「Google Chrome 113」安定版リリース、省エネモードでバッテリーの持続時間向上へ
ウェブブラウザ「Google Chrome」の最新安定版であるバージョン113.0.5672.64がリリースされました。省エネモードの設定が追加されてバッテリー使用時の電力消費量が軽減されています。
新機能 - Google Chrome
https://www.google.com/intl/ja_JP/chrome/whats-new/m113/
Chrome 113 beta - Chrome Developers
https://developer.chrome.com/blog/chrome-113-beta/
◆バッテリーの使用量を減らす「省エネモード」の設定が追加される
省エネモード自体は2023年2月にリリースされたChrome 110にて実装されていましたが、Chrome 113からは設定でいつ省エネモードを利用するかを変更できるようになりました。省エネモードを利用するには「chrome://settings/performance」にアクセスし、「省エネモード」をオンにすればOK。バッテリーの残量が20%を切ったときだけオンにするか、バッテリー使用時は常にオンにするかを選択可能です。
省エネモード中はバックグラウンドの処理や一部の視覚効果が制限されるとのこと。いつでも右上の葉っぱのマークから省エネモードを解除可能となっています。
◆コンテンツのオーバーフロー時に特定のCSSを適用可能に
CSSのメディアクエリに「overflow-inline」「overflow-block」の2つが追加されました。このクエリを利用することで、コンテンツがオーバーフローした場合のみ特定のCSSを適用するという動作が可能になっています。
◆デバイスの出力特性ごとにCSSを適用可能に
CSSのメディアクエリに「update」が追加されました。デバイスの画面更新の頻度ごとに表示をカスタマイズすることが可能になっています。updateクエリの指定は下記の3パターンとのこと。
・print
紙など一度表示したら更新されないもの
・slow
電子ブックリーダーなどアニメーションが円滑に見えるほど早くは更新できないもの
・fast
PCなどアニメーションが表示できるもの
◆easing functionにlinear関数が追加される
これまでもcubic-bezier関数を利用して線形アニメーションを実装できていましたが、linearを利用することでより簡潔に記述することが可能になっています。
◆CSSにimage-set関数が追加される
画面解像度などユーザーのデバイスに応じて適切な画像を表示するための関数「image-set」が追加されました。これまでも「-webkit-」という接頭辞を付けることで利用可能でしたが、今後は接頭辞が不要になります。
◆Fetch APIに複数のCookieをまとめて取得できるgetSetCookie関数が追加される
Set-Cookieヘッダーが複数設定されている場合に、それらのヘッダーをまとめて取得するための関数が追加されました。なお、ブラウザ内のFetch APIからはセキュリティ上の理由でCookieにアクセスできないようになっているため、実質的にNode.js専用の関数となっています。
◆WebAuthn APIにlargeBlob拡張が実装される
opaqueなデータを証明書とともに保存可能になりました。
◆WebGPU APIが利用可能に
ブラウザ上でGPUを利用することが可能になりました。
◆Private State Token APIが実装される
Private State TokenはサードパーティーCookieに代わってユーザーの情報をサイト間で共有する仕組みで、ユーザーが本当に人間であるという信用情報などをサイト間で共有することが可能になっています。このAPIについては影響を調査するために数週間にわたってゆっくりと利用可能な人が増加していくとのこと。
◆オリジントライアル
今回の更新から、以下の機能がオリジントライアル入りしています。
・RTCPeerConnectionのgetStats関数のうち、コールバック関数を引数に取る方を非推奨化するもの
・VideoFrameからGPUExternalTextureを抽出できるようになる機能
◆非推奨化される機能
・CollectedClientAdditionalPaymentDataのパラメーターの「rp」は非推奨となりました
WebAuthnに合わせてパラメーター名が「rpId」に変更されるためです。
・document.domainの設定
document.domainの利用によって同一オリジンポリシーの維持が複雑化してしまうためです。
また、Google Chrome 113には15件のセキュリティバグフィックスが含まれています。
なお、次期安定版の「Google Chrome 114」は現地時間の2023年5月30日にリリース予定です。
・関連記事
「Google Chrome 112」安定版リリース、CSSがネストに対応 - GIGAZINE
Chromeの人気拡張機能に「不正なアフィリエイトを挿入するコード」が仕込まれていることが判明 - GIGAZINE
Chromeのシークレットブラウジングは「まったくシークレットじゃない」とGoogle社内でも信頼されていなかった - GIGAZINE
Edgeに「Chromeのダウンロードを中止するように必死で促す新機能」が追加、実際の画面はこんな感じ - GIGAZINE
FirefoxやChromeでMicrosoft DefenderがCPU使用率を異常に跳ね上げるバグが報告される - GIGAZINE
・関連コンテンツ