ポンペイ遺跡には「ローマ時代の瓦のような見た目で景観に溶け込むソーラーパネル」が取り付けられている
イタリアに存在した古代都市ポンペイの遺跡では、素焼きの焼き物であるテラコッタのタイルや瓦に見せかけたソーラパネルが取り付けられ、遺跡の照明に使われる電力を生み出しているとのことです。
Disguising solar panels as ancient Roman tiles in Pompeii
https://techxplore.com/news/2022-12-disguising-solar-panels-ancient-roman.html
Ancient Pompeii site installs 'invisible' solar panels that look like Roman terracotta tiles
https://www.theartnewspaper.com/2023/02/06/ancient-pompeii-site-installs-invisible-solar-panels-that-look-like-roman-terracotta-tiles
イタリアのナポリ近郊に位置するポンペイは、西暦79年に起きたヴェスヴィオ火山の噴火で発生した火砕流で町ごと地中に埋まり、当時の状態が保存されていることで有名です。ポンペイ遺跡を訪れる観光客は年間350万人を超え、イタリアでも有数の観光地として人気を集めています。
しかし、ポンペイ遺跡の規模が大きいことから、全体に電力を供給するシステムは外観を損ねる可能性があります。そこでポンペイ考古学公園は、「テラコッタタイル風のソーラーパネル」を導入しました。ポンペイ考古学公園のディレクターであるGabriel Zuchtriegel氏は、「ローマ人が使用したテラコッタタイルとまったく同じように見えますが、フレスコ画を照らすために必要な電力を生成します」と述べています。
ポンペイ遺跡に設置されているソーラーパネルは、イタリアの家族経営企業・Dyaquaが開発した「Traditional PV Tiles(伝統的な太陽光発電タイル)」です。このタイルは太陽光線を通過させるポリマー化合物と発電モジュールを統合させたもので、ポリマー化合物は人間の目では瓦や石、レンガ、木などに見えるようカモフラージュされています。
すでにTraditional PV Tilesはポンペイ遺跡のテルモポリウム(庶民向けの食堂)や20年に及ぶ修復作業後に公開された邸宅「ヴェッティの家」の屋根に設置されています。
Traditional PV Tilesはイタリア文化財・文化活動省の承認を受けており、ポンペイ遺跡以外の伝統的建築物やイタリア国立21世紀美術館などに設置されているほか、クロアチアやポルトガルの地方自治体とも契約しているとのこと。
Zuchtriegel氏は、「ポンペイは考古学公園ですが、持続可能性と無形遺産を価値化するための現実世界の実験室にもなりたいと思っています」「私たちのイニシアチブは単なる象徴ではありません。毎年ポンペイを訪れる数百万人の観光客を通じて、私たちは『文化遺産は違う方法で、より持続可能な方法で管理できる』というメッセージを送りたいのです」と述べ、ポンペイ遺跡における今後の改修プロジェクトでもTraditional PV Tilesを検討すると説明しました。
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