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Appleはソニー・任天堂・Microsoft・Activisionといった名だたる企業の合算よりもゲーム分野で高い営業利益をあげている


AppleはPlayStation 5やNintendo Switchといったゲーム機を製造しているわけでも、フォートナイトやApex Legendsのような人気ゲームを開発しているわけでもありませんが、世界最大級のゲーム会社となりつつあります。AppleのApp Storeがゲームアプリから得る収益はすさまじく、2019年におけるゲーム分野での営業利益は、Microsoft・任天堂・Activision・ソニーといった名だたるゲーム関連企業の営業利益を合算したものよりも上だったとウォール・ストリート・ジャーナルが指摘しています。

Apple Doesn’t Make Videogames. But It’s the Hottest Player in Gaming. - WSJ
https://www.wsj.com/articles/apple-doesnt-make-videogames-but-its-the-hottest-player-in-gaming-11633147211

Apple earns more from gaming than Sony, Nintendo, Microsoft, Activision combined - AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/10/03/apple-earned-more-from-gaming-than-sony-nintendo-microsoft-activision-combined

AppleとEpic Gamesの法廷闘争の中で行われた証拠開示手続きにより、ゲーム業界に関わるさまざまな重要書類が公開され、Appleの業務に関する詳細が明らかになっています。この開示された情報の一部をウォール・ストリート・ジャーナルが分析したところ、2019年度(2019年10月~2020年9月)におけるAppleのゲーム分野からの営業利益は推計85億ドル(約9400億円)にもおよび、同期間におけるMicrosoft・任天堂・Activision・ソニーのゲーム分野における営業利益の合計を上回っていたとのこと。

ただし、Appleは証拠開示手続きで明らかになったこれらの数字について、「これらの数字は正しくなく、実際よりも高すぎる」と述べています。具体的には、App Storeの開発・維持にかかるコストが考慮されていない数字であるとのこと。


Appleがゲーム分野で大きな利益を上げられる理由は、App Storeで配信するサードパーティーアプリから売上の30%を配信手数料として徴収しているため。モバイルアプリの市場調査を行うSensor Towerによると、オープンワールドRPGの「原神」はリリースからわずか6カ月でApp StoreとGoogle Playでの売上が10億ドル(約1100億円)を突破しており、このうち約60%がApp Store経由での売上であるとのこと。つまり、10億ドルの60%である6億ドル(約670億円)がApp Storeでの売上であるため、その30%に当たる1億8000万ドル(約200億円)がApple側に手数料として支払われているという計算になります。

わずか半年で1000億円超の売上を記録した「原神」はモバイルアプリゲームとして最速で売上を伸ばしている - GIGAZINE


Sensor Towerによると、2020年に世界中のユーザーはApp Store上のモバイルゲームに450億ドル(約5兆円)を費やしており、そのうちの約31%は中国、26%はアメリカが担うそうです。ここからAppleが得た利益は推定135億ドル(約1兆5000億円)で、これはAppleの売上の約5%に相当します。

裁判所に提出された文書によると、2017年にはApp Storeのゲームユーザーのわずか6%でその年のApp Storeのゲーム関連売上の88%を占めていたことも明らかになっています。この上位6%のゲームユーザーは、1人あたり年間750ドル(約8万3000円)以上をモバイルゲームに費やしているとのこと。

また、テクノロジーコンサルティング会社のActivateは、ゲーム市場の全世界累計の売上は2016年と比較して、2024年には約2倍の1980億ドル(約22兆円)に到達すると予測しています。この成長の大部分はモバイルゲーム分野によるもので、1980億ドルのうち1030億ドル(11兆4000億円)がモバイルゲームによる売上になるとActivateは予測しました。こういったモバイルゲームの躍進が、今後のAppleの成長を後押しすることも予想されます。


しかし、Appleは独占禁止法違反で複数の規制当局から目をつけられているだけでなく、Epic Gamesとの法廷闘争にも直面しており、今後、これまでのApp Storeの在り方を修正せざるを得ない状況に直面する可能性も十分にあります。

また、近年のゲーム業界をけん引してきた中国で、「子どもの1週間のオンラインゲームのプレイ時間を3時間までに制限する規則」などのゲーム関連の厳しい規制