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「スペースデブリ規制」違反でアメリカ当局が初となる罰金を民間企業に科す、古い衛星が軌道から適切に離脱しなかったため


宇宙空間を漂う人工衛星やロケットの破片はスペースデブリと呼ばれ、運用中の人工衛星や宇宙船に衝突すると大きな被害が出ることから、近年はスペースデブリを規制する動きが進んでいます。そんな中、アメリカの連邦通信委員会(FCC)が「スペースデブリ規則に違反した」として、初となる罰金を衛星放送サービス企業のディッシュ・ネットワークに科しました。

FCC TAKES FIRST SPACE DEBRIS ENFORCEMENT ACTION.pdf
(PDFファイル)https://docs.fcc.gov/public/attachments/DOC-397412A1.pdf


Dish botches satellite deorbit, gets hit with FCC’s first space-debris fine | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/10/dish-botches-satellite-deorbit-gets-hit-with-fccs-first-space-debris-fine/

US government issues first-ever space debris penalty to Dish Network | Satellites | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2023/oct/02/fcc-space-debris-fine-dish-network-satellite

The FCC has issued its first space debris fine to Dish Network - The Verge
https://www.theverge.com/2023/10/3/23901428/dish-network-fined-space-junk

近年は、衛星インターネットの構築などを目的として民間企業による人工衛星の打ち上げが増加しており、それに伴ってスペースデブリの量も増加の一途をたどっています。2021年にはスペースデブリが国際宇宙ステーションに衝突し、ロボットアームが破損する事故も起こっており、スペースデブリの規制は今後の宇宙開発を左右する重要な課題です。

「宇宙ゴミ」が国際宇宙ステーションに衝突してロボットアームが損傷 - GIGAZINE


人工衛星を使用する主な企業には、衛星放送や衛星インターネットを提供する放送通信事業者が含まれているため、アメリカの放送通信事業を監督するFCCもスペースデブリの規制に取り組んでいます。FCCは企業に対し、使用済みの人工衛星が運用中の人工衛星と衝突してスペースデブリが発生するのを防ぐため、使用済みの人工衛星を他の人工衛星との衝突リスクが少ない墓場軌道に移動させることを義務づけています。

2023年10月3日、FCCはスペースデブリ規制に違反した企業に対して初めての罰金を科したことを発表しました。FCCにより罰金を科されたのは衛星放送サービス企業のディッシュ・ネットワークであり、運用済みの人工衛星・EchoStar-7を適切に墓場軌道へと移動させなかったため規制に違反したとのこと。

ディッシュ・ネットワークは2002年にEchoStar-7衛星を高度約3万6000kmの静止軌道に打ち上げ、2012年にミッションが終了した際、人工衛星を静止軌道より高度が300km高い墓場軌道に移動させることでFCCと同意していました。ところが、EchoStar-7衛星に搭載されていた推進剤が不足していたため、2022年2月に実施された軌道変更ミッションに失敗。EchoStar-7衛星は静止軌道から126km離れた地点にとどまり、墓場軌道の高度に178km満たなかったそうです。

FCCは声明で、「この問題を解決するため、ディッシュ・ネットワークはEchoStar-7衛星を認可に従って運用しなかったことを認め、今後はコンプライアンス計画を実施すると共に15万ドル(約2230万円)の民事罰金を支払います」と報告しました。これはFCCによって企業に科された、初のスペースデブリ規制違反の罰金となります。


ディッシュ・ネットワークはテクノロジー系メディアのArs Technicaへの声明で、EchoStar-7衛星がスペースデブリを生み出す可能性を示す具体的な調査結果はないと主張。その上で、「ディッシュ・ネットワークは大規模な人工衛星群を安全に運用してきた長い実績があり、FCCライセンシーとしての責任を重く受け止めています」とコメントしました。

FCCのローヤン・イーガル執行局長は、「人工衛星の運用が広がり宇宙経済が加速しているため、事業者がその約束を順守していることを確認しなくてはなりません。これは画期的な和解であり、FCCが重要なスペースデブリ規則を執行する強力な権限と能力を持つことを明確にしました」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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