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OpenAIのサム・アルトマンCEOがこれまで3回もOpenAI含めてクビになった理由と経緯を振り返る

by TechCrunch

OpenAIのサム・アルトマン氏は、2023年11月に突如OpenAIの取締役会から退任を促され、CEO職からの退任とOpenAIからの退職を発表しました。その後、アルトマン氏は一時的にMicrosoftに籍を置いた後、OpenAIのCEOに復帰し、大きな話題となりました。アメリカの経済紙であるThe Wall Street Journalが、アルトマン氏にこれまでOpenAIを含めて3回も辞職を迫られた過去があることに触れ、その経緯を解説しています。

Sam Altman’s Knack for Dodging Bullets—With a Little Help From Bigshot Friends - WSJ
https://www.wsj.com/tech/ai/sam-altman-openai-protected-by-silicon-valley-friends-f3efcf68

アルトマン氏が解雇されたのはOpenAIが初めてではありません。アルトマン氏はOpenAIを含めてこれまで3つの組織でトップリーダーから退任を迫られた経緯があります。

アルトマン氏はOpenAIの設立に関わる以前の2005年に、スマートフォン向けの位置情報サービスに関するアプリを開発するLooptの共同創設者兼CEOに就任しました。当時、アルトマン氏はスタンフォード大学の2年生で、コンピューターサイエンスを専攻していました。

by ali asaria

アルトマン氏は「すべての携帯電話にGPSが搭載されます。このテクノロジーを組み合わせる最適な方法を見つけるために、興味ある人には参加してほしい」と呼びかけ、GPSを用いて地図上で友人の場所を知ることができるアプリの開発を進め、スタンフォード大学から中退してLooptを立ち上げました。このLooptの立ち上げに対して投資したのが、シリコンバレーのスタートアップ企業に投資するシードアクセラレーター・Y Combinatorでした。

しかし、アルトマン氏は「欺瞞(ぎまん)的で無秩序な行為を行った」として、Looptの上級従業員から2度にわたってCEO解任案を取締役会に提出されました。The Wall Street Journalによると、アルトマン氏がLooptの主要事業とは別にサイドプロジェクトを進めており、Looptの技術をゲイ向けの出会い系アプリの開発に転用したことに苦情が集まったそうです。ただし、この時、取締役会は2012年にLooptが銀行に売却されるまでアルトマン氏を引き留めたとのこと。

by Julie Pimentel

Looptの最高執行責任者だったマーク・ジェイコブスタイン氏は「アルトマン氏が何かを真実だと思うと、頭の中でそれが現実になるのです。これは野心的なことを求める起業家にとっては並外れた才能です。事業の拡大につながる場合もあれば、そうならない場合もありますし、それが人々を不快にさせる可能性もあります」と述べています。なお、The Wall Street Journalが関係者に聞いた話によれば、アルトマン氏はLooptで従業員から受けた苦情について全く覚えてないそうです。

その後、アルトマン氏はY Combinatorの代表取締役に就任します。それまでY Combinatorは創設者であるポール・グレアム氏が数人の仲間たちと立ち上げたシードファンディング企業でした。アルトマン氏はY Combinatorの投資先を大きく拡大することに成功し、DropboxやAirbnb、Reddit、Dockerなどを支援しました。その結果、Y Combinatorを投資企業として揺るがぬ大企業に成長します。

しかし、その一方でアルトマン氏はYC Researchと呼ばれる非営利研究所を設立し、Y Combinatorから半ば独立した研究事業を始めました。このことは、アルトマン氏がY Combinaotrの中核事業の運営から大きく逸脱しているのではないかという疑念を生みました。

by TechCrunch

2015年、テスラやSpaceXのCEOで知られるイーロン・マスク氏とGoogleの共同設立者であるラリー・ペイジ氏がAIについての議論でたもとを分かち、GoogleはAI企業であるDeepMindへの投資に注力するようになりました。これに対して、マスク氏はサム・アルトマン氏らと協力し、2015年12月にOpenAIを設立します。どういう経緯でOpenAIが設立したかの詳細については、以下の記事にまとめられています。

DeepMind・OpenAI・Anthropicの設立の経緯について、AIのリスクを最も恐れていた人々は自分たちがトップになるべきだと決心し構築するまで - GIGAZINE


そして2019年に、Y Combinatorは「OpenAIを含む個人プロジェクトをY Combinatorの仕事より優先した」という理由で、代表取締役の辞任を発表しました。

サム・アルトマンはOpenAI以前にも解任された経験がある - GIGAZINE


この時、アルトマン氏は退任をスムーズに行うため、代表取締役から会長に異動することを提案し、会長職に移行したことをY Combinatorの公式ブログで先行公開しました。しかし、Y Combinaotrの経営陣との関係を修復することはできず、ブログ記事は削除されました。

そして2023年11月17日、OpenAIはサム・アルトマン氏の退任と退社を発表しました。この退任については、当時のOpenAIの取締役会の決議によって、アルトマン氏の解任が決定されたからと報じられています。

AI開発企業・OpenAIのサム・アルトマン氏が退任、暫定CEOにミラ・ムラティCTO - GIGAZINE


アルトマン氏は解任されたあと、Airbnbの共同創設者であるブライアン・チェスキーCEOに、自身がOpenAIのCEOから解任され、OpenAIを退社することになったことについて「とても厳しい」とメールで報告したそうです。そのしばらく後になり、OpenAI最大のビジネスパートナーであるMicrosoftのサティア・ナデラCEOから「アルトマン氏はシリコンバレーのサポートを受けている」というメールがチェスキーCEOに届いたとのこと。

チェスキーCEOはアルトマン氏、そして同時に社長職を退任してOpenAIを退社したグレッグ・ブロックマン氏とビデオ通話を行い、なぜこんなことになったのかをアルトマン氏に尋ねたところ、アルトマン氏は「取締役員であるヘレン・トナーやイルヤ・サツキヴァー氏と言い争った結果かもしれない」と答えたとのこと。その後、チェスキーCEOはエンジェル投資家であるロン・コンウェイ氏を初めとするシリコンバレーの有力者たちとアルトマン氏の今後について話し合い、OpenAIの取締役会とも交渉を行ったそうです。チェスキーCEOが積極的支援したのは、アルトマン氏がY Combinatorの代表取締役だった頃、チェスキーCEOに対してAirbnbを軌道に乗せるための支援とアドバイスを行っていたからだとThe Wall Street Journalは説明しています。


The Wall Street Journalによると、アルトマン氏はOpenAIを解任されたあと、サン・マイクロシステムズの共同創設者でOpenAIの投資家でもあるヴィノッド・コースラ氏やコンウェイ氏、そしてサティア・ナデラ氏によるサポートを受けていたとのこと。そして、解任から2日後にMicrosoftはサム・アルトマン氏を、OpenAIに復帰するまで一時的に社員として迎えることを発表しています。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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