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イーロン・マスクはウクライナによるロシア軍艦への爆弾攻撃を阻止するためにStarlinkの通信を遮断するよう命令していたことが明らかに

by Daniel Oberhaus

アメリカ人ジャーナリストで伝記作家でもあるウォルター・アイザックソン氏による、イーロン・マスク氏の伝記本「イーロン・マスク」が日本では2023年9月13日に出版されます。この伝記本の中で、マスク氏は爆弾を積んだウクライナの無人潜水艦がロシアの軍艦に攻撃を仕掛けることを阻止するために、クリミア海岸周辺のStarlinkのネットワークを停止するよう命じていたことが記されています。

Elon Musk ordered Starlink to be turned off during Ukraine offensive, book says | Elon Musk | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2023/sep/07/elon-musk-ordered-starlink-turned-off-ukraine-offensive-biography


Elon Musk cut Starlink in middle of Ukraine attack on Russia fleet - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2023/09/07/ukraine-starlink-musk-biography/

Biography claims Musk blocked Ukraine offensive via Starlink • The Register
https://www.theregister.com/2023/09/07/musk_biography_excerpt/

Elon Musk’s involvement in the war in Ukraine is confounding, even to him - The Verge
https://www.theverge.com/2023/9/7/23863157/elon-musk-ukraine-twitter-starlink-isaacson

Elon Musk ripped for disrupting Ukraine attack on Russian navy
https://www.cnbc.com/2023/09/07/ukraine-rips-musk-disrupting-sneak-attack-russian-navy.html

Elon Musk foiled Ukrainian counteroffensive by turning off Starlink: book
https://nypost.com/2023/09/07/elon-musk-foiled-ukrainian-counteroffensive-by-turning-off-starlink-book/

CNNがアイザックソン氏の伝記本「イーロン・マスク」の一部を抜粋引用し、ロシアとウクライナの情勢にマスク氏が介入していたことが明らかになりました。これによると、マスク氏はウクライナによる爆発物を積んだ無人潜水艦によるロシア海軍の艦隊への奇襲攻撃を阻止するために、クリミア海岸周辺のStarlinkのネットワークを遮断するようSpaceXの技術者に命じたそうです。

これにより、ウクライナの無人潜水艦は「ネットワーク接続が失われ、無害に海岸に打ち上げられてしまった」とアイザックソン氏は記しています。

マスク氏がStarlinkのネットワークを遮断した理由は、「ウクライナ側による攻撃を受け、ロシアがクリミアに核兵器を用いた報復を行うのではないか」と考えたためだと記されています。なお、マスク氏はロシア政府側の高官らとの会話の中で、核兵器使用の可能性を痛感したと説明しました。


ロシアによるウクライナ侵攻が本格的に始まる直前の2022年2月、マスク氏はウクライナに対してSpaceXが提供する衛星通信サービス・Starlinkを使用するためのアンテナなどの機材をウクライナに提供しました。

しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、マスク氏はStarlinkの通信を複数回にわたり遮断していたことが報じられています。ただし、特定の作戦の途中にマスク氏がウクライナ軍の通信を遮断したとことは、これまで報じられていなかったとイギリスメディアのThe Guardianは指摘しました。

SpaceXがウクライナ軍の「Starlink」の利用を制限したと判明、「兵器化する意図はなかった」と幹部 - GIGAZINE

by Official SpaceX Photos

ウクライナによる爆弾無人潜水艦による攻撃が計画されていた日付は特定されていないものの、ウクライナ軍は国際的に認められた領海内で活動していたにもかかわらず、マスク氏はウクライナ側の計画を「ミニ真珠湾」と呼び警戒していた模様。

伝記本の中で、マスク氏は「Starlinkは戦争に関与することを目的にウクライナに供与されたわけではありません。Starlinkはウクライナ国民がNetflixを見てリラックスして学校に通い、無人機による攻撃ではなく平和的な活動ができるようにするために提供されたはずでした」とアイザックソン氏に語っています。


なお、マスク氏はStarlinkの通信を遮断する際に、ジョー・バイデン大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めるジェイク・サリバン氏や総合参謀本部議長のマーク・ミリー大将、駐米ロシア大使などと電話で会談を行ったとアイザックソン氏は記しています。

マスク氏の指示によりStarlinkのネットワークが遮断された際には、ウクライナのデジタル戦略を率いる副首相兼デジタル変革相を務めるミハイロ・フェドロフ氏が、Starlinkのネットワークを復旧するよう懇願したそうです。この中で、フェドロフ氏は「テクノロジーを通じて世界を変えようとしているあなたにこのことを知っておいてほしいのです」とマスク氏に語った模様。

一方で、マスク氏は「(ウクライナ側の攻撃は)今や行き過ぎており、戦略的敗北を招いている」と述べ、ネットワークの復旧を拒否したそうです。


欧州委員会が発表した調査結果によると、マスク氏が所有するXはウクライナ侵攻に関するロシアのプロパガンダの拡散に重要な役割を果たしていたことが明らかになっています。

なお、マスク氏がStarlinkの通信を遮断してウクライナ軍による攻撃を妨害したことが報じられた後、同氏は「ウクライナの政府当局からStarlinkをクリミア・セヴァストポリでも使えるようにしてほしいという緊急要請がありました。この意図は明らかに停泊中のロシア艦隊を攻撃することにありました。もしも我々が要請に応じていれば、SpaceXは明らかに戦争の激化という重大行為に加担することになっていたでしょう」と投稿し、もしも通信を遮断していなければ戦争はさらに激化していた可能性があると主張しています。

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in Posted by logu_ii

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