「アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン」の過去作との違いやフロム・ソフトウェアらしさ全開なポイントを語ってみた
前回と前々回のレビューで、「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン、以下:AC6)」はアーマード・コアシリーズの文字通り核となる奥深さを継承しつつ、本作が初めてのアーマード・コアという人でも挑戦しがいのあるシステムになっていることが実感できました。さらに、今回の記事ではプレイしてみて感じた過去作との違いや、フロム・ソフトウェアがこれまでの作品で培った経験が詰め込まれていると思ったポイントをピックアップしてみました。
ARMORED CORE VI OFFICIAL SITE | アーマード・コア6 オフィシャルサイト
https://www.armoredcore.net/index.html
AC6を少しプレイして重要だと感じたのは、自然と戦闘がアグレッシブになる「アサルトブースト」、高速戦闘をサポートする「ロックアシスト」、戦闘にメリハリをつける「スタッガー」と「ブレード」の重要性です。以下でひとつずつ取り上げていきます。
◆アサルトブースト
本作にはアサルトブーストという高速移動技術がありますが、この要素で特に重要なのはアサルトブースト中に被弾すると衝撃が軽減される点です。以下のムービーを見るとそのことがよくわかります。
「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」アサルトブースト検証動画 - YouTube
棒立ちした状態で砲撃が当たると、ACSゲージに半分ほどの衝撃値が蓄積します。
一方、アサルトブースト中だと明らかにACSゲージの蓄積が少なくなりました。そのため、被弾を恐れずにアサルトブーストで相手に急接近するという選択肢が取りやすくなっています。
これまでのアーマード・コアにも、オーバード・ブーストという同様のシステムがありましたが、コアパーツの種類次第では使えなかったり、使えても機体が発熱したりプライマル・アーマーという防御システムの性能が低下したりと、デメリットも多いリスキーな要素でした。一方、AC6のアサルトブーストは被弾時の衝撃を軽減することが可能で、武器によってはアサルトブースト中に撃つと衝撃が増すものもあるなど、むしろメリットが大きいシステムになっています。このような「攻めの前進」を要求するゲーム性には、フロム・ソフトウェアが2015年にリリースしたアクションゲーム「Bloodborne」のノウハウが生かされていると感じました。
◆ロックアシスト
以下のムービーでは、「ロックアシスト」機能が無効な状態と有効な状態でどんな風に機体や視点の動きが変わるのかを見比べている様子を見ることができます。
敵にグイグイ食いつける「アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン」のロックアシスト - YouTube
クイックブーストはデフォルト設定では□ボタンで、カメラの移動操作も右スティックなので、同時に操作できません。そのため、プレイヤーの腕次第ではありますが、至近距離での戦闘中にクイックブーストを使うと敵が画面外に出て見失ってしまうことがよく起きます。
一方、ロックアシストをオンにすると、カメラが敵を真正面に捕らえ続けます。
この状態だと、敵の真上を飛び越してもぐるりと反転してロックオンを維持してくれます。過去の作品にもあったオートサイトなどの同様のシステムは捕捉力があまり強くなかったためあくまで補助的な機能でしたが、本作ではかなりしっかりと相手を捕捉し続けられるので、戦闘が格段に楽になります。
◆スタッガーとブレード
衝撃を与えて敵の動きを止めるスタッガーについてはこの記事で言及しましたが、本作ではブレードの性能がかなり高く衝撃も蓄積しやすいため、近接攻撃が重要な攻撃手段へと強化されていると感じました。以下のAC同士の戦闘ムービーでは、実際にブレードが戦闘の要になっているのを見ることができます。
「アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン」でスタッガー中の敵に攻撃を撃ち込む爽快感を堪能してみた - YouTube
そもそも、初期のアーマード・コアでは左腕に装備できるパーツがブレードだけでしたが、シリーズを重ねる中で左腕にも右腕と同じ射撃武器を装備できるようになりました。そのため、ゲームスピードが速くなっていったのも相まって、両腕に銃を装備するアセンブルが定石となり、威力が高いものの当てにくいブレードは上級者向けの武器になっていきました。一方、今作では相手を追尾しつつかなりの距離を踏み込んでブレードを当てることができるので、実用性がかなり高い武器カテゴリとなっています。
また、今作では左腕のブレードを連続で切りつけることができるようになりました。これにより、ACSゲージが蓄積している時にブレードを当てて、スタッガーになったところに次の一撃を入れるといったコンビネーションも可能になりました。
スタッガーの原型となる要素は以前のアーマード・コア作品にも存在し、敵機が硬直したりその最中の防御力が低下したりしましたが、衝撃力に特化した武器を使うか相手が衝撃への耐性を軽視したアセンブルでないと効果がないことも多く、あまり中心的な要素ではありませんでした。本作では2019年にリリースされた「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」にある体幹ゲージと同様にACSゲージが可視化されており、どんな武器でも当て続ければ衝撃が蓄積していくため、戦闘の軸となる要素へと昇華されています。
ブレードは射撃武器とは違って弾丸を消費しないため何回でも使えますが、一度使用するとオーバーヒートして数秒間使えなくなるので、あまり連発はできないようになっています。
近接攻撃の重要性は、2023年8月18日に配信されたトーク番組「PLAY! PLAY! PLAY!『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』SPECIAL BRIEFING」でも見ることができます。この番組では全編にわたってAC6の魅力が語られていますが、特に注目して欲しいのがムービー開始から1時間4分19秒後から始まる実機でのプレイ映像です。
PLAY! PLAY! PLAY!『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』 SPECIAL BRIEFING - YouTube
番組では、会場に訪れた来場者に初公開のミッションをプレイしてもらう企画が催され、「fireworks」という名前で活動している男性が挑戦しました。
fireworksさんは、発売前のゲームをプレイしているとは思えない巧みな操作で次々と敵を撃破していきましたが、終盤に大型の空中戦艦が出現し、弾切れとなってしまいました。
しかし、武器を腕に装備していない状態で出せるパンチで戦艦を撃破。
その後も危なげない動きで残敵を殴り倒し、見事に初見でミッションをクリアしてしまいました。この時の様子は、「渋谷の花火師」としてファンの間で語り草となっています。
◆まとめ
本作は、アーマード・コアシリーズらしい奥深いアセンブルやロボットだからこそ可能なダイナミックな戦闘はそのままに、フロム・ソフトウェアがこれまでのさまざまなタイトルで蓄積したノウハウが惜しみなくつぎ込まれており、まさに前作の「ARMORED CORE VERDICT DAY」から10年待ったかいのある作品となっています。
コントローラーのボタンをフル活用する操作の忙しさや、一瞬の油断が命取りになる戦闘などハードルが高い部分はありますが、ほとんどペナルティを受けずにリスタートが可能で、難関でもアセンブルの工夫次第で突破口が見える絶妙な難度になっているので、アーマード・コアシリーズをプレイしたことがある人にもない人にも挑戦してもらいたいゲームだと感じました。
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