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一般人の仮想通貨利用が盛んな国を示す「Global Crypto Adoption Index」2021年版が発表、新興国で仮想通貨が人気な理由とは?


暗号資産の分析企業であるChainalysisが、暗号資産の利用が盛んな国を示す指数「Global Crypto Adoption Index」の2020年7月~2021年6月版を発表しました。世界の154カ国を対象に国ごとの購買力や個人ユーザーの取引量について分析した調査により、世界全体の暗号資産利用が2020年から2021年にかけて大幅に増加したことや、新興国においてP2Pプラットフォームを利用した取引が増加していることが判明しました。

Chainalysis Blog | The 2021 Global Crypto Adoption Index: Worldwide Adoption Jumps Over 880% With P2P Platforms Driving Cryptocurrency Usage in Emerging Markets
https://blog.chainalysis.com/reports/2021-global-crypto-adoption-index


Cryptocurrency: Where new bitcoin users are around the world
https://www.cnbc.com/2021/08/18/new-cryptocurrency-bitcoin-user-global-map.html

Chainalysisは2021年8月18日、2020年7月~2021年7月にかけての「Global Crypto Adoption Index」を発表しました。この指数は、Chainalysisが暗号資産の採用度合いについて客観的な尺度を提供するため、2020年から発表しているもの。国そのものの経済状況や機関投資家といった要素に左右されるのではなく、「一般的な人々による個人間取引や貯蓄に関連する暗号資産の利用」に焦点を当てています。そのため、Global Crypto Adoption Indexでは、算出に当たって以下のような3つのメトリックを設けているとのこと。

・1:購買力平価で重み付けした「その国が暗号資産を受け取った総額」
このメトリックは、特定の国が期間中に受け取った暗号資産の総額を、「特定の商品がいくらで買えるのか?」という点に基づいた交換レートの購買力平価(PPP)で重み付けしたものであり、国ごとにおけるお金の価値を反映することができます。つまり、同じ期間中に100ドル(約1万1000円)を受け取った国が2つあったとして、1人当たりのPPPが低い国の方がより「居住者1人当たりの資産に占める暗号資産取引の割合が大きい」とみなされ、Global Crypto Adoption Indexでは上位にランクインする仕組みです。

・2:購買力平価で重み付けした「個人による暗号資産取引の額」
Global Crypto Adoption Indexでは、専門家や機関投資家ではない個人による暗号資産の取引量を指数に組み込むため、「1万ドル未満」の暗号資産取引を測定しています。この取引額についてもPPPで重み付けを行い、同額であってもよりPPPの低い国の方が上位にランクインするとのこと。

・3:インターネットユーザー数とPPPで重み付けした「P2P取引プラットフォームを介した取引量」
中央集中型の取引所にアクセスできない多くの新興国では、P2P取引プラットフォームを介した取引が暗号資産取引量の大部分を占めているとのこと。Chainalysisは、LocalBitcoinsPaxfulという2つの主要なP2P取引プラットフォームのデータに基づいて各国における暗号資産のP2P取引量を測定し、インターネットユーザー数やPPPで重み付けを行いました。


以下の表が、3つのメトリックから算出したGlobal Crypto Adoption Indexの「トップ20カ国」を示したもの。国は1位から順にベトナム・インド・パキスタン・ウクライナ・ケニア・ナイジェリア・ベネズエラ・アメリカ・トーゴ・アルゼンチン・コロンビア・タイ・中国・ブラジル・フィリピン・南アフリカ・ガーナ・ロシア・タンザニア・アフガニスタンとなっており、南アジアやアフリカ、南アメリカなどの新興国が多くを占めています。また、1位のベトナムを「1.00」としたIndex score(指数スコア)は、2位のインドが「0.37」、3位のパキスタンが「0.36」と続いており、ベトナムが突出して高いことがわかります。


3つのメトリックいずれも上位を記録したベトナムについて、データアナリストであるMatt Ahlborg氏はニュースメディアのCNBCに対し、ベトナムはビットコインを使用してギフトカードを購入できる企業・Bitrefillのトップ市場の1つだと指摘。ChainalysisのリサーチディレクターであるKim Grauer氏は、ベトナムの人々にはギャンブルの伝統があるほか、若くテクノロジーに精通した人々が堅実な投資よりも暗号資産を好むことが理由ではないかと示唆しました。

また、Chainalysisは今回の結果から、世界的な暗号資産の利用が急増していることも指摘しています。以下のグラフは、世界全体のGlobal Crypto Adoption Indexスコアを2019年第3四半期から四半期ごとに表したものであり、2020年第2四半期にはわずか「2.5」だったスコアが、1年後の2021年第2四半期には「24」に急増しているとChainalysisは述べています。


トップ20にランクインしたケニア・トーゴ・ベトナム・タンザニア・ベネズエラ・アフガニスタンといった国々では、1人当たりのP2P取引プラットフォームを用いた暗号資産の取引量が膨大でした。これらの新興国では通貨切り下げの懸念から現金貯蓄が不安定なため、P2P取引プラットフォームで暗号資産を購入して、資産を守ろうとする動きがあるとのこと。

たとえば全体10位にランクインしたアルゼンチンでは、繰り返される通貨切り下げやデフォルト、ハイパーインフレ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行、3年にわたる景気後退といった経済危機が深刻です。これに加え、2019年の資本規制による外貨購入の制限などを受けた結果、暗号資産が人々から注目を集めています。

なぜ仮想通貨のマイニングがアルゼンチンで激増しているのか? - GIGAZINE


20位にランクインしたアフガニスタンでは、2021年8月に反政府勢力のタリバンが政権を掌握する以前からビットコインへの注目が集まっており、一部の人々は資産をビットコインに変えていたそうです。依然として現金経済が主流のアフガニスタンですが、タリバンの侵攻によって銀行が閉鎖されるといった影響が出ていることから、ますます一般市民が暗号資産を利用する傾向が加速する可能性もあります。

Bitcoin in Afghanistan: Cryptocurrency, the Taliban, and capital flight
https://www.cnbc.com/2021/08/21/bitcoin-afghanistan-cryptocurrency-taliban-capital-flight.html


なお、Global Crypto Adoption Indexは必ずしも完璧な指数というわけではなく、制裁対象国におけるP2P取引の明確なデータがないことから、キューバなどの制裁対象国が過小評価されているとのこと。それでもAhlborg氏は、Global Crypto Adoption Indexについて「私たちが持っている最高の指数の1つです」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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