Instagramがインフルエンサーの「声」をAIに学習させてファンへの対応を自動化する機能「Creator A.I.」をテスト中
Instagramが人気インフルエンサーに対し、AIを活用してファンとのやり取りを行うプログラム「Creator A.I.」のテストを行っていると報じられています。Creator A.Iはインフルエンサーに扮したチャットボットがダイレクトメッセージやコメントを通じてファンと会話する機能で、インフルエンサーが大量のメッセージやコメントに個別に返信する手間を削減しつつ、ファンとのつながりを強化できることが期待されています。
Ready for a Chatbot Version of Your Favorite Instagram Influencers? - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/04/15/technology/instagram-influencers-chatbots.html
Instagramを運営するMetaのマーク・ザッカーバーグCEOは、AIを事業のあらゆる面に取り入れることを強く推し進めており、将来的には人々が日常的なタスクや仕事をこなすための万能なAIアシスタントを想定しています。同社はAI開発のために多額の予算を投じ、Google、Microsoft、OpenAIなどと競争しています。
アメリカ日刊紙のThe New York Timesによると、Creator A.I.のチャットボットは、Instagram上での過去の投稿やダイレクトメッセージ、コメント、リールやストーリーの音声などのデータを学習し、インフルエンサーの「声」を模倣してファンとやり取りを行うとのこと。特定の質問に対する回答についてはあらかじめ指定することができるので、インフルエンサーの意図に沿ったコミュニケーションをファンと行うことができます。
透明性の観点から、Creator A.I.のチャットボットが生成したメッセージにはAIによって生成されたものであることが明示される予定で、将来的にはInstagramのコメント欄でも利用できるようになる可能性があります。
Creator A.I.は記事作成時点でまだ初期テストが進められている段階とのことですが、2024年5月にニューヨークで開催されるイベントで一部のインフルエンサーを対象にデモンストレーションが行われる予定だそうです。
しかし、一部のインフルエンサーは、AIが自分の意図しない発言を行う可能性を懸念しているとThe New York Timesは報じています。AIが学習するデータはインフルエンサーの過去の発言に基づいていますが、文脈によっては不適切な返信をする恐れがあり、インフルエンサーのイメージや信頼を損なう可能性があるためです。
また、フォロワーと直接的なコミュニケーションを通じて成功を収めてきたインフルエンサーやそのファンの中には、「チャットボットではファンとの本質的なつながりを再現することが難しい」と考える人も多いとのこと。AIによる自動化された対話では、ファンとの深い絆を築くことが困難だと指摘されています。
MetaはすでにMrBeastやケンダル・ジェンナーなどのインフルエンサーをモデルにしたチャットボットを発表していました。このチャットボットはインフルエンサーの声や応答を学習するCreator A.I.とは別ですが、インフルエンサーのアバターを備えながらキャラクターに特化したトークを行えるというものです。
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しかし、このチャットボットについて、ファンからは「なぜロボットとメッセージをやり取りしたいのか?」「ケンダル・ジェンナーが、このロボットが自分のふりをしていることをどう思うだろう」といったコメントが寄せられるなど否定的に捉えられているとのことで、プロジェクトとしては成功とは言い難い結果となっています。
これらの懸念はAIを活用したインフルエンサーマーケティングの課題を浮き彫りにしている、とThe New York Timesは指摘しています。インフルエンサーとファンの関係性は真正性と直接的なつながりに基づくため、インフルエンサー側とファン側の両方が「AIによって関係性が壊れてしまう可能性」を危惧しています。The New York Timesは、Metaがこれらの懸念に対処しつつ、AIの効果的な活用方法を模索する必要があると主張しました。
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