サイエンス

宇宙を漂うゴミ「スペースデブリ」を除去するミッションのターゲットが小さな物体との衝突によってバラバラになったことが報告される


地球の衛星軌道上には、運用を終えた人工衛星やロケットの破片など、宇宙開発に伴うゴミ「スペースデブリ」が無数に漂っています欧州宇宙機関(ESA)が、監視対象だったスペースデブリの一部が別の物体と衝突して、破片が散乱したことを報告しています。

ESA - Objects detected in the vicinity of ClearSpace-1 debris removal mission target
https://www.esa.int/Space_Safety/Objects_detected_in_the_vicinity_of_ClearSpace-1_debris_removal_mission_target


Target of EU Space Debris Removal Mission Is Itself Hit by Space Debris - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-08-22/target-of-eu-space-debris-removal-mission-is-itself-hit-by-space-debris


運用を終えた人工衛星や、多段ロケットの切り離しなどによって生じた破片など、宇宙開発の発展に伴うスペースデブリの数は増加の一途にあります。スペースデブリが活動中の人工衛星や有人宇宙船、国際宇宙ステーションなどに衝突した場合、設備の破壊や乗員の生命に危険が及ぶ可能性があることが問題視されています。

NASAによると、アメリカ国防総省は地球の衛星軌道上にある2万7000個以上のスペースデブリを監視していますが、運用中のセンサーでは追跡が困難な細かな破片などが数百万個存在することを明かしています。


無数のスペースデブリが宇宙開発への障害となる問題を受けて、ESAは「ClearSpace-1」と呼ばれるスペースデブリ除去ミッションを2026年から実施する予定です。

ClearSpace-1では、打ち上げられた専用の人工衛星「ClearSpace-1」が搭載するロボットアームを用いて、ESAによって2013年に打ち上げられたベガ・フライトVV02の直径約2mのペイロードアダプタ「VESPA」を捕獲、大気圏に再突入させて焼却処分するミッションが行われます。以下の動画はClearSpace-1がVESPAを捕獲するイメージ映像です。

Preview ClearSpace-1 Mission - YouTube


2026年のミッション開始を前に、ESAではVESPAの監視を行っていましたが、2023年8月22日に、衛星軌道上の物体の追跡を行うアメリカの第18宇宙防衛飛行隊が、VESPAの近くで多数の新たな破片が散乱していることを確認。その後ESAは「この破片はVESPAに由来するものと考えられます」と発表しました。

ESAによるとVESPAからの破片の散乱の原因は、追跡されていなかった小さな物体がVESPAに超高速で衝突した結果と考えられるとのこと。一方でESAは「今回発生した破片が他のミッションに与える衝突リスクの増加は無視できる程度です」と報告しています。


VESPAの破片が散乱したことを受けてESAは「今回の破片の散乱によって、ClearSpace-1ミッションの重要性が強調されました。ClearSpace-1ミッションの実施によって、新たなスペースデブリの発生を早急に減らして、活動中の人工衛星に大きなダメージを与える可能性を低下させる必要があります」と述べています。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1r_ut

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