琵琶湖固有種「ビワマス」は一体どんな味がするのか?刺身や塩焼きなどいろいろ作って相性のいい調理法を探してみた
「ビワマス」は滋賀県固有種のサケ科の魚で、大きい個体は全長60cmにもなります。そんなビワマスを琵琶湖で釣ってきたので、刺身や塩焼き、鍋、炊き込みご飯など多様な料理を使ってどんな味の魚なのか確かめてみました。
ビワマス|滋賀県ホームページ
https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/shigotosangyou/suisan/18668.html
ビワマスは船に乗りながら魚が掛かるのを待つ「トローリング」という手法で釣れます。琵琶湖周辺にはトローリングに必要な用具を貸し出してくれる施設が数多く存在しており、初心者でも比較的簡単に釣り上げることが可能。実際に琵琶湖でビワマスを釣るまでの流れは、以下の記事で確認できます。今回は、釣り上げたビワマスをさばいて、色んな料理を作ってみます。
琵琶湖でビワマス釣ってきた - GIGAZINE
・目次
◆1:ビワマスをさばく
◆2:ビワマスの塩焼き
◆3:ビワマスの刺身&ルイベ
◆4:ビワマスのムニエル
◆5:ビワマスで石狩鍋
◆6:ビワマスとキノコの蒸し煮
◆7:ビワマス炊き込みご飯(あめのいおご飯)
◆8:まとめ
◆1:ビワマスをさばく
ビワマスを7人で35尾釣り、そのうち6尾をゲットして持ち帰ってきました。小さいものは全長30cm強で、大きいものは全長54cmもあります。
というわけで、ビワマスをさばきます。まず、タワシで表面を軽くなでてウロコを取ります。
ウロコを取ったら、表面を洗ってまな板に置きます。
小さめの個体は、3枚おろしにします。ビワマスは特に複雑な体形ではないので、一般的な魚の3枚おろしと同じ手順でさばけます。サケに近いピンク色が特徴的。
3枚おろしにして、ハラミだけ別にしました。頭や中骨はあら汁などに使いたいので捨てずに取っておきます。なお、春のビワマスは生殖腺が発達していないため、イクラや白子は諦めて内臓は全部捨てました。
大きめの個体は、骨ごと断ち切って切り身にしました。
6尾中5尾は3枚おろしや切り身にして、1尾だけ塩焼き用に取っておきます。
「ビワマスは釣った当日は水っぽいので、キッチンペーパーとラップで包んで冷蔵庫に1日置いてから食べた方がいい」という情報を得たので、3枚おろしにした身と切り身をキッチンペーパーとラップで包んで冷蔵庫に入れました。さらに、1日経過した後にすぐ使わない分を冷凍庫へ移動させています。
◆2:ビワマスの塩焼き
内臓だけ取って切らずに残しておいたビワマスを塩焼きにします。まず、塩を表裏にまぶして15分くらい置きます。
15分くらい経過すると表面に水分が浮き出てくるので、キッチンペーパーで水分を吸い取ります。
水分を吸い取ってから、オーブンでじっくり焼きました。
ビワマスの塩焼きの完成。
中身はオレンジ色になっていました。脂が多いためか、かなり崩れやすく、口に入れるとホロホロと崩れてなくなります。味はサケと比べて甘めで脂も多めですが、不思議としつこさは皆無で、飽きずに1尾まるごと食べられました。
◆3:ビワマスの刺身&ルイベ
冷蔵庫で1日冷やしたビワマスを刺身にしてみました。
やはり脂が多く、養殖サーモンに引けを取らない甘さ。刺身で食べても「脂が多いのにしつこくない」という特徴は同じで、「脂が多くてとても甘いのにどれだけ食べても胸焼けしない」という非常に上等な味です。
冷蔵庫で1日置いたビワマスは少しコリコリした食感が特徴的。さらに、冷蔵庫に2日置くと、コリコリ感がなくなって「口の中でとけてなくなる」という感じに変化しました。冷蔵庫に置いた長さによって食感が変化するので、ビワマスを釣った際は1日で食べきらずに何日かに分けて食べることを強く推奨します。
さらに、冷凍したビワマスを解凍せずに切りそろえて、北海道名物「ルイベ」を作ってみました。ルイベは、サケやマスなどの魚を冷凍し、解凍せずに刺身にして食べる郷土料理です。
ビワマスのルイベは、「外側はトロッととろけて、内側はシャリシャリ」という理想的な食感に仕上がりました。脂が多いため、外側のトロトロ食感と内側のシャリシャリ食感のコントラストが明確になり、非常に美味。刺身もルイベもビワマスの脂の多さを存分に楽しめるため、かなりオススメの食べ方です。
ビワマスを酢でしめるとどんな味になるのか気になったので、1日冷蔵したビワマスを米酢でしめてみました。
