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Instagramや出会い系アプリで住所を突き止めストーカーしてきた相手を逆に追い詰めて警察に逮捕させるまでの物語


SaaSスタートアップのTiloresでCEOを務めるスティーブン・レンウィック氏が、Instagramや出会い系アプリのBumble経由で住所を突き止められストーカー被害に遭っていた妹のため、監視カメラや張り込みで証拠を集めて逆にストーカーを追い詰めて逮捕した経緯をまとめています。

How we turned the tables to catch my sister’s Bumble stalker | by Steven Renwick | Jan, 2023 | Medium
https://major-grooves.medium.com/how-we-turned-the-tables-to-catch-my-sisters-bumble-stalker-e1979d39670d

2021年末の早朝、スコットランドに住んでいるレンウィック氏の妹は、隣人から「誰かがあなたの車に落書きしたようだ」と伝えられました。実際に妹が撮影した落書きの写真を見ると、車についたホコリをなぞって「LESBIAN(レズビアン)」などの単語が書かれているのがわかります。妹は通勤のために毎日高速道路を運転しており、車には常時ホコリがついている状態だったそうです。


不快な落書きはその後も続き、妹は週に2、3回は仕事に向かう前に車のホコリを洗い流さなくてはなりませんでした。落書きの内容は非常に稚拙であり、妹から相談を受けたレンウィック氏やその他の兄弟たちは、「おそらく暇なティーンエイジャーの仕業だろう」と推測しました。

ティーンエイジャーが犯人ならいずれ退屈してやめるだろうとレンウィック氏は考えていましたが、その後いたずらはエスカレートしていき、車に卵をぶつけて割ったり、泥やソースを塗りたくったりする被害に発展したとのこと。以下の写真は、車の後部に卵がぶつけられ中身が垂れている様子を撮影したものです。


被害のエスカレートを問題視した妹は、自宅から車を見下ろす位置に動作検知機能がある防犯カメラを仕掛けたほか、レンウィック氏らの兄弟も常時録画タイプのドライブレコーダーを送りました。映像をオンラインでストリーミングするように設定して監視を続けたところ、車にいたずらしている犯人はティーンエイジャーではなく、大柄でマスクをかぶった怪しげな成人の男であることが判明。レンウィック氏は、男が車に落書きしたり卵を投げつけたりしただけでなく、車に向かって排尿もしていたと考えています。

以下の動画には、実際に妹の車に仕掛けたドライブレコーダーが撮影した犯人の姿が写っており、歩き方がやや独特なことも確認できます。

Dashcam video catching my sister's stalker in the act - YouTube


ストーカーは明らかにエスカレートしていたものの、妹が警察に相談しても本格的な捜査には至らなかったことから、レンウィック氏らは自らの手でストーカーを捕まえる計画について話し始めたそうです。ちょうど2022年4月、レンウィック氏は妻と共にドイツからスコットランドに帰省する予定があったため、レンウィック氏の帰省に合わせて兄弟3人で張り込みを行うことにしました。なお、レンウィック氏らは計画を練る際に私人逮捕の要件についても調査し、ストーカーを現行犯で捕まえてから警察に連絡し、警察が到着するまでは拘束することが認められていることも確認したとのこと。

2022年4月のある金曜日の夜、レンウィック氏らは妹とトランシーバーで連絡を取り合いながら、妹の車の近くに止めた自分たちの車に乗り込んで張り込みました。長兄は駐車場に出入りする車のナンバーを記録するほどの念の入れようでしたが、残念ながら初日は空振りに終わったとのこと。


しかし、車へのいたずらが週末に行われることが多いことを知っていたレンウィック氏らは、翌日の夜もめげずに張り込みを行いました。すると、22時過ぎに駐車場へ入ってきた1台の車がヘッドライトをつけたまま待機し、1分ほどですぐに駐車場を出て行ったとのこと。何かおかしいと思ってレンウィック氏らがナンバープレートを確認したところ、同じナンバーの車が前日にも駐車場へやってきていたことが判明しました。

その車は10分後に再び駐車場へ戻ってきて、少し離れたところに車を止めて運転手が降りてきました。運転手は大柄であり、その歩き方はドライブレコーダーに記録された犯人とそっくりだったため、レンウィック氏はこの運転手がストーカーであることを確信したと述べています。

ストーカーはレンウィック氏らが張り込んでいる車の前を通り過ぎ、いったん視界から外れました。レンウィック氏らは現行犯で証拠をつかむため、ストリーミングされたドライブレコーダーの映像を注視していましたが、ストーカーが妹の車の近くに現れることはありませんでした。その代わり、ストーカーはレンウィック氏らの前を通らないルートで自分の車に戻り、車に乗って猛スピードでレンウィック氏らの前を通り過ぎ、駐車場を出て行ったそうです。レンウィック氏は、「ストーカーは明らかに私たちがそこに座っていることに気づいていました」と述べています。


