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Micronが開発したGDDR7規格のVRAMはグラボの描画性能を30%以上改善する見込み


2024年3月に仕様が確定したグラフィックボード向けの高速メモリ規格「GDDR7」のメモリを、半導体大手のMicronが開発しました。MicronのGDDR7メモリは、前世代のGDDR6と比較して大幅に帯域幅が増加し、電力効率やゲーム性能も大きく向上しているとのことです。

マイクロン、 ゲームとAI向けの次世代グラフィックスメモリのサンプル提供開始 | Micron Technology
https://investors.micron.com/news-releases/news-release-details/maikuron-10

GDDR7 | Micron Technology Inc.
https://www.micron.com/products/memory/graphics-memory/gddr7

Micron says GDDR7 will provide a 30% improvement in gaming — both ray tracing and rasterization | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/pc-components/gpus/micron-says-gddr7-will-provide-a-30-improvement-in-gaming-both-ray-tracing-and-rasterization

GDDRは主にグラフィックボード向けのメモリとして使われており、NVIDIAのRTX 40シリーズやAMDのRX 7000シリーズにはGDDR6規格のメモリが採用されています。


2024年3月、グラフィックボード向けの高速メモリ規格である「GDDR7」の仕様を、半導体技術標準化団体のJEDECが公開しました。

グラボ向け高速メモリ規格「GDDR7」の仕様が確定、通信速度はGDDR6の2倍 - GIGAZINE


そしてMicronは2024年6月に、GDDR7メモリを開発してサンプル提供も開始したことを発表しました。Micronによると、新たなGDDR7メモリは1.5TB/sを超える帯域幅を持ち、前世代のGDDR6と比較して60%も帯域幅が向上したとのこと。また、4つの独立したチャネルを持つことでワークロードを最適化し、より迅速な応答時間、スムーズなゲームプレイ、処理時間の短縮を可能にしたと説明しています。

Micronは、新たなGDDR7メモリがGDDR6メモリと比較して電力効率を50%以上改善し、発熱を抑え、バッテリーの持続性を高めるとしており、新たに追加されたスリープモードでは待機電力が最大70%削減されると主張しています。さらに、Micron GDDR7メモリはテキストや画像などを生成するAIワークロードのスループットを最大33%向上し、応答時間を最大20%短縮するとのこと。

Micronは、GDDR7を搭載したグラフィックスカードは既存のGDDR6やGDDR6Xを搭載したものと比較して、1080p・1440p・4K解像度のゲームにおいて、レイトレーシングラスタライズのフレームレート(FPS)が30%以上改善されると予想しています。


これに対しテクノロジー系メディアのTom's Hardwareは、Micronの性能予測は印象的なものであると認めつつも、NVIDIAなどのGPUメーカーは必然的にグラフィックスカードのバス幅を大幅に削減するため、実際の性能向上はより小幅になると予想しました。

なお、すでにMicronのGDDR7メモリはサンプルの提供が開始されており、2024年後半にはMicronまたは一部のグローバルチャネルの販売店代理店などを通じて提供される予定です。

Micronのコンピューティング製品グループヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるプラヴィーン・バイディアナサン氏は、「Micronは再びメモリ革新の最前線に立ち、グラフィックス性能のリーダーシップを継続するために、最先端のプロセスとインターフェース技術で構築された最高帯域幅のソリューションを開発しています。Micron GDDR7メモリの最高水準の機能は、最も要求の厳しいアプリケーションに新しい次元のリアリズムとパフォーマンスをもたらします」と述べました。

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in ハードウェア, Posted by log1h_ik

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