ソニーがKADOKAWAを買収交渉中という報道に対する海外の反応、「ELDEN RING」を作った子会社フロム・ソフトウェアの取得が主目的ではと騒がれる

2024年11月19日、アニメ、映画、ゲーム事業などを展開するKADOKAWAをソニーが買収しようとしていると報じられました。翌日になってKADOKAWAの株価が最大46％近く上昇するなど混迷を極めていますが、そんな中、複数のメディアが「ゲームスタジオを手中に収める狙いがあるのでは」などと考察しています。

Exclusive: Sony is in talks to buy media powerhouse behind 'Elden Ring' | Reuters
https://www.reuters.com/markets/deals/sony-talks-buy-media-powerhouse-behind-elden-ring-sources-say-2024-11-19/

Sony Could Acquire FromSoftware's Owners In Most Annoying Attempt to Make Bloodborne Remaster Real
https://gizmodo.com/sony-could-acquire-fromsoftwares-owners-in-most-annoying-attempt-to-make-bloodborne-remaster-real-2000526314

KADOKAWAは「ELDEN RING」など人気作を擁するフロム・ソフトウェアの株式70％を保有していて、一方でソニーはKADOKAWA株を2％、フロム・ソフトウェア株を14％保有している状態。ソニーがKADOKAWAを買収することで絶対的な多数を握ることになるため、海外メディアのGIZMODOなどは「事実上、フロム・ソフトウェアがプレイステーション・ファーストの企業となる可能性がある」と考察しています。

KADOKAWAは「天誅」などで知られるアクワイアを100％子会社化しているほか、「風来のシレン」シリーズのスパイク・チュンソフトを連結子会社として間接所有しています。

ゲームだけでなくアニメやその他エンターテインメント全般を扱うKADOKAWAがソニーの傘下となった場合、ソニーは多数の分野で主権を握ることになります。

ロイターは「ソニーの吉田憲一郎CEOが、『愛すべきキャラクターや知的財産は、30年、50年、100年と生き続けることができる。持続可能な成長のために投資したいものだ』と語っていた」と指摘。GIZMODOはこの言葉を引用しつつ、「ソニーはより多くのアニメ市場に参入し、さらに多くのメディアフランチャイズを獲得しようとしている」と述べました。GIZMODOはまた、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収も引き合いに出し、「またしても大手企業の独占的な取り組みで、フロム・ソフトウェアの作品に深刻な影響を与える可能性がある」とも伝えています。

ソニーは、発売後2週間でサービスを打ち切ったゲーム「CONCORD」の開発スタジオを閉鎖しているほか、ソニー傘下のゲームスタジオ・Bungieで100人規模の大規模解雇を実施、2024年2月にはソニー・インタラクティブエンタテインメントの従業員900人を解雇しているなど、ゲーム事業にとって苦しい時期が訪れています。この点について海外メディアのCryptopolitanは「いくつかの挫折に直面している中で、この契約はソニーの将来に前向きな見通しをもたらす可能性がある」と指摘しています。

一方のKADOKAWAも、2024年11月7日の(PDFファイル)決算報告において、フロム・ソフトウェアの「ELDEN RING」本編・DLCが増収に大きく貢献したと述べています。また、開発・パブリッシュのパイプラインを拡大し、グループ全体でコンスタントに新作ゲームを投入できる体制を整えているとのこと。

さらに、KADOKAWAはアニメやゲームなどのIP(知的財産)を大量に抱えており、それぞれの作品の大型化や長寿化を実現しつつ、自社原作を中心とした大きくヒットが狙える作品企画と高い制作品質と内製化により、継続的な収益向上を狙うと述べています。こうした点から、買収契約は双方にとってメリットがあるとの見方もあります。

Push Squareは、KADOKAWAの筆頭株主が韓国企業であることを取り上げ、「ネットでは、KADOKAWAが日本の組織として生き続けることを望んでいるのではとの臆測が流れている。証明されてはいないが、なぜKADOKAWAが突然ソニーと交渉するつもりなのかを説明するのに役立つかもしれない」と指摘しています。

この件を最初に報じたロイターによると、協議が成功すれば、数週間以内に協定が締結される可能性があるとのことです。