残念ながらストーカーを取り逃がしてしまったレンウィック氏らでしたが、今度はおとなしく警察に連絡しました。すでに妹から相談を受けていた警察はすぐに来てくれたそうですが、ストーカーが乗っていた車のナンバーを伝えると、それはスコットランドではなくイングランドのヨークシャーで登録されているナンバーであり、間違いではないかと返答がありました。

警察は動画を持ち帰ってさらに調べることを約束してくれましたが、レンウィック氏らは独自に調査を進めることにしました。妹に「自分に興味を向けてくる怪しい人物に心当たりはないか」と尋ねたところ、Instagramで繰り返しメッセージを送ってくる怪しい男がいると答えたそうです。妹は山歩きの写真を投稿するInstagramアカウントを持っており、ある男は妹が返信しないにもかかわらず繰り返しメッセージを送ってきたため、妹はやり取りすることなく男をブロックしていたとのこと。男のInstagramアカウントについて調べたところ、妹だけではなく妹の友人のアカウントもフォローしていたため、Instagramでストーリーを共有した際に妹の容姿を確認した可能性があることも判明しました。

また、その男は出会い系アプリのBumbleでも妹にアプローチしており、相手に興味を持っていることを示す「スーパースワイプ」を何度も送っていました。通常、Bumbleではスーパースワイプが受け入れられなかった場合は再度スーパースワイプを送れませんが、男は何度もアカウントを削除して作り直し、スーパースワイプを繰り返し送信していたそうです。なお、男のプロフィール欄では「理想の女性」の項目に妹を示唆する特徴が並べられており、妹がInstagramでスポーツや趣味について触れると、その内容がBumbleのプロフィールにも反映されていたとのこと。


Bumbleはロケーションベースの出会い系アプリであるため、レンウィック氏らが張り込みでストーカーと遭遇した当日、男のアカウントが妹の住んでいる地域まで来ており、ストーカーが逃げていった後は男のアカウントがその地域を離れたことも突き止められました。さらに、レンウィック氏らがInstagramの名前から男の個人情報を探したところ、ビジネス系SNSのLinkedInに登録しており、ヨークシャーの会社に勤務していることも判明。これはストーカーが乗っていた車のナンバーがヨークシャーで登録されていたこととも一致します。

これらの証拠を元に、レンウィック氏らはInstagramで男にメッセージを送信しました。証拠を持っていることを伝えて揺さぶりをかけると、男は「弁解の余地もなく、本当に申し訳ありません。私はうつ病と診断され、冷静に行動することも許容される態度でもいられませんでした。しかし、これは言い訳ではありません。出会い系アプリを含むすべてのソーシャルメディアを削除し、二度とそこに足を踏み入れないと約束します」と自白しました。なお、男はInstagramアカウントでスコットランドの風景写真を投稿しており、数千人のフォロワーを抱えていましたが、その撮影地点の多くは前日に妹が訪れてInstagramに写真を投稿した場所だったそうです。


結局、妹はすべての証拠を警察に提出し、約1週間後に男は逮捕されました。判前整理手続は2022年11月に行われ、2023年1月には実刑判決が下されたことで、レンウィック氏は一連の経緯を説明する気になったとのこと。なお、スコットランドの法定記録を調べれば男の身元は見当がつくものの、レンウィック氏は「私は司法制度を信じていますし、この男の後に魔女狩りが生まれるとも思っていません。彼は罰を受けており、もし半分でも脳みそがあれば、二度とこのようなことはしないでしょう」と述べました。

事件の教訓として、レンウィック氏は「女性の皆さん、一部の気持ち悪い男のために自分の行動を変える必要はありませんが、オンライン、特にソーシャルメディアをオープンにしている場合、自分の位置情報を明らかにする時は慎重にしてください」「男性の皆さん、不気味なストーカーにならないでください。女の子がInstagramでチャットしてくれない場合は、彼女を放っておきましょう。より多くのメッセージを送ったところで、彼女が振り向いてくれるわけではありません。出会い系アプリの場合も同じです。もし彼女があなたとマッチングしないのであれば、それを個人的に受け止めてはならず、次に進みましょう」とアドバイスしています。

さらにレンウィック氏は、アカウントを削除して何度でも新しく作り直せるBumbleの仕組みにも苦言を呈しています。一度スーパースワイプを拒絶されたとしても、アカウントを作り直せば同じ相手に再度スーパースワイプを送信できてしまうシステムは問題であり、ユーザーの安全のためにも、作り直したアカウントに過去の活動をリンクさせる仕組みを導入するべきだと主張しました。

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in メモ,   動画, Posted by log1h_ik

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