめり込む』ということは、何かに専念するということにおいては最も低いランクのものでした」と、漫画好きが今のように認められる世の中ではなかったと語ります。
他の誰もしなかった「絵を描く」という方法で自己表現を行っていたクロウズ氏。
当時のクロウズ氏にとって、絵を描くことは一種の「感情のはけ口」のようなものだったそうです。
1979年に高校を卒業したクロウズ氏は、ニューヨークのアートスクールに通い始めます。
その際に作った、クロウズ氏の記念すべき1作目の漫画は「ほとんど災害のようなもの」だったそうです。
販売数はひどいもので、編集者からは「君もわかっていると思うけど、この漫画をキャンセルしようと思っている」と言われたそうです。
しかし、2作目の漫画がクロウズ氏の漫画家としてのキャリアを一変させます。それが1989年に出版された「エイトボール」。
エイトボールはさまざまなジャンルの話を異なるタッチで描いたもので、読者から絶大な支持を得ました。
「これは私、ソーラ・バーチよ」と語るのは、映画「ゴーストワールド」で主人公のイーニドを演じたソーラ・バーチ氏。この作品はクロウズ氏をさらに高みへ押し上げることとなります。
「ゴーストワール」が出版された当時について、クロウズ氏は「周りの人々が私をもっと真剣に受け入れてくれるようになった」とコメント。
実際、映画「ゴーストワールド」の脚本を務めたクロウズ氏は、同作でアカデミー賞の候補に挙げられることとなります。これにより世間からの注目はさらに集まることとなり、漫画家としてだけでなく脚本家としても認められるようになります。
ゴーストワールドは漫画に対する世間の考えを変える助けになった作品でもあるとのことで、「出版社は悪戦苦闘していたよ。なぜなら急に多くの人々が漫画を読むようになったからね。当時の人たちは『ホントに売ってる!』と書店でゴーストワールドなどを見つけて言ったものだよ。こうして漫画が奇妙な成長を遂げ始めたんだ」とクロウズ氏は語ります。
そして現在
映画「ゴーストワールド」以降、クロウズ氏はより多忙な日々を送っています。
クロウズ氏の作品は20カ国語以上に翻訳され、世界中で販売されています。また、クロウズ氏のアメコミが2冊も映画化されることとなります。クロウズ氏のアメコミを原作とする映画のひとつは、エイトボールの実写化した「アートスクール・コンフィデンシャル」。
そしてもうひとつが、「ウィルソン」です。
そんなクロウズ氏は、ある時「あなたのキャラクターはどれも悲しい敗者だ。どうしてなんです?」と尋ねられたそうです。この理由について、「私は、リアルなストーリーにおけるキャラクターを作る場合、そのキャラクターがどのようなキャラクターであっても、それを愛するための方法を見つけなければいけないといつも感じています」とクロウズ氏は語っています。
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