仕事の種類によって「貯蓄する能力」が異なる、金融や営業職は貯蓄する人が多いがクリエイターは少ない

一般に貯蓄ができない理由としては、「そもそもの稼ぎが少ない」「金銭の計算ができない」「計画性や規律がない」といった言葉で片付けられがちです。しかし、イギリスに住む3万7000人以上のデータを分析した研究では、その人の「仕事の種類」によって貯蓄する能力に差が生じている可能性があると判明しました。
The Structures of Accumulation, Financial Identity and Saving: Exploring the Social Space of Professions - Karina Pavlisa, 2025
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/00380385251388702

The type of job you do could be affecting your ability to save money – and not just because of the salary
https://theconversation.com/the-type-of-job-you-do-could-be-affecting-your-ability-to-save-money-and-not-just-because-of-the-salary-274694
2025年の(PDFファイル)研究では、2000ポンド(約42万円)の貯蓄があれば後年に支払いが滞るリスクが半減すると示されており、比較的少ない貯蓄でも経済的な回復力が大幅に向上することがわかっています。しかし、イギリスでは成人の10人に1人はまったく貯蓄をしていないと報告されており、多くの人々が経済的に厳しい状況となっています。
人々が十分に貯蓄できない理由としては、所得格差や計算能力の欠如、男女差などが挙げられます。また、たとえ同じ収入額であっても、「その人が就いている仕事の種類」によって貯蓄能力に差が出る可能性があるとのこと。
イギリスのブリストル大学経営学部で講師を務めるカリナ・パブリサ博士は、「一部の職に就いている労働者は他の労働者よりも貯蓄する可能性がはるかに高いですが、それは必ずしも収入が多いからではありません。職業によって求められる能力・習慣・考え方・社会的影響は異なります」と指摘しています。
今回、パブリサ氏は職業間における貯蓄習慣の違いを調べるため、イギリスの約4万世帯を対象にしたUnderstanding Society研究が2009~2019年にかけて収集したデータを分析。収入や年齢、子どもの数といった特性を考慮してデータを調整し、さまざまな職業の人々がどれだけ貯蓄しているのかを調べました。

分析の結果、たとえ収入の増加が同じ程度であったとしても、事務・金融・営業などの分野で働く人々が毎月貯蓄する可能性は、作家やアーティストといったクリエイティブな職種の人々より31パーセントポイントも高いことが判明。また、教育分野で働く人々と比較しても、貯蓄する可能性が10パーセントポイントも高かったとのことです。
事務・金融・営業といった専門職では、商業的な洞察力や財務上の意思決定などの能力が求められます。そして、これらの職場では商業的な論理や節約の必要性、リスク評価、財務上の意思決定に関する明確なOJTが重視されることが多く、金銭に関する会話が日常的に交わされています。その結果、収入に応じて貯蓄する傾向が高まった可能性があるというわけです。
これとは対照的に、作家やアーティストといった職業は内発的動機や創造的達成を重視しています。また、教育分野のシステムは物質的目標よりも人道的目標に強く向いており、これも商業的論理や財務的な意思決定が重視される職種とは異なります。
管理職全般を対象にした比較でも、財務部門と連携した環境で働く管理職は、小売・物流・ホスピタリティといった部門の管理職と比較して、毎月貯蓄する可能性が40パーセントポイントも高くなりました。
パブリサ氏は、「もちろん財務に特化した職場環境では、関連するバックグラウンドを持つ従業員が活躍します。しかし、こうした職場では財務に関する会話もより頻繁に行われており、個人の金銭管理能力を強化することができます」と指摘。つまり、特定の職業や職場環境では働きながら経済的リテラシーや貯蓄への意欲が養われやすく、その結果として貯蓄する割合や金額が高くなる可能性があるというわけです。

今回の研究結果は、職業という隠れた要因が、人々の金銭リテラシーを形作る隠れた要因になっている可能性を示唆するものです。貯蓄行動の違いは経済的な回復力の違いを生み出し、最終的に経済格差が拡大する要因になり得ます。パブリサ氏は、「仕事は静かに、そして巧妙に金銭的な習慣や規範を『教える』ものであり、労働者は職場環境が自分の金銭的な習慣に偏りを生じさせる可能性があることを認識するべきです」と述べました。
パブリサ氏は貯蓄習慣を形作るための実践的なアプローチとして、金融関連の職に就く人々の考えを取り入れたり、金融リテラシーを高めるポッドキャストや記事を読んだりすることを推奨しています。また、雇用主は従業員の経済的回復力を高めるため、金融アドバイザーを招いて金銭管理スキルや実践的なアプローチの講義を行うこともできるほか、教育現場で金融リテラシーを教えることも役立つかもしれません。
パブリサ氏は、「良い貯蓄習慣は個人の選択の問題だけではありません。経済的な回復力や不平等には社会的・構造的要因も影響しています」「貯蓄できない自分を非難するのではなく、自分の社会的・職業的な環境が経済的回復力を左右し得るという認識に置き換えることで、自分に自信が生まれて前向きな一歩を踏み出すことができます」と述べました。
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