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なぜEpic GamesはAppleとの裁判には負けたのにGoogleには勝訴したのか?


アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ連邦地方裁判所は、人気ゲーム「フォートナイト」の開発元であるEpic Gamesが「Googleのアプリストアは独占禁止法に違反している」と訴えたのに対し、Epic Gamesの主張を陪審員満場一致で認める判決を2023年12月12日に下しました。Epic Gamesは同様の訴訟をAppleにも起こしていたものの敗北を喫しており、今回Googleに勝利できたのにはいくつかの理由があるとみられています。

20 things we learned from the Epic v. Google trial - The Verge
https://www.theverge.com/23959932/epic-v-google-trial-antitrust-play-store-fortnite-recap


Tim Sweeney: Why Epic did better against Google than Apple in court
https://www.cnbc.com/2023/12/12/tim-sweeney-why-epic-did-better-against-google-than-apple-in-court.html


Googleはアプリのサブスクリプションに対する支払いに15%の手数料を、ゲーム内支払いによる売上に最大30%の手数料を徴収していました。この裁判は、GoogleがGoogle PlayストアでEpic Gamesをはじめとするアプリ開発者から料金を徴収するのは独占禁止法に違反するという訴えによるもので、2020年から3年間にわたって裁判が行われてきました。

そして、2023年12月11日に3時間を超える審議を経て、9人の陪審員は「Googleがスマートフォン向けアプリストア市場で独占を維持し、ゲームメーカーに損害を与える反競争的行為を行っていた」と認め、11件の請求についてEpic Gamesの訴えが認められる判決が下されました。

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Epic Gamesは同様の訴訟をAppleにも起こしていましたが、2023年4月で10件の請求のうち9件でAppleの主張が認められ、独占禁止法に関する請求についてはAppleが勝利するという結果となりました。なお、この判決を不服としたEpic Gamesは、最高裁判所に上告しています。

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Epic Gamesのティム・スウィーニーCEOは、GoogleがSpotifyNetflixなどの一部アプリメーカーと秘密協定を交わしていたこと、そしてその秘密協定についての会話記録をGoogle幹部が違法に削除しようとした疑惑が裁判中に発覚したことが、Epic Gamesの勝利につながったと述べています。

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また、Appleの訴訟判決は裁判官によって下されたのに対し、Googleの訴訟判決は陪審裁判によって下されたのも影響しているとしており、「アメリカの司法制度の偉大さを示す一例です」とコメントしています。


AppleもGoogleと同様に秘密協定を特定のアプリメーカーと交わしていたことが報じられていますが、秘密協定の存在を示唆するメール自体は発見されているものの、秘密協定に関する具体的な文書は残されていなかったとのこと。

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また、アプリストア以外にインターネットからアプリをインストールする「サイドローディング」について、AppleのiOSでは認められていないのに対し、GoogleのAndroidでは認められている点も大きな違いです。さらにIT系ニュースサイトのThe Vergeは、Googleが最大30%という手数料は正当な割合であるという主張の根拠を裁判の中で示すことができなかったのも、Googleが裁判で負けた理由の一つだと述べています。

スウィーニーCEOは「皆さまのご支援とご信頼に感謝いたします!フォートナイトをFreeに!」とコメントしています。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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