ネットサービス

GoogleのCEOが「会話型AIのBardを近日中にアップデートする」と発言、GoogleアシスタントとBardが統合する可能性も

by nicodangelo

Googleは2023年2月に対話特化型AI「LaMDA」を利用した会話型AIサービス「Bard」を発表しましたが、爆発的に人気になったChatGPTの登場にGoogleは「コードレッド」を宣言しており、Google社員はBardの性急すぎる発表に不満を抱いていると報道されたり、BardがChatGPTより能力が低いという検証結果が報告されたりと、Bardは未成熟であるという点がたびたび指摘されています。GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏が2023年3月31日にニューヨークタイムズのポッドキャストでインタビューに答え、「近いうちに、Bardのより優れたモデルを用意しています」とより効率的かつ多機能な新モデルを明らかにしました。

Google C.E.O. Sundar Pichai on Bard, A.I. ‘Whiplash’ and Competing With ChatGPT - The New York Times
https://www.nytimes.com/2023/03/31/podcasts/hard-fork-sundar.html

Google CEO Sundar Pichai promises Bard AI chatbot upgrades soon: ‘We clearly have more capable models’ - The Verge
https://www.theverge.com/2023/3/31/23664426/google-bard-ai-chatbot-upgrades-coming-soon-sundar-pichai

Google Bard will soon switch to a more powerful language model, CEO confirms | Engadget
https://www.engadget.com/google-bard-is-switching-to-a-more-capable-language-model-ceo-confirms-133028933.html

Google reorganization in Assistant follows Bard launch, memo says
https://www.cnbc.com/2023/03/29/google-reorganization-in-assistant-follows-bard-launch-memo-says.html

Googleは2023年2月8日に会話型AIサービス「Bard」を発表しましたが、Bardの紹介を行うアニメーション画像で不正確な回答を出していたことでGoogleの親会社であるAlphabetの株価に時価総額約1200億ドル(約15兆円)の損失を与えたり、BardがAIによって生成された文章を読んで自分がすでにサービス終了したと勘違いしてしまったという事件が発生したり、BardはChatGPTのデータでトレーニングされているとウワサされたりと、しばしば問題点が指摘されていました。また、CNBCの取材によると、Google社員が使用する内部フォーラムではBardの発表について「急すぎる」「失敗だ」「Googleらしくない」といった批判的な声が多数挙がっており、Googleおよびピチャイ氏の選択を直接非難するコメントも寄せられていました。

GoogleのチャットAI「Bard」が不正確な答えを出したせいでGoogleの市場価値が15兆円以上下落 - GIGAZINE


ピチャイ氏はBardへの不満について直接回答していませんでしたが、2023年3月31日にニューヨークタイムズのポッドキャストに登場し、インタビューの中でBardの大きなアップデートについて明らかにしました。


ピチャイ氏によると、Bardの元になっている言語モデルの「LaMDA」を、より高性能な「PaLM」モデルにアップグレードする予定とのこと。ピチャイ氏は「BardはLaMDAの軽量で効率的なバージョンで実行されていますが、パワーアップしたコンパクトカーのシビックを、よりパワフルな車とのレースに投入したようなものです」と表現しており、PaLMはそれに比べて多機能で、常識的な推論のほかBardが苦手としていたコーディングや数学の質問といったタスクを処理する能力が高くなっているそうです。Googleの上級製品部長であるジャック・クラウチク氏は「PaLMにより、マルチステップの単語や数学の問題に対するプロンプトをよりよく理解し、応答できるようになりました。コーディング機能は近日公開予定で、新機能を追加した上で効率も改善するバランスを常に目指しています」とツイートしています。


PaLMは約5400億個のパラメータで事前学習済みの言語モデルで、LaMDAのトレーニング用パラメータである約1370億や、ChatGPTに用いられる言語モデル「GPT-3」の約1750億と比較してかなり膨大なパラメータとなっています。


ピチャイ氏はBardの能力が低いと指摘されていたことについて、「AIがタスクをうまく処理できると完全に確認する前に、より機能的なモデルを出さないことが重要でした」と、用心深い姿勢を採っていたことが原因だと話しています。また、LaMDAへの依存がBardの機能を小規模にしたことも認めており、PaLMにゆっくりと移行した上でより多くのユーザーからのフィードバックを受け、Bardの安全性と品質について独自の分析を行うことを保証しました。

Google社内ではBardのアップデートに加えて、BardとGoogleアシスタントを融合するプロジェクトについて動いていることも明らかになっています。CNBCによると、Googleの副社長兼Googleアシスタントの責任者であるシシー・シャオ氏は「GoogleアシスタントとBardチームの変更」というメモを従業員に送り、GoogleアシスタントチームがBardに重点を置くことを示唆したとのこと。


ChatGPTのリリースを受けてGoogleが「コードレッド」を宣言したとニューヨークタイムズが報じていた件については、ピチャイ氏は自身およびGoogleの共同創設者のラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏も含めてコードレッドを社内で発行したことはないと否定し、「スクランブル状態だった開発チーム内でそのような表現をした人がいたのだと思います」と語っています。

ChatGPTのリリースでGoogleは「コードレッド」を宣言、AIチャットボットが検索ビジネスにもたらす脅威に対応するためにチームを再割り当て - GIGAZINE


さらにピチャイ氏は、AIのコントロールを喪失する恐れがあるとして開発停止を求める書簡に1000人以上が署名していたり、AI技術倫理団体が連邦取引委員会にOpenAIによるジェネレーティブAIの展開を「公共の安全に対するリスクを抱えている」として調査依頼したりといった「AIへの懸念」については、「この分野では、懸念を聞くことが重要だと思います。誰もすべての答えを知っているわけではなく、どの企業もそれを正しく理解することはできません。しかし、AIは重要すぎて規制できない分野です」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
GoogleがChatGPTのライバルとなる会話型AI「Bard」を発表 - GIGAZINE

ChatGPTのリリースでGoogleは「コードレッド」を宣言、AIチャットボットが検索ビジネスにもたらす脅威に対応するためにチームを再割り当て - GIGAZINE

GoogleのチャットAI「Bard」はChatGPTのデータでトレーニングされているという指摘も公式は否定 - GIGAZINE

Google社員は「Bard」の性急すぎる発表に不満を抱いている - GIGAZINE

GoogleのAI「Bard」はChatGPTよりもパズルを解くのがはるかに下手 - GIGAZINE

GoogleのチャットAI「Bard」が不正確な答えを出したせいでGoogleの市場価値が15兆円以上下落 - GIGAZINE

「コントロールの喪失」の恐れがあるとしてGPT-4を超えるAIの即時開発停止を全技術者に対して6カ月間求める公開書簡、イーロン・マスクやスティーブ・ウォズニアックなど1300人以上が署名 - GIGAZINE

Googleが視覚とテキストから人間のように理解するロボット向け言語モデル「PaLM-E」を発表、「お菓子を持ってこい」などの複雑な命令も遂行可能 - GIGAZINE

in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article here.