Googleは検索結果が「不正確」なら削除しなければならないとの判決、「忘れられる権利」拡張へ

欧州連合における最高裁判所に相当する欧州司法裁判所が2022年12月8日に、EUにおいては情報が「明らかに不正確」なことが証明されれば、自分に関する検索結果を削除するようGoogleに要求できるとの判決を下しました。これにより、「忘れられる権利」を行使できる事例がより多くなると報じられています。
Right to erasure (‘right to be forgotten’): the operator of a search engine must dereference information found in the referenced content where the person requesting dereferencing proves that such information is manifestly inaccurate
(PDFファイル)https://curia.europa.eu/jcms/upload/docs/application/pdf/2022-12/cp220197en.pdf
Google must delete search results about you if they’re fake, EU court rules – POLITICO
https://www.politico.eu/article/google-delete-search-result-fake-eu-court-rule/
Google must remove search data if proven inaccurate, EU court says
https://www.siliconrepublic.com/enterprise/google-search-data-eu-gdpr-whatsapp
今回の判決は、ある投資会社グループの幹部2人がGoogleを相手に起こした裁判がきっかけです。この訴訟の中で原告は「自分たちの名前で検索すると会社の投資法について不正確な記載がある記事が表示される」として、当該記事へのリンクや自分たちのサムネイル画像を検索結果から削除するようGoogleに求めました。これに対しGoogleは、「記事に含まれる情報が正確かどうかは判断ができない」として、要求を拒否していました。
この争訟に対し、欧州司法裁判所は「表現の自由と情報の自由は、少なくとも参照されたコンテンツに含まれる情報の一部で、かつ重要性が低くない部分が不正確であることが判明した場合には、考慮されない」と述べて、不正確であることが証明された情報は表現および情報の自由の対象外であるとの見方を示しました。

一方、検索結果の削除を要請する人に対しては、「参照の解除を要求した者はその情報が明らかに不正確であることを証明しなければならない」として、情報の不正確さの証明が義務づけられました。ただし、この場合の証明は、例えば書籍の内容について出版社を相手に訴訟を起こすような厳格な証拠である必要はなく、「情報を収集するにあたって合理的な範囲で要求される証拠」で足りるとのこと。
今回の判決は、EU一般データ保護規則(GDPR)で規定された「忘れられる権利」の行使に向けた門戸を広く開けるものであると位置づけられています。法律事務所・Addleshaw GoddardのパートナーであるRoss McKenzie氏は、「EUは、オンラインサービスプロバイダーがホストする情報に対してより多くの責任を負わせるという、ますます積極的なアプローチを取っています。なぜなら、誤った情報が共有されると個人にとって重大な結果がもたらされることがあるからです。よって、サービスプロバイダーは提供するコンテンツを確実に監視するための取り組みを継続する必要があります」とコメントしました。
また、Googleは「私たちは今回の判決を歓迎しており、目下裁判所の判決文を精査しているところです。この裁判で問題だったリンクとサムネイルは検索や画像検索では利用できなくなっているほか、問題のコンテンツもずっとオフラインでした」と述べました。
欧州司法裁判所は、プライバシーに関してもう1件重要な判決を下しています。それは、Facebook傘下のメッセージアプリであるWhatsAppが「個人情報の使用に関する説明を怠っていた」として当局に2億2500万ユーロ(当時のレートで約290億円)の罰金を科されていた一件に関する判決です。
Facebook傘下のWhatsAppに罰金290億円の判決、EUの圧力で罰金額は4倍超に跳ね上がる - GIGAZINE

当局の決定を不服として控訴していたWhatsAppに対し、欧州司法裁判所は「WhatsAppの主張は認められない」として控訴を棄却する(PDFファイル)判決を下した上で、GDPR監視機関の決定についてはEUではなく国内の裁判所に対して異議を申し立てることができると指摘しました。
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in ネットサービス, Posted by log1l_ks
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