2年間に渡って10代の少女に匿名でネットいじめを行っていたのはなんと少女の母親だった
SNSで架空のプロフィールやIDを作成して相手をだまそうとする行為は「キャットフィッシング」と呼ばれ、子どもや若者を狙う性犯罪者の手口として利用されています。アメリカ・ミシガン州イザベラ郡のビール市で起こった10代の若者2人を標的としたキャットフィッシングについて、2年にわたってストーカー行為や嫌がらせメールの大量送信を行ったとして起訴された42歳の女性が、なんと被害者の母親だったことがわかりました。
Beal woman arrested in sophisticated catfishing scheme involving daughter – The Morning Sun
https://www.themorningsun.com/2022/12/13/beal-woman-arrested-in-sophisticated-catfishing-scheme-involving-daughter/
Mt. Pleasant woman charged in catfishing scheme involving her daughter – The Morning Sun
https://www.themorningsun.com/2022/12/14/mt-pleasant-woman-charged-in-catfishing-scheme-involving-her-daughter/
ケンドラ・リカリ被告人(以下の写真)は自分の娘とそのボーイフレンドに、自分の身元を隠しながらメールとSNSで嫌がらせのメッセージを送りつけました。2年間にわたって送られたメールの内容をまとめた資料は全部で349ページにもわたるほどだそうです。
検察官のデイブ・バーベリ氏によれば、リカリ被告人は若者が使うスラングや略語を使うことで自分の年齢を偽ったほか、VPNを使って自分の居場所を偽装し、遠く離れたフロリダなどからメールを送っているように見せかけていたとのこと。
事件の発覚は2021年12月のことで、リカリ被告人の娘とそのボーイフレンドが学校に相談したことから調査が始まりました。しかし、地元の役人が調査しても、問題のほとんどは学校の敷地外で起こっており、学校のデバイスは関係なかったことが判明。このことから2022年1月にビール市は法執行機関に支援を求めることを決定しました。
地元の法執行機関は調査の中で、リカリ被告人が関与している可能性を疑っていたものの、コンピューター犯罪捜査能力に限界があり証拠をつかめなかったため、2022年4月にFBIへの協力をあおいだとのこと。FBIは最終的にメッセージの送信に使用されたIPアドレスを特定し、それがリカリ被告人のものであることを突き止めたそうです。
その後、法執行機関がリカリ被告人に詳細を尋ねたところ、リカリ被告人が容疑をすべて認めたために逮捕。その後、5000ドル(約70万円)の保釈金で保釈されています。その後、リカリ被告人は「未成年者へのストーカー行為」2件と「コンピューターを使用した犯罪」2件、「司法妨害」1件で起訴されました。この司法妨害罪について、検察は「リカリ被告人が捜査中に別の未成年者を装い、捜査をかく乱させようとした」と主張しています。
コンピューターを使用した犯罪は懲役10年、未成年へのストーカー行為と司法妨害はそれぞれ懲役5年となるため、リカリ被告人には最大で20年の懲役が科される可能性があります。なお、リカリ被告人は娘が通う学校の女子バスケットボール部のコーチを務めていましたが、事件をきっかけに解雇されたとのことです。
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