ビワマスに米酢をかけたら、キッチンペーパーをかぶせて米酢が全体に行き渡るようにします。
10分後に切り分けてビワマスの酢じめの完成。表面が少し白っぽくなっています。
食べてみると、米酢の酸味でビワマスの甘味が強調されてグッド。酢の酸味が苦手でないなら、試してみるべき調理法です。
◆4:ビワマスのムニエル
ビワマスがサケやサーモンに似た味であることが分かったので、サケと同様の調理方法と相性がいいのだろうと判断し、ムニエルを作ってみました。まず、ビワマスの切り身に塩とコショウを振ります。
続いて、小麦粉をまぶします。
フライパンに油を引いて、こんがり焼き上げます。
焼けたビワマスは皿に移して、フライパンにバターを投入し、ビワマスから染み出した脂と合わせてバターソースを作ります。
バターソースを焼けたビワマスにかけたらムニエルの完成。
完成したビワマスのムニエルの見た目はこんな感じ。
食べてみると、サケのムニエルと比べて甘味が強めです。一方で、サケの独特な香りは薄めで、香りだけではなんの魚か判別できない感じ。腹骨は柔らかめなので骨ごと食べられるのがうれしいポイントです。
◆5:ビワマスで石狩鍋
ビワマスを使って、石狩鍋風の鍋料理も作ってみます。材料はビワマスの切り身、ビワマスのあら、豆腐、タマネギ、シイタケ、ネギ、その他の調味料です。
まず、沸騰したお湯にビワマスのあらを投入して、ガンガン煮込みます。アクはあまり出なかったので、取らずに放置しました。
酒とみりんも適量投入します。
ビワマスの切り身も投入。
残りの具材も全部入れて、煮込みます。
具材に火が通ったら味噌を投入。
これで石狩鍋風の鍋料理の完成です。
食べてみると、味噌によってビワマスの甘味が強調されているほか、シイタケによって旨味がブーストされており、とにかく甘くて旨い鍋に仕上がっていました。また、ビワマスやシイタケの旨味が豆腐などの具材に染み込んでいるのもグッド。スープにも旨味が染み出しているので、最後の一滴まで楽しめました。
◆6:ビワマスとキノコの蒸し煮
簡単に作れるサケ料理「さけとたまねぎ、しめじのポン酢蒸し 」のビワマス版も作ってみます。材料はビワマスの切り身、タマネギ、ブナシメジ、ショウガ、その他の調味料です。
鍋に具をすべて投入し、ポン酢、酒、醤油を回しかけます。
フタをして7~8分蒸したら完成。
食器に盛り付けるとこんな感じ。
食べてみると、ショウガの辛さでビワマスの甘味が覆い隠されてしまい、ビワマスならではのおいしさを感じられませんでした。料理としてはおいしいものの、ビワマスの風味が消えてしまうため、ビワマスとショウガを一緒に蒸すのはオススメできません。
◆7:ビワマス炊き込みご飯(あめのいおご飯)
滋賀県ではビワマスの炊き込みご飯が「あめのいおご飯」という名前で親しまれているようなので、農林水産省のレシピに従って作ってみます。材料はビワマスの切り身と米のほかに、シイタケ、ニンジン、ネギ、昆布だし、醤油、酒、みりんが必要です。
まず、ビワマスの切り身を醤油、酒、みりんで煮ます。
米を昆布だしに浸し、その上にビワマスの煮汁を加えます。
煮汁を加えたら、ネギ以外の材料をすべて投入。
続いて、一般的な炊き込みご飯と同様の方法で炊きます。今回は鍋で炊いていますが、炊飯器で炊いてもOKです。
炊き上がって蒸らし終わったら、フタを開けます。
ネギを投入。
ビワマスを崩しながら混ぜ込めば完成です。
あめのいおご飯を食器に盛り付けるとこんな感じ。
食べてみると、ビワマスとシイタケ昆布だしによって非常に旨味の強い炊き込みご飯に仕上がっていました。ただし、ビワマスの味は感じられるものの、サケやサーモンで作る炊き込みご飯と大差ない味わいで、ビワマス独特の甘味は感じられませんでした。
◆8:まとめ
ビワマスを使っていろんな料理を作った結果、刺身や塩焼きなどのシンプルな調理法ではビワマスの強い甘味を感じられるものの、炊き込みご飯や薬味の多い調理法ではビワマスらしさが失われてしまうことが分かりました。このため、ビワマスを食べる際はまず塩焼きや刺身を味わうことをオススメします。
また、今回作った料理の中では、ビワマスの石狩鍋もビワマスの甘味や旨味を存分に楽しめました。どうやら、ビワマスの甘味は味噌と相性が良いようです。
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