Appleが最大2500億円の損害賠償金を科せられる可能性のある集団訴訟に直面
Appleは公式アプリストアのApp Storeで、サードパーティーの開発者に対して30%の手数料を課しています。この手数料が不当に高額であるとして、イギリスのデジタル経済専門家がAppleに対して集団訴訟を提起しました。
Judgment (CPO Application) | Competition Appeal Tribunal
https://www.catribunal.org.uk/judgments/14037721-dr-rachael-kent-v-apple-inc-and-apple-distribution-international-ltd-judgment
Apple WILL face courtroom showdown in the UK over its App Store | Daily Mail Online
https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-10973445/Apple-face-courtroom-showdown-UK-App-Store.html
FOSS Patents: UK consumer class action against Apple's app tax passes legal and factual plausibility test: Competition Appeal Tribunal gives guidance, lets case go forward
http://www.fosspatents.com/2022/07/uk-consumer-class-action-against-apples.html
Hausfeld & Co LLP: Confirmed – Apple WILL Face Courtroom Showdown in UK, as Tech Giant’s Attempt to Weaken Collective Lawsuit is Rejected by Specialist Competition Court | Business Wire
https://www.businesswire.com/news/home/20220701005259/en/Hausfeld-Co-LLP-Confirmed-%E2%80%93-Apple-WILL-Face-Courtroom-Showdown-in-UK-as-Tech-Giant%E2%80%99s-Attempt-to-Weaken-Collective-Lawsuit-is-Rejected-by-Specialist-Competition-Court
20 million U.K. iPhone, iPad users could get compensation in £1.5B lawsuit | iMore
https://www.imore.com/20-million-uk-apple-users-could-get-compensation-ps15b-lawsuit
AppleはiPhoneやiPad、Macなど向けのアプリを公式アプリストアのApp Storeで配信していますが、このApp Store経由でアプリを配信する場合、サードパーティーのアプリ開発者からは売上の30%を手数料として徴収しています。この30%の手数料が高額過ぎるということでゲームメーカーのEpic Gamesが訴訟を起こして以来、日本を含むイギリス・オランダ・オーストラリア・韓国・インドなどの規制機関がAppleに対する調査を進めています。
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これらの動きに呼応して、イギリスではデジタル経済専門家のレイチェル・ケント博士が「App Storeの高額過ぎる手数料が原因で、イギリスの1960万人のiPhoneおよびiPadユーザーが、過大請求を受ける羽目になった」として、競争控訴裁判所でAppleに対して集団訴訟を提起しました。
ケント博士はAppleがサードパーティー開発者に対して課している「30%の手数料」が高額過ぎるため、アプリ開発者はアプリの本体価格やアプリ内課金の価格を引き上げざるを得なくなっており、そのあおりをユーザーが受けていると主張。さらに、Appleの慣行はイギリスの独占禁止法に違反しており、「Appleのモバイルプラットフォームが競合他社にも開かれたものであったなら、このような法外な手数料を設定することはできなかっただろう」とも主張しています。
ケント博士が提起した訴訟に対して、2022年5月に行われた法廷審問の中で、Appleは「ケント博士は誤った法的証明を行っているため、訴訟の中で展開されている主張は不完全なものである」と主張。しかし、競争控訴裁判所はApple側の主張を棄却したため、Appleは法廷でケント博士ら被告側と係争せざるを得なくなりました。
競争控訴裁判所のベン・ティズウェル会長は、「ケント博士の法的証明は正しいものであるため、彼女が主張するAppleの不公正で過度の価格請求について、裁判で判断する必要がある」「App Storeについては多くの人が訴訟を起こそうとしていますが、それぞれの請求額は比較的少なくなってしまうため、個人ベースで訴訟を起こすのは明らかに不経済です」と語っています。
ケント博士の集団訴訟で得られた損害賠償金を受け取る権利を有するのは、「2015年10月1日以降の任意のタイミングでイギリスのApp Storeで有料アプリ・有料サブスクリプション・アプリ内課金を行ったiPhoneあるいはiPadユーザー」です。訴訟では最大1960万人の消費者が損害賠償金を受け取ることになると予測されており、損害賠償金は最大15億ポンド(約2500億円)になると推計されています。
ケント博士とAppleの裁判は早ければ2023年にも行われることとなります。
なお、一足早くAppleおよびGoogleのアプリストア独占状態を解消すべく動き出していた韓国では、「アプリ内決済手段の強要」を禁じる法案が成立し、Appleはサードパーティーの支払いシステムの利用を認めると発表済み。
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さらに、Appleは2022年6月30日に韓国のアプリ開発者向けにApp Store以外の支払いシステムの利用を解禁すると発表しました。アプリ開発者がサードパーティーの支払いシステムを利用したい場合、Appleに申請する必要があるとのこと。これにより、最大4%の手数料の割引を受けることが可能となるそうです。
Update on apps distributed in South Korea - Latest News - Apple Developer
https://developer.apple.com/news/?id=q0feipe4&1656574242
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