GitHubがロシアからのアクセスを遮断する要求を拒否、「GitHubのビジョンはどこに住んでいるかに関係なく全開発者のホームになること」と回答
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、Appleが製品販売を停止したり、YouTubeがロシア系ニュースメディア2社の排除を決めたりと、ロシアに対する制裁措置が行われている一方で、Binanceをはじめとする仮想通貨取引所はロシアのユーザーのアカウント凍結要求を拒否する姿勢を見せています。新たに、開発プラットフォームのGitHubも、ロシアからのアクセスを禁止しない方針を明らかにしました。
Cut Russia from Github due to massive invasion of Ukraine · Discussion #12042 · github/feedback · GitHub
https://github.com/github/feedback/discussions/12042
2022年2月24日、GitHubのフォーラムに「ウクライナへの大規模侵攻を理由として、GitHubからロシアを切り離して」と題した投稿が行われました。
この投稿に対しては、「指導者が行ったことに対して国民全体を罰するのが平和につながると考えているなら、歴史を学ぶことをおすすめします」「ロシアからのアクセスを制限したとして、プーチン大統領は考えを改めるのでしょうか?」「リポジトリから貢献者を締め出しても意味がありません。ウクライナにどのように役立つのですか?」等の意見が寄せられました。
中にはロシア人だというユーザーもいて「私はヨーロッパの企業で働いていて、ほとんどのロシア人と同じく侵略には反対です。GitHubは作業ツールで、ブロックされると私には影響がありますが、大統領にはなんの影響も与えません」「私はポーランドの血が入っていて(※最初の投稿者はポーランド人)、先祖はスターリンに処刑され、その妻や子どもはウラルに強制移住させられました。今、私はロシアに住んでいますが、ウクライナに住んでいたこともあり、家族の中にはオデッサ在住の者もいます。同僚にはハルキウの人もいます。ウクライナに親戚・友人・同僚がいるロシア人が私ひとりだと思いますか?35の言語と185の民族からなる1億4000万人の国で、政府およびその決定との関係が「厳しい」状況なのは私ひとりだと思いますか?今一度考えてみてください」などの投稿がなされています。
そして、最初の投稿から5日が経過した3月2日、公式スタッフが投稿に対する返信を行いました。
GitHub’s vision is to be the home for all developers, no matter where they reside.
https://github.com/github/feedback/discussions/12042#discussioncomment-2276190
「GitHubのビジョンは、どこに住んでいる人であろうと、すべての開発者のホームになることです」という一文で始まる返信において、GitHubスタッフは「ロシアの攻撃力を維持するために必要な技術やその他の品目へのアクセスを制限する輸出管理の順守を含む政府から課された義務を深刻に受け止めています」と述べた一方、「ユーザーや顧客が規制の範囲を超えて影響を受けることがないよう、政府の規制を十分に検討する責任も負っています」とも述べました。
GitHubはFAQにおいて、アメリカ政府による制裁が適用される国と地域が「クリミア、キューバ、イラン、北朝鮮、シリア」であると示しており、そのうちイランに関しては財務省担当部局からクラウドサービスを提供するライセンスを受けていること、キューバ在住の開発者はGitHubクラウドサービスを有料・無料問わず一般的に利用できることを明らかにしています。
このことから、ロシアは制裁の対象ではないため、アクセス制限を行う必要はないと示したものであるとみられます。
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