架空の飛行機写真から学ぶフェイク画像の見分け方

インターネット上には本物の写真に見せかけたフェイク画像が多数存在します。航空機関連の質問サイト「Aviation Stack Exchange」に投稿された「エアバスA320の写真を見つけたけど本物かフェイクか怪しい」という質問には、フェイク画像全般に通用しそうな「見分け方のポイント」が回答として寄せられています。

airbus a320 - Is the aircraft in this image real? - Aviation Stack Exchange
https://aviation.stackexchange.com/questions/99788/is-the-aircraft-in-this-image-real

問題の画像は、Aditya Sharma氏が投稿した以下の写真です。Sharma氏は「航空会社『IndiGo』がエアバスA321型貨物機を購入した」というニュース記事でこの写真を見つけたとのこと。写真に写る機体には「IndiGo」のロゴや貨物機であることを示すイラストが記されていますが、Sharma氏は写真に写る機体はエンジンの形状から「エアバスA321」ではなく「エアバスA320neo」だと判断しました。しかし、Sharma氏の知る限り「エアバスA320neo」を貨物機として活用した例はないため、Sharma氏はAviation Stack Exchangeに「写真が本物なのかフェイクなのか教えてください」という内容の質問を投稿したわけです。

Sharma氏による質問投稿の後、Aviation Stack ExchangeのユーザーであるDeltaLima氏は写真の出どころが以下のツイートであることを発見し、写真がフェイク画像であることを見抜きました。

ツイートに含まれている写真が以下。

機体後部を拡大すると「D-AVXA」「8557」といった登録コードおよびシリアルナンバーが記されていることが分かります。

登録コードやシリアルナンバーで検索すると、IndiGoに配備された「エアバスA321」の情報が出てきます。

さらに検索すると、「D-AVXA」「8557」と記された「エアバスA321」の写真も見つかりました。

発見された「エアバスA321」の写真の後部に着目すると、インド国旗の右側に白いステッカーが貼られていることが分かります。

問題の写真の同一箇所を確認すると、インド国旗の右側に白いステッカーが貼られ、さらにその上にトラックのイラストが記されています。DeltaLima氏によると、白いステッカーは塗装作業の途中で貼られるものとのこと。塗装完了後はステッカーが剥がされるはずですが、問題の写真ではステッカーが剥がされず、ステッカーの上から塗装が施されているように見えます。通常、ステッカーの上から塗装を施すことはあり得ないため、問題の写真は「エアバスA321」の写真からシリアルナンバー周辺を含むほとんどの部分を抜き出して作成されたコラージュ画像である可能性が濃厚となったわけです。

なお、写真を投稿したTwitterアカウント「Aeroconcepts」はプロフィール欄に「航空機に関する妄想をデジタル化するスキル所持者」と記しており、自身が投稿する写真がフェイク画像であることを大々的にアピールしています。このためAeroconceptsは写真を見た人々を故意にだまそうとしたわけではないようですが、何らかの経緯でニュース記事のトップ画像として写真が採用されてしまったようです。