メモ

ウクライナ・ロシア・NATO・アメリカの軍事費の実質的な差はどれぐらいなのか?

by NATO North Atlantic Treaty Organization

圧倒的な軍事力を保持しているとされるロシア軍によるウクライナ侵攻が始まってから1週間が経過しましたが、ロシア軍の練度や士気が想定より低いことやウクライナ軍による徹底抗戦によって、記事作成時点では首都キエフ(キーウ)の陥落は免れています。そんなロシア軍やウクライナ軍について物価の違いを考慮した実質的な軍事費の差を経済メディア・The Economistが報告しています。

The military gap between Russia and Ukraine is vast | The Economist
https://www.economist.com/graphic-detail/2022/02/25/the-military-gap-between-russia-and-ukraine-is-vast

国ごとの国内総生産(GDP)を比較する際に「生産された価値を単純に合計した値」である「名目GDP」を用いると、国ごとに異なる物価水準の影響を受けてしまいます。この問題を解決するために、為替レートではなく同等の価値の商品やサービスを購入する場合の金額を基準として通貨の価値を決める購買力平価(PPP)(例:ビッグマックがアメリカで5ドル、日本で390円の場合、1ドル=78円)と呼ばれる考え方が登場し、PPPを導入した購買力平価GDPという指標が各国間の経済力比較に用いられています。

軍事費の比較の際には上記のPPPの他に、「A国では1日100ドルを兵士に与え、B国では1日1000ドルを兵士に与えている」といった人件費の違いなども影響します。このような各国における物価水準や人件費の違いを考慮した上で軍事費を比較するために考え出された指標が「military purchasing power parity(軍事PPP)」です。

以下の図は、横軸が年、縦軸が軍事費(単位:十億ドル)を示しており、赤色がロシアの軍事PPP、青色がウクライナの軍事PPP、灰色がそれぞれの額面上の軍事費を表しています。額面上の軍事費を比較した場合、ウクライナの軍事費はロシアのわずか9.6%ですが、ウクライナの軍事PPPはロシアの20.6%となっており、額面上の軍事費を見て想起するイメージよりは軍事力の差が少ないことが分かります。


以下のグラフは左から順に中国・NATO(アメリカを除く)・アメリカの軍事PPP(水色)をロシア・ウクライナと比較したものです。グラフを見ると、アメリカを除いたNATOの軍事PPPはロシアを上回っており、中国とアメリカは単独でもロシアを大きく上回っていることがわかります。


なお、The Economistは軍事PPPの比較を挙げた上で「外部からの援助は現物支給が多く、数値化が難しい」「軍事資産の中には長期間にわたって価値を提供するものがある」「核兵器のように、それ自体が価値を持つものもある」「リーダーシップや戦意も重要な要素である」といった理由から軍事PPPによる比較が軍事力の差を明確に示すわけではないと述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
GitHubがロシアからのアクセスを遮断する要求を拒否、「GitHubのビジョンはどこに住んでいるかに関係なく全開発者のホームになること」と回答 - GIGAZINE

ロシアのウクライナ侵攻に対して中立的な姿勢を示す声明をロシアのセキュリティ企業「カスペルスキー」CEOが発表 - GIGAZINE

Redditがロシア関連のサブレディット「r/Russia」「r/RussiaPolitics」を隔離、さらに悪意のあるモデレーターから管理権限をはく奪 - GIGAZINE

ウクライナの「どこで何が起きているか」の最新情報をソース付きでマップにした「Ukraine Interactive map」 - GIGAZINE

核戦争用に作られた「ドゥームズデイ・プレーン」がロシアの核兵器使用に備えて訓練を開始 - GIGAZINE

in メモ, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.