Googleに300万円払ってアプリの事前登録キャンペーンをしたのに意味がなさ過ぎて開発者が「もう二度とやらない」と失望
by Yuri Samoilov
Google Playアプリを開くと、よく事前登録を受け付け中だというアプリやゲームが表示されるのを目にします。事前登録したユーザーに特典を提供して期待感を高めたり、リリースと同時にアプリを自動インストールしてもらったりできるアプリ事前登録キャンペーンはさぞ効果的と思いきや、実際に利用してみたところあまりにも効果が期待外れだったとの体験談が公開されました。
We spent $20k+ on Google Play Pre-Registration Ads. Here are the results...
https://andreaskambanis.com/google-play-store-pre-registration-campaigns/
長い開発期間を経て食事スケジューリングアプリ「MealPrepPro」の完成にこぎ着けたアプリ開発企業・Nibble Appsの創業者のアンドレアス・カンバニス氏は、手塩にかけたアプリを公開前からユーザーに知ってもらうべく、Googleの事前登録キャンペーンを利用することに決めました。
事前登録キャンペーンはリリースの90日前から開始することが可能で、キャンペーンを利用すると以下のように検索結果にアプリが表示されたり、配布ページに事前登録ボタンが表示されたりします。そして、ユーザーがこの事前登録ボタンをタップすると、リリースされたその日にアプリがダウンロードされます。
カンバニス氏はその後、ベータテストやリリースの準備に追われて慌ただしく過ごし、あっという間に2022年10月24日のリリース当日を迎えました。事前登録者数を確認したところ、人数は1万6171人と好調だったので、カンバニス氏は「ローンチ当日に大きな弾みになると思い、とても興奮しました」と当時の心境を振り返っています。
そして、カンバニス氏は満を持して公開ボタンを押し、事前登録の画面がアプリのインストール画面に変わったのを確認しました。
ところが、それから6時間過ぎても自動インストールは始まりませんでした。カンバニス氏は自分のGoogle PixelをWi-Fiにつないでみたり、充電ケーブルにつないでみたり、再起動してみたりしましたが、何も起きなかったとのこと。
AppleのApp Storeの場合、事前登録しておくとiPhoneにアプリが自動インストールされ以下のようなプッシュ通知やメールが届きます。しかし、Google Playからはメールが届かず、結局自動インストールもされませんでした。
不安になったカンバニス氏は、大金を費やした意味があるのか計算してみることにしました。まずGoogleの広告レポートを確認すると、コンバージョンは事前登録者数の通り1万6171件で、かかった費用は1万7143.57ポンド(約315万円)、コンバージョン当たりの広告費は1.06ポンド(約195円)でした。
しかし、インストール回数はたったの1371回で、コンバージョン数の10分の1もインストールされていませんでした。つまり、実際の1件当たりの広告費は1.06ポンドではなく12.5ポンド(約2300円)だったことになります。
カンバニス氏は「イギリス人風に少し控えめに言うなら『素晴らしくない』で、アメリカ英語で言うと『大惨事』です」とコメントしています。
何かの間違いだと思ったカンバニス氏が、Googleのサポートに連絡してみたところ、担当者は「広告キャンペーンにアセット(宣伝用の画像やテキスト)がない」と指摘しましたが、事前登録キャンペーンはアセットなしでも可能とのこと。また、担当者は「実際には2万9767回インストールされました」と答えましたが、これはNibble Appsが数年前に実施した別のキャンペーンの数字でした。
その後もカンバニス氏は何週間もかけて対応を求めましたが、結局何も変わらなかったとのこと。
カンバニス氏は、この体験の教訓について「事前登録広告を利用すると、広告レポートに表示されるコンバージョンが実現するかどうかについて、Googleに全幅の信頼を置くことになります。そして、実際にどれだけインストールされるかはローンチしなければわかりません。もう二度と、事前登録広告は利用しません」と話しました。
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