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アメリカではキャッシュレス決済の普及によってチップを支払う習慣が混乱している


アメリカでは料金とは別に、サービスを受けたことに対する心づけとしてチップを支払う習慣があります。しかし、キャッシュレス決済の普及によってこれまでチップを渡してこなかった店でもチップが要求されるようになるなど、消費者からはチップという習慣が手に負えなくなってきていると不満の声が上がっています。

Is tipping getting out of control? Many consumers say yes | AP News
https://apnews.com/article/tipping-fatigue-business-c4ae9d440610dae5e8ff4d4df0f88c35

多くの企業がキャッシュレス決済を導入するにつれて、消費者はこれまで支払うことのなかったスポーツ用品店やファストフード店でもチップを支払うよう要求されるようになりました。また、世界的なインフレによる価格の上昇により、一部の消費者はチップに対してフラストレーションがたまっているとのこと。

簡単に無視できる従来のチップと違い、キャッシュレス決済でのチップの要求は消費者へのプレッシャーになり、チップの支払いを回避することは難しいとのこと。さらに、周囲の人も支払い画面を見ることができるため、その人の気前の良しあしが従業員以外にも筒抜けになってしまうことも指摘されています。


伝統的にレストランのような店舗では、従業員への給与が最低賃金よりも低く設定されており、差額は顧客から受け取るチップで埋め合わせることが慣習となっています。しかし、多くの消費者はコーヒーショップやその他の飲食店などでのキャッシュレス決済によって強制的にチップを要求されることにいら立ちを感じているとのこと。マレー州立大学のイスマイル・カラバス氏は「消費者は方法やタイミングによってはチップのような一方的な習慣を嫌がる傾向にあります」と述べています。

ペンシルベニア州の電力会社で働くクラリッサ・ムーア氏によると、レストランやコーヒーショップ、ファストフード店などでチップを要求されるだけでなく、最近は住宅ローン会社からもチップを要求されるようになったとのこと。ムーア氏は「さまざまな店舗でチップを要求されることは嫌な気分になりますが、払いたくないからといってチップを支払わないと、より気分を害することになります」と述べ、消費者がどこに行っても半強制的にチップを要求されることに不満の声を上げています。


カラバス氏は「過去にサービス業で働いた経験がある人は、従業員に対してチップを支払うことは当然だと思っている一方、他の消費者はチップを強制的に要求されることにいら立ちを感じると、その店に再度足を運ぶ可能性は低くなります」と述べています。また、実際に支払う金額が高額になるほど、消費者はチップの要求に対してそれほどいら立ちを感じなくなるとのこと。

ニューヨーク州在住のマイク・ジャナヴィー氏は「店員に賃金を支払うことは会社の仕事で、消費者が商品やサービスの代金だけでなくチップとしてさらにお金を支払うことは間違っています」と述べています。


作家のリジー・ポスト氏らは著書「Emily Post's Etiquette」の中で、「カフェやテイクアウトの飲食店でいくらチップを支払うかを選択するのは人それぞれであり、最低限のチップを支払うことを恥じる必要はなく、チップを支払わない場合でも理由を説明する必要はありません」と述べています。

一方で、フィラデルフィア州のカフェでバリスタとして働くディラン・シェンカー氏は、時給15ドル(約1950円)で働く一方、毎月約400ドル(約5万2000円)をチップで稼いでいるそうです。シェンカー氏は稼いだチップで毎月の家賃をまかない、大学院に通いながら仕事をこなしています。シェンカー氏は「高価なコーヒーを飲む余裕がありながら、チップに文句を言う消費者に共感することはできません」「チップとは、サービスを提供してくれる人たちに対して当然支払うべきものです」と述べています。

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in メモ, Posted by log1r_ut

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