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NVIDIAが「日本の量子コンピューター研究を支援」「人型ロボット基盤モデルを強化」「創薬向けAIサービス」「自動車向けAIチップの提供拡大」などをGTC 2024で発表


NVIDIAの技術カンファレンス「GTC 2024」が2024年3月19日(火)から開幕し、ヒューマノイドロボット向けの汎用基盤モデルとなる「Project GR00T」などを発表したので、その一部をまとめました。

NVIDIA Announces Project GR00T Foundation Model for Humanoid Robots and Major Isaac Robotics Platform Update | NVIDIA Newsroom
https://nvidianews.nvidia.com/news/foundation-model-isaac-robotics-platform

NVIDIA Powers Japan’s ABCI-Q Supercomputer for Quantum Research | NVIDIA Newsroom
https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-powers-japans-abci-q-supercomputer-for-quantum-research

NVIDIA Healthcare Launches Generative AI Microservices to Advance Drug Discovery, MedTech and Digital Health | NVIDIA Newsroom
https://nvidianews.nvidia.com/news/healthcare-generative-ai-microservices

NVIDIA DRIVE Powers Next Generation of Transportation — From Cars and Trucks to Robotaxis and Autonomous Delivery Vehicles | NVIDIA Newsroom
https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-drive-powers-next-generation-transportation

アーキテクチャの「Blackwell」やGPU「B200」は以下の記事にまとめています。

NVIDIAが数兆パラメータ規模のAIモデルを実現するGPUアーキテクチャ「Blackwell」と新GPU「B200」を発表 - GIGAZINE


◆ヒューマノイドロボット向け汎用基盤モデル「Project GR00T」発表、「Isaacロボティクスプラットフォーム」の大幅アップグレード
ロボティクスとEmbodied AI(身体性を有するAI)のブレイクスルー促進に対する取り組みをさらに推進するため、ヒューマノイドロボット向けの汎用基盤モデルとなる「Project GR00T」が発表されました。


また、この取り組みの一環として、車載用SoC「Thor」ベースでヒューマノイドロボット向けの「Jetson Thor」と、Isaacロボティクスプラットフォームの大幅なアップグレードも発表されました。

ジェンスン・フアンCEOは「一般的なヒューマノイドロボットの基盤モデル構築こそが、今日のAIで解決すべき最もエキサイティングな課題の1つです。世界中の一流ロボット研究者が、人工汎用ロボティクスに向けて大きな飛躍を遂げるため、実現可能なテクノロジーが集結しつつあります」と語りました。

以下は「Project GR00T」発表の様子です。

Today is the beginning of our moonshot to solve embodied AGI in the physical world. I’m so excited to announce Project GR00T, our new initiative to create a general-purpose foundation model for humanoid robot learning.

The GR00T model will enable a robot to understand multimodal… pic.twitter.com/EqN19Z3cXH

— Jim Fan (@DrJimFan)


「Jetson Thor」は複雑なタスクを実行し、人やマシンと安全かつ自然に対話できる新しいコンピューティングプラットフォームとして作成されており、パフォーマンス、電力、サイズに対して最適化されたモジュラーアーキテクチャを備えているとのことです。

◆2025年導入予定の量子コンピューティング用スパコン「ABCI-Qスーパーコンピューター」支援
産業技術総合研究所(AIST)量⼦・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)に富士通が構築し、2025年はじめから導入予定となっている「ABCI-Q スーパーコンピューター」には、Quantum-2 InfiniBandで相互接続された500以上のノードに、H100 GPUが2000基以上搭載されることになります。


また、ハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームのCUDA-Qが統合され、強力なシミュレーションツールと量子コンピューティング・古典コンピューティングのハイブリッドシステムをプログラム機能を備えるとのこと。

担当ディレクターのティム・コスタ氏は「研究者は、量子コンピューティングでの極めて困難な課題に立ち向かうために、高性能なシミュレーションを求めています。CUDA-QやNVIDIA H100が、ABCIのような先駆的な研究機関で導入されることで、極めて重要な発展を遂げるようになり、量子統合スーパーコンピューターの開発が加速されるようになります」と語っています。


また、G-QuATの副センター長・堀部雅弘氏は「ABCI-Qを通じて、日本の研究者は量子コンピューティングについてより深く知り、実用的なアプリケーションのテストおよび開発を加速できるようになるでしょう。NVIDIA CUDA-QプラットフォームとNVIDIA H100により、量子コンピューティング研究の新たなフロンティアを探求する科学者を支援します」と述べました。

G-QuATとNVIDIAは、ABCI-Qを使用した産業用アプリケーションでも協力する予定だとのことです。

◆創薬・医療技術・デジタルヘルス推進のための生成AIマイクロサービス
世界中にヘルスケア企業が、どこからでも、どのクラウド上でも生成AIの最新の進歩を活用できるようにする20以上の新たなマイクロサービスの提供が始まりました。


サービスの新しいスイートには、クラウドネイティブアプリケーションを作成・展開するのに必要な業界標準APIを備えて最適化されたNVIDIA NIM AIモデルとワークフローが含まれ、高度な画像処理、自然言語と音声認識、デジタル生物学の生成、予測、シミュレーションが提供されます。

さらに、CUDA-Xマイクロサービスとして、NVIDIAアクセラレーテッドソフトウェア開発キットとツールにアクセスできるようになり、創薬や医用画像処理、ゲノム解析などのヘルスケアワークフローの高速化を実現します。

NVIDIAのヘルスケア担当バイスプレジデントであるキンバリー・パウエル氏は、「歴史上初めて、生物学と化学の世界をコンピューターで表現できるようになり、コンピューター支援による創薬が可能になります。ヘルスケア企業がAIソリューションを簡単に構築および管理できるよう支援することで、医療企業が生成AIのパワーと可能性を最大限に活用できるようになるでしょう」と語りました。

◆運輸業界大手が車両にNVIDIA DRIVE Thor集中型車載コンピューターを採用
コックピット機能やセーフティ対応、セキュリティ対策、高度な自動化や自律運転が提供される車載コンピューティングプラットフォーム「DRIVE Thor」が、比亜迪(BYD)、昊鉑(Hyper)、小鵬(XPENG)、Plus、Nuro、Waabi、WeRideの次世代車両に採用されたとのこと。


すでにEVメーカーの理想汽車(Li Auto)、極氪(ZEEKR)が先行する中、BYDはNVIDIAとのコラボレーションを自動車だけでなくクラウドまで拡大して、AI開発やトレーニングテクノロジーにNVIDIAのインフラストラクチャを使用し、仮想工場計画や、販売向けコンフィギュレーター用ツールとアプリケーションの開発も計画しているとのこと。

また、広汽埃安(GCA AION)のプレミアムブランドであるHyperは、フラッグシップモデル・Hyper GTにNVIDIA DRIVE Orinを使用中で、2025年生産の次世代EVでDRIVE Thorを採用します。

NVIDIAの自動車対応バイスプレジデント、シンジョウ・ウー氏は「アクセラレーテッドコンピューティングは、自律性と世界の交通業界全体を再定義する生成AIなどの革新的なブレークスルーをもたらしました。DRIVE Orinは今日のインテリジェント車両に最適なAIカーコンピューターであり続けていますが、現在、モビリティリーダーたちが次世代のAI対応車両のロードマップにNVIDIA DRIVE Thor を導入することを計画しています」と語っています。

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in ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by logc_nt

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