Appleが「iOS・iPadOS・macOS用に3つの異なるウェブブラウザが偶然『Safari』という名前で提供されている」というトンデモ主張でEUの規制を回避しようとしていた
AppleがEUのデジタル市場法による規制を逃れるために、「SafariのiOS版・iPadOS版・macOS版は、名前が同じだけで中身は異なるウェブブラウザであり、使用目的も違う」と主張したことが明らかとなりました。
CASES DMA.100013 Apple – online intermediation services – app stores, DMA.100025 Apple – operating systems and DMA.100027 Apple – web browsers
(PDFファイル)https://ec.europa.eu/competition/digital_markets_act/cases/202344/DMA_100027_197.pdf
To avoid regulation, Apple said it had three Safari browsers • The Register
https://www.theregister.com/2023/11/02/apple_safari_browser/
Apple Argued Safari Is Three Different Browsers to Avoid Regulation - MacRumors
https://www.macrumors.com/2023/11/04/apple-argued-safari-is-three-different-browsers/
2023年5月2日に施行されたデジタル市場法では、大規模デジタルプラットフォームが「ゲートキーパー」と呼ばれ、規制対象となっています。ゲートキーパーと認定される3つの基準については、以下の記事にまとめられています。
Amazon・Apple・Google・Microsoftなど大手テクノロジー企業7社がEUのデジタル市場法における「ゲートキーパー」であることを認める - GIGAZINE
2023年9月、欧州委員会はデジタル市場法に基づき、Googleの親会社であるAlphabet、Amazon、Apple、ByteDance、Meta、Microsoftをゲートキーパーとして指名し、デジタル市場法に示されている法的義務を順守するように6カ月の猶予を与えました。
この中で、Appleはオペレーティングシステム(iOS)・オンライン仲介サービス(App Store)・ウェブブラウザ(Safari)という3つのコアプラットフォームでゲートキーパーと認定されました。そのため、AppleはiOSで動作するサードパーティー製のアプリストアやSafariのWebKit以外で動作するブラウザエンジンを2024年3月までにヨーロッパで認める必要があります。万が一Appleがデジタル市場法で定められた要件を順守しなかった場合、世界売上高の10%に相当する制裁金を科されます。
Appleは2023年7月にゲートキーパーに認定されることを知らされ、同年8月に欧州委員会の決定に異議を唱える回答を提出。その中でAppleは、記事作成時点でiOS・iPadOS・macOSのデフォルトブラウザとして提供されているSafariについて、「それぞれまったくの別物である」と主張しました。
例えばAppleは、開いているタブやブックマーク、閲覧履歴を見ることができるサイドバー機能が、iPadOS版とmacOS版のSafariでは利用できるものの、iOS版では利用できず、プラットフォームによってSafariは明らかに異なると述べています。
しかし、欧州委員会は「Safariの機能性と基礎となる技術はプラットフォーム間でほぼ同一である」と指摘。さらに、AppleがSafariの公式紹介ページで「同じSafariを、あらゆるデバイスで。」というキャッチコピーでアピールしている点についても言及し、欧州委員会はAppleの主張を否定しました。
なお、規制を避けるためにプラットフォームの市場シェアを細分化することを禁止する迂回(うかい)防止規定がデジタル市場法に定められているため、仮にSafariが3つの異なるブラウザであるという言い分が認められたとしても、この迂回防止規程に抵触する可能性があります。
・関連記事
AppleはDuckDuckGoをSafariのデフォルト検索エンジンに採用することを検討していた - GIGAZINE
Safari 17.0がリリース、プロファイル機能のほか、多数のAPIや要素のサポートが追加される - GIGAZINE
GoogleはAppleの独自検索ツールをつぶすためにEUの「デジタル市場法」の抜け穴を突こうとしていた - GIGAZINE
Appleがライバルへのエコシステム開放を求められる、EUのデジタル市場法に基づき - GIGAZINE
AppleとMicrosoftがiMessageとBingをEUの規制対象である「ゲートキーパー」リストから外させようと画策している - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in ソフトウェア, Posted by log1i_yk
You can read the machine translated English article Apple was trying to avoid EU regulations….