NVIDIA純正グラボ「GeForce RTX 4080 16GB Founders Edition」の性能を確かめてみた、高画質・高フレームレート&レイトレーシング対応でゲームが楽しめる
NVIDIAのGPU「GeForce RTX 4080」はAda Lovelaceアーキテクチャ採用の第3世代RTコアとAI処理に特化した第4世代Tensorコアを搭載し、NVIDIA DLSS 3によって高解像度・高ハイフレームレートのパフォーマンスが向上したNVIDIAのGPUで、2022年11月16日(水)23時に解禁されます。このGeForce RTX 4080を搭載したNVIDIAの純正グラフィックスカード「GeForce RTX 4080 16GB Founders Edition」がどれだけの性能を持っているのかを調べるべく、ベンチマークを走らせたりゲームを遊んでみたり動画を編集してみたりしてみました。
ゲーミング用 GeForce RTX 4080 グラフィックス カード - NVIDIA
https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/graphics-cards/40-series/rtx-4080/
GeForce RTX 4080 16GB Founders Editionの外観とPCに組み込むところは以下の記事で読むことができます。
NVIDIAの第3世代RTX GPU「GeForce RTX 40シリーズ」を搭載したメーカー純正グラボ「GeForce RTX 4080 16GB Founders Edition」をPCに組み込んでみた - GIGAZINE
まずはMSI KombustorのFurMark Donuts 6500MBの解像度3840×2160ピクセルでストレステストを行ってみました。グラフィックボードの情報を取得できるツール・GPU-Zによると、ストレステストを行う前の状態ではGPU温度が34.9度、ホットスポット(最高温)が44.1℃でした。
レビューを行った部屋の室温は20度。温度がわかる赤外線サーモグラフィカメラ・FLIRで測定すると、GeForce RTX 4080 16GB Founders Editionの表面温度は22.7度でした。
ストレステストを開始。
表示しているGPU温度のモニターを見ると、ストレステストを開始してすぐに温度が上昇し、67度付近まで上昇。
GPU使用率は100%。GPUの熱設計電力もほぼ100%。
GPU-ZのモニタリングではGPU温度が68.1度で、ホットスポットが79.2度でした。
FLIRでRTX 4080 16GB Founders Edition本体を見ると、表面温度は約50度まで上昇していました。
通気口がある側面は47.2度。
補助電源コネクタも46.7度でした。
NVIDIA公式のベンチマークツール「FrameView」で開始から5分の温度を計測した結果をグラフにするとこんな感じ。だいたい65度前後まで温度は上がりますが、そこから横ばいになっています。
GPUの電力消費は200W前後で横ばい。最大で約230Wでした。
ストレステスト終了後にGPU-Zを見ると、GPU温度とホットスポットは急激に下がっていき、わずか1分でGPU温度36.0度・ホットスポット45.5度にまで冷えました。RTX 4080 16GB Founders Editionは金属製のフレームとファンを2つ搭載していることもあり、冷却性能はかなり高い模様。
次に、MSI-1・OpenGLのベンチマークテストを解像度3840×2160ピクセルで走らせてみました。
結果は5666ポイント。MSIのスコア集計サイトではRTX 30シリーズのスコアが解像度1920×1080ピクセルでだいたい4500前後なので、大きくスコアを伸ばしているといえます。
次にFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを回してみました。解像度は3840×2160ピクセルのフルスクリーンで、設定はすべて最高の状態。NVIDIA DLSSはオンにしています。
結果は1万1034ポイントで、「とても快適」という評価。上位モデルのGeForce RTX 4090を搭載したグラフィックボード・TUF-RTX4090-24G-GAMINGでは同じ設定で1万2422ポイントだったので、スコアはわずかに下がっているものの、プレイには支障のないレベルといえます。
NVIDIA RTX40シリーズはAda Lovelaceアーキテクチャ採用の第3世代RTコアとAI処理に特化した第4世代Tensorコアを搭載しています。RTX 40シリーズで対応した「NVIDIA DLSS 3」はフルレイトレーシングでレンダリングした映像を高解像度・高フレームレートで描画するための第3世代RTX技術です。
レイトレーシングは光線が物に跳ね返って目に入ってくるまでをシミュレートし、よりリアルな描画を行うための技術です。レイトレーシングがどういうものかを体験するため、Windows版マインクラフトでNVIDIAが公式に配布しているRTX対応リソースマップ「Minecraft with RTX」をプレイしてみました。
以下はレイトレーシング機能をオフにした状態。目の前には湖があり、その上には城が建っています。
設定の「一般」にある「ビデオ」で、「レイトレーシング」をオンにします。
レイトレーシングをオンにするとこんな感じ。湖の水面に城や橋、地形が反射して映っており、光の雰囲気もかなり変わっています。
以下の中央にあるスライドバーを動かすと、湖の向こうに沈む夕焼けのシーンをレイトレーシングオフの状態(左)とオンの状態(右)で見比べることができます。水面に光が反射している様子だけではなく、夕日から放射される光の拡散と乱反射で、空気の存在もはっきり演出されているのもわかります。
木と木の間から差し込む木漏れ日も、レイトレーシングならでは。
暗闇に光る溶岩もただ赤いだけではなく、まぶしさを感じるほどに輝いています。また、溶岩からの光が壁に当たってつくる影の暗さや境界線のボケ具合はかなりリアル。
そして、NVIDIA DLSS 3は「AIによる超解像度技術でフレームを高解像度化」と「AIのピクセル予測によるフレーム補間」によって、GPU負荷を下げながら高解像度・高フレームレートの映像を描画できます。光の反射を計算するレイトレーシングはかなりの演算リソースを消費してしまうため、レイトレーシングをオンにした状態で高解像度・高フレームレートを描画するのは難しいものがありました。しかし、NVIDIA DLSS 3はAIによってGPUの演算負荷を大きく下げるので、レイトレーシングをオンにしたまま、高解像度・高フレームレートの描画を可能にします。
Microsoft Flight SimulatorはNVIDIA DLSS 3に対応しているタイトルの1つなので、実際にNVIDIA DLSSによるフレーム生成を体験してみました。以下はMicrosoft Flight Simulatorの設定画面で、NVIDIA DLSSスーパー解像度とNVIDIA DLSSフレーム生成のオン・オフを切り替えることができます。NVIDIA DLSSフレーム生成はRTX 40シリーズのグラフィックボードでなければ使うことができません。
まずはNVIDIA DLSSフレーム生成をオフにした状態。解像度は3840×2160ピクセルで、画質は最高設定の「ウルトラ」です。基本的には普通にプレイできていますが、やはりカメラを大きく動かすとカクカクしてフレームが飛んでいるのが露骨にわかります。
FPSは最大で約60。PCL(PCレイテンシ)は約90msでした。
次に、設定から「NVIDIA DLSSフレーム生成」をオンにしてみます。
すると、画質は変わりませんが、オフの状態で見られたカクカクした動きがなくなり、スムーズに描画されます。
FPSは121まで出ており、PCレイテンシも約60msと下がっています。
実際に以下のムービーを見ると、「NVIDIA DLSSフレーム生成」をオフにした状態とオンにした状態で動きにどう違うのかがよくわかります。ムービーの前半40秒が「NVIDIA DLSSフレーム生成」オフの状態、再生時間50秒当たりから「NVIDIA DLSSフレーム生成」オンの状態になります。
NVIDIA DLSS 3に対応したGeForce RTX 4080搭載マシンで4K解像度・最高画質・高フレームレートでMicrosoft Flight Simulatorをプレイ - YouTube
そして、GeForce RTX 4080はハードウェアエンコーダー「NVENC」とハードウェアデコーダー「NVDEC」を搭載しており、初めてAV1のハードウェアエンコーディングに対応。最高8K解像度動画のAV1による高速なエンコードが可能になっています。
そこで、AV1エンコードに対応した動画編集ソフト・DaVinci Resolve Stadioで、解像度3840×2160ピクセル・再生時間5分54秒のMP4 H.264ムービーをNVENCによるH.264・H.265・AV1でエンコードしてみました。
どのコーデックでも、エンコード中のNVENCの使用率は50%前後、NDECの使用率は40%前後でした。
書き出しにかかった時間は以下の通り。最も書き出しが早かったのはH.264で、遅かったのはAV1でした。ただし、いずれのコーデックでも5分台で書き出し完了しています。
書き出した後のサイズは以下の通りで、やはり最もファイルサイズが大きくなったのがH.264でした。AV1はH.264の半分以下にまで圧縮できていることになります。
さらにGPUの演算性能を知るべく、XMRigによるRandomXマイニングを行ってみました。
ハッシュレートは2155~2166H/s。VRAM 12GBを搭載するGe Force RTX 3060だと700前後だったので、やはり前世代から大きく性能が向上していることがわかります。
GeForce RTX 4080 16GB Founders Editionは2022年11月16日23時販売解禁で、価格は「21万9800円より」となっています。従来のグラフィックボードから考えるとかなり高価格帯ではありますが、NVIDIA DLSS 3によるゲーム描画性能やAV1のハードウェアエンコーディング対応、さらに高い冷却性能を見ると、GeForce RTX 40シリーズは前世代から大きく進化したGPUに仕上がっているといえ、これからのゲーミングや動画編集を行うには十分といえます。ただし、グラフィックボードのサイズがかなり大きいという部分がネックなので、RTX 40シリーズを生かしたい人はPCケースから考える必要があります。
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