NVIDIAが自律移動ロボットの開発を加速させる高性能AIコンピューティング&センサーテクノロジープラットフォーム「Isaac Nova Orin」を発表
段差や凹凸を検知し、前後左右に自律走行しながら目的地まで移動する自律移動ロボット(AMRs:Autonomous Mobile Robots)の開発を加速するためのプラットフォーム「Isaac Nova Orin」をNVIDIAが発表しました。
NVIDIA Unveils Isaac Nova Orin to Accelerate Development of Autonomous Mobile Robots
https://blogs.nvidia.com/blog/2022/03/22/nvidia-isaac-nova-orin-amrs/
AMRsは主に物流業界で活躍しているロボットで、Amazonの倉庫で活躍するルンバ風のロボットがその代表格と言えます。Amazonの倉庫に導入されているAMRsがどんなロボットなのか気になる人は、以下の記事をチェックしてみてください。
Amazonの棚をまるごと背負って運ぶ自律走行ロボットを巨大物流システム「Amazon Robotics」の現場で見てきました - GIGAZINE
AMRsを採用している倉庫は9万平方メートル以上の敷地面積を誇るケースもあり、倉庫面積に応じてARMsの台数を増減させることで、倉庫側の需要に柔軟に対応することができる点もポイントのひとつ。しかし、病院、小売業者、空港、製造業者などでAMRsを活用するとなると、絶えず動き回る労働者の存在が大きな障害となります。
そんなAMRsの開発を加速するために、NVIDIAは最先端のコンピューティング&センサーリファレンスプラットフォームとなる「Isaac Nova Orin」を発表しました。Isaac Nova OrinはサーバークラスのAIパフォーマンを提供できるJetson AGX Orinをベースに構築されたもので、高性能AIコンピューティング機能と最先端のセンターテクノロジーが融合したものとなります。
Isaac Nova OrinにはAMRsの自律走行を設計・構築・テストするために必要なコンピューティング機能とセンサーハードウェアがすべて含まれており、その中核となるのが2つのJetson AGX Orinユニットです。2つのJetson AGX Orinにより、最大550TOPSのAIコンピューティングが可能となります。また、これらのモジュールは6台のカメラ、3台のLiDAR、8台の超音波センサーから成るセンサーユニットからのデータをリアルタイムで処理することが可能です。
Isaac Nova OrinはこれらのAIコンピューティングハードウェアだけでなく、NVIDIA Isaac ROS GEMsのようなハードウェアアクセラレーションパッケージや、新しいシミュレーションアプリの「NVIDIA Isaac Sim」のサポートも含みます。これらを活用することでAMRsが周囲の環境をよりよく認識し、障害物を安全に回避し、効率的な経路を計算するためのソリューションを用意しているとNVIDIAはアピールしています。
実際にNVIDIA Isaac SimとNVIDIA Isaac ROSを使うことで、AMRs向けの仮想環境の構築および自律走行テストがどのくらい簡単になるのかは以下のムービーを見れば一目瞭然です。
AI Warehouse: AMR Visual Navigation with Isaac Sim & Isaac ROS - YouTube
これがNVIDIA Isaac Simで構築された仮想環境。「Isaac Carter」と書かれているのが、仮想環境を自律走行するAMRsです。
AMRsの自律走行をトレーニングするための仮想環境をランダムに構築可能。
構成要素は倉庫・棚・木箱・ダンボール箱・パレット・フォークリフトなど。棚や障害物(パレットやダンボール箱、フォークリフトなど)を自由に配置することができます。
仮想環境を走行するAMRsは、NVIDIAのビジュアルアルゴリズムであるSLAMを用いて周囲の物体を検知します。
そこから3Dメッシュで周囲環境を再現し……
周囲環境のうち「Distant obstacle(遠くにある障害物)」「Near obstacle(近くにある障害物)」「Potential colision(衝突する可能性のあるエリア)」を認識し、これらに該当しない部分をぬうように走行することで、障害物を避けながらの走行を仮想空間でシミュレートするわけです。
なお、NVIDIA Isaac Simは2022年4月にリリース予定です。
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