世にも珍しい「模様のないキリン」が誕生、飼育下では上野動物園のトシコ以来ほぼ半世紀ぶりか
アメリカ・テネシー州のブライツ動物園で、世にも珍しい「模様のないキリン」が2023年7月31日に誕生しました。記事作成時点では、このキリンの他に存命の模様がないキリンはいないとのことで、動物園の当局者は「世界で最も珍しい個体」と呼んでいます。
World's only spotless giraffe born at Tennessee zoo, public asked to help name her | WJLA
https://wjla.com/news/offbeat/worlds-only-spotless-giraffe-born-at-tennessee-brights-zoo-public-asked-to-help-name-her-reticulated-giraffe-conservation
'World's rarest' giraffe born without spots at Tennessee zoo | Live Science
https://www.livescience.com/animals/giraffes/worlds-rarest-giraffe-born-without-spots-at-tennessee-zoo
Tennessee zoo says it has welcomed a rare spotless giraffe - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/rare-spotless-giraffe-brights-zoo-tennessee-welcomes-baby-born-without-spots/
Adorable Baby Giraffe Without Spots Might Be One of a Kind : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/adorable-baby-giraffe-without-spots-might-be-one-of-a-kind
動物園の人気者であるキリンは、その長い首と独特の模様が特徴です。2018年の研究では、キリンの模様は丸みや滑らかさなどが母親から子に遺伝しており、模様が大きく丸みがあるほど幼いキリンの生存率が高くなることが指摘されています。
ところが、テネシー州のブライツ動物園で7月31日に生まれたメスのキリンは、驚くべきことにキリン特有の模様がまったくありませんでした。実際にブライツ動物園で生まれたキリンの子どもがどのような見た目なのかは、以下の動画で確認することができます。
Rare spotless giraffe born at Bright’s Zoo - YouTube
リポーターの後ろに見えているのが、今回ブライツ動物園で生まれた「模様のないキリン」です。
このメスのキリンは7月31日に生まれました。
全身は茶色の体毛に覆われ、首から下だけだとウマのようにも見えます。
このキリンは飼育員や親によって育てられており、生後3週間の時点で体長6フィート(約1m80cm)に達しているとのこと。
ブライツ動物園は、このキリンが生まれてから全国の動物園と連絡を取り合っていますが、同じように模様がないキリンを飼育している事例は見つかっていません。また、高齢で経験豊富な飼育員らも、これまでに模様のないキリンは見たことがないと証言しているとのこと。
園長のデヴィッド・ブライト氏によると、模様のないキリンが最後に記録されたのは、1972年に東京の上野動物園で生まれた「トシコ」という個体だそうです。
キリンの斑点は野生環境において、外敵から身を隠すカモフラージュとして機能すると考えられています。また、斑点の下には熱の放出に役立つ洗練された血管ネットワークがあるため、模様のないキリンは体が熱をため込みやすいリスクがあるかもしれません。しかし、このキリンは野生ではなく動物園で飼育されているため、より生存しやすい可能性があります。
今回生まれたキリンは動物園ですくすく育っていますが、野生のキリンは次第に個体数を減らしつつあります。ブライト氏は、「野生のキリンの個体群は静かに絶滅の危機に瀕しており、過去30年間で野生の個体数の40%が失われています」と述べ、模様のない珍しいキリンが誕生したというニュースが、キリン全体の保護活動に目を向けるきっかけになると期待を寄せました。
なお、ブライツ動物園はキリンの名前をスワヒリ語から取ることに決めており、「Kipekee(意味:ユニーク)」「Firayali(意味:珍しい)」「Shakiri(意味:彼女は最も美しい)」「Jamella(意味:素晴らしい美の1つ)」の4つに絞り込んで、Facebookで投票を募っています。
・関連記事
キリンが頭を動かしても低血圧で気絶しないのはなぜなのか? - GIGAZINE
専門家も思わず二度見した「背が低いキリン」 - GIGAZINE
キリンの群れにはこれまで知られていなかった「複雑な女性社会」があることが判明 - GIGAZINE
キリンは子育てや捕食される危険性を回避するために群れているわけではないと研究者が指摘 - GIGAZINE
動物園が「ゴリラがスマホ中毒になりかかっている」と警告中 - GIGAZINE
中国の動物園が「マレーグマは着ぐるみを着た人間ではないか」という疑惑を完全に否定 - GIGAZINE
「輝く青色のロブスター」が見つかる - GIGAZINE
非常に希少な「ピンクのマンタ」が写真に収められる、なぜピンク色なのかは不明 - GIGAZINE
「パンダのカモフラージュ能力は実際にはかなり高い」という研究結果 - GIGAZINE
・関連コンテンツ