「ロシアがウクライナのStarlink設備を特定して攻撃目標にできる」と専門家が警告、マスク氏も可能性が高いと認める
ロシアによる軍事侵攻を受けているウクライナに対して世界各国から支持や連帯の声が上がる中、イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業のSpaceXは、ウクライナにおける衛星インターネットサービス「Starlink」の提供開始を発表しました。すでにウクライナにStarlink用の機材が到着したことも報じられていますが、「ロシアがウクライナで稼働するStarlink設備の位置を特定して攻撃目標にできる」と専門家が警告し、マスク氏も可能性が高いことを認めています。
SpaceX sent Starlink internet terminals to Ukraine. They could paint a 'giant target' on users' backs, experts say - CNN
https://edition.cnn.com/2022/03/03/tech/spacex-starlink-ukraine-internet-security-risks-scn/
SpaceX chief Musk warns that its Starlink system could be 'targeted' in Ukraine | Reuters
https://www.reuters.com/world/europe/spacex-chief-musk-warns-that-its-starlink-system-could-be-targeted-ukraine-2022-03-03/
ウクライナではロシアによるインフラストラクチャーへの攻撃により、インターネットが寸断されてしまうことへの懸念が高まっています。そんな中、ウクライナのミハイロ・フョードロフ副首相兼デジタル・トランスフォーメーション担当大臣は、SpaceXのCEOであるマスク氏に対し、Twitterで支援を求めるツイートを送りました。ツイートの中でフョードロフ氏は、「ウクライナにStarlinkのステーションを提供し、まともなロシア人に立ち上がるよう呼びかけてください」と述べています。
@elonmusk, while you try to colonize Mars — Russia try to occupy Ukraine! While your rockets successfully land from space — Russian rockets attack Ukrainian civil people! We ask you to provide Ukraine with Starlink stations and to address sane Russians to stand.
— Mykhailo Fedorov (@FedorovMykhailo) February 26, 2022
フョードロフ氏の呼びかけに対し、マスク氏はわずか10時間27分後に「ウクライナでStarlinkのサービスを利用できるようになりました。追加の端末を配送中です」とツイート。あっという間にウクライナでStarlinkが利用可能となりました。
イーロン・マスクの指示で衛星インターネット「Starlink」がウクライナであっという間に利用可能に - GIGAZINE
by Tim Reckmann
そして2月28日には、Starlinkの利用に必要な機材がウクライナに到着したことをフョードロフ氏が報告。マスク氏はこれに対し、「どういたしまして」とだけリプライしています。
Starlink — here. Thanks, @elonmusk pic.twitter.com/dZbaYqWYCf
— Mykhailo Fedorov (@FedorovMykhailo) February 28, 2022
迅速にウクライナへと配備されたStarlinkシステムですが、専門家の間からは「ロシアがウクライナで稼働するStarlink設備の位置を特定し、攻撃目標にする可能性がある」と懸念する声も上がっています。セキュリティ研究者のJohn Scott-Railton氏は、人工衛星と通信するStarlinkシステムの信号をロシアがキャッチできる場合、三角測量を利用してStarlink設備の位置を特定できると警告。
Re: @elonmusk's starlink donation.
— John Scott-Railton (@jsrailton) February 27, 2022
Good to see.
But remember: if #Putin controls the air above #Ukraine, users' uplink transmissions become beacons... for airstrikes.
Some background 1/ pic.twitter.com/0p6J87TtUF
また、Scott-Railton氏は「ロシアは衛星通信をターゲットにして人々を攻撃した数十年来の経験があります」と述べています。実際に、かつてチェチェン共和国大統領としてロシアからの独立を目指したジョハル・ドゥダエフ氏は、衛星電話を使ったことでロシア軍に位置を特定され、ミサイル攻撃で殺されたと伝えられているそうです。
2/ #Russia has decades of experience hitting people by targeting their satellite communications.
— John Scott-Railton (@jsrailton) February 27, 2022
In 1996, Chechen president Dzhokhar Dudayev was careful, but Russian aircraft reportedly found his satphone call & killed him with a missile strike.https://t.co/lGA2Cg3HiO pic.twitter.com/jdxo931LLq
カリフォルニア大学バークレー校のセキュリティ研究者であるニコラス・ウェーバー氏もCNNに対し、「敵対者が特殊な飛行機を持っている場合、それは(衛星の)信号を検出し、その家に照準を合わせることができます」「必ずしも簡単なことではありませんが、ロシアはシリアのさまざまな場所で信号を追跡し、対応する多くの練習を積んでいます。Starlinkはうまくいくかもしれませんが、ウクライナでStarlinkの装備を設置する人は、それを潜在的な攻撃目標として考慮する必要があります」と電子メールで述べました。
マスク氏もこうした指摘に反応して、「重要な警告:Starlinkはウクライナの一部で稼働している唯一の非ロシアのコミュニケーションシステムであるため、ターゲットになる可能性が高いです。注意して使用してください」とツイートしています。
Important warning: Starlink is the only non-Russian communications system still working in some parts of Ukraine, so probability of being targeted is high. Please use with caution.
— Elon Musk (@elonmusk) March 3, 2022
また、マスク氏は「Starlinkを使う時の注意はありますか?」という質問に対して、「Starlinkを必要な時だけオンにして、アンテナをできるだけ人から離して設置してください」と述べたほか……
Turn on Starlink only when needed and place antenna away as far away from people as possible
— Elon Musk (@elonmusk) March 3, 2022
視覚的な検出を避けるためにアンテナを光学迷彩でカモフラージュすることなどを推奨しました。
Place light camouflage over antenna to avoid visual detection
— Elon Musk (@elonmusk) March 3, 2022
なお、フョードロフ氏はマスク氏の警告を確認し、リプライで「私たちは勝利した後もウクライナ人のためにStarlinkを使うつもりです」と述べました。
Sure, @elonmusk. We are going to use them for Ukrainians also after our victory ????
— Mykhailo Fedorov (@FedorovMykhailo) March 3, 2022
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