サイエンス

「ジョン・ウィック」のように真菌を確実に殺す天然物質が発見され「キアヌマイシン」と命名される

by SemiOtaku半宅主義

ライプニッツ天然物および感染生物学研究所(Leibniz-HKI)の研究者が、シュードモナス属というバクテリアの一種から天然の抗生物質を発見しました。この物質は植物にとって害となる真菌を殺菌する強い効果があり、映画「ジョン・ウィック」でキアヌ・リーブス演じる殺し屋にちなんで「keanumycin(キアヌマイシン)」と名付けられました。

Ecological Niche-Inspired Genome Mining Leads to the Discovery of Crop-Protecting Nonribosomal Lipopeptides Featuring a Transient Amino Acid Building Block | Journal of the American Chemical Society
https://doi.org/10.1021/jacs.2c11107

Keanu Reeves, the molecule: New active ingredient from bacteria could protect plants
https://phys.org/news/2023-02-keanu-reeves-molecule-ingredient-bacteria.html

研究チームは、以前からシュードモナス属の細菌を研究しており、細菌をエサとするアメーバにとってシュードモナス属が有毒になることを突き止めていました。シュードモナス属がなぜアメーバを死に至らしめるのかを調査する中で、シュードモナス属のゲノムからある種の非リボソームリポペプチドを発現する遺伝子が発見されたとのこと。

このリボペプチドは3種類存在し、それぞれキアヌマイシンA・キアヌマイシンB・キアヌマイシンCと名付けられています。Leibniz-HKIの研究員で論文の筆頭著者でもあるセバスチアン・ゲッツェ氏は「このリポペプチドは(アメーバへの)殺傷力が非常に高いので、キアヌ・リーブスの名前にちなんで『キアヌマイシン』と名づけました」と述べています。

by Anna Hanks

そして、研究チームはこのキアヌマイシンがアメーバだけではなく真菌に対しても殺傷力があるのではないかと考えました。そこで、灰色カビ病を発症しているアジサイの葉に対してキアヌマイシンを処方したところ、キアヌマイシンが灰色カビ病の原因菌であるボトリティス菌(Botrytis cinerea)に有効であることが判明。また、キアヌマイシンは生分解性で、土壌中に永久に残留することがないということもわかりました。キアヌマイシンは化学農薬に代わる「環境に優しい農薬」としての応用が期待できるというわけです。


加えて、人間にカンジダ症を引き起こす病原性のカンジダ菌(Candida albicans)に対しても高い殺菌効果があることもわかりました。また、キアヌマイシンは植物や人間の細胞に対して毒性が低く、低濃度でも真菌に対して高い殺菌力を見せることから、安全性も高いといえます。研究チームは、キアヌマイシンはカンジダ症などの真菌感染症に対する特効薬の候補としても期待できるとしています。

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in サイエンス,   映画, Posted by log1i_yk

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