ソフトウェア

地図を読み込ませて機械学習で「レリーフシェーディング」が可能なmacOS向けアプリ「Eduard」


オーストラリアのモナシュ大学でヒューマン・センタード・コンピューティングを研究するベルンハルト・ジェニー准教授らのチームが2020年に発表した研究結果をベースにしたソフトウェアが「Eduard」で、地図に陰影をつける「レリーフシェーディング」を、Macに地図を読み込ませるだけで機械学習で実行してくれるというアプリです。

Eduard Relief Shading
https://eduard.earth/

Eduard: Swiss-style Shading with Machine Learning — Dilpreet Singh
https://dilpreet.co/projects/eduard

地図上では平面に立体的な地形を表現するため、等高線や色分けなどで山並みが表現されています。また、Googleマップでは、例えば以下のように陰影を使って山並みをリアルに表現しています。


地図に描かれている記号を基に正確な陰影を付けるためには、専門知識と経験を持つ熟練の地図製作者による作業が必要でした。実際にスイスの国立地図作成機関であるswistopoでは、陰影を手動で作成してスキャンし、デジタル化しているとのこと。


Eduardはこの陰影制作の作業を機械学習で行うために開発されました。実際にEduardを使って地図に陰影を付けたものが以下。スライドバーを動かすことで、地図の変化を比較することができます。


研究チームによれば、これまでにも地図に陰影を付けるアルゴリズムは多数存在していたそうですが、表現力が十分ではなかったとのこと。シンプルに陰影を付けることは可能ですが、照明の方向を調整したり、明るさを変化させてより大きな地形を強調したりと、地形に合わせて陰影の表現を細かく変化させたりするという「部分的に芸術的で人間らしい部分」を再現するために、機械学習を応用したと研究チームは述べています。

例えば、山頂を目立たせるような「空中遠近法」


細かい地形を省略して縮尺に合わせて調整する「一般化」


地図の方向に合わせて照明の方向を変える「回転」なども、Eduardであれば可能です。


EduardはMac App Storeで、99.99ドル(約約1万3600円)で以下のページから入手可能。また、プリロードされている地図を使ってEduardを試すことができるデモ版も配布されています。対応OSはmacOS 12.3 Monterey以降です。

Eduard – Relief Shading on the Mac App Store
https://apps.apple.com/us/app/eduard-relief-shading/id6443577400

また、以下のムービーでは発表時のデモを映像で見ることができます。

Eduard: beautiful relief shading with neural networks - Bernie Jenny, Monash University - YouTube

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in ソフトウェア, Posted by log1i_yk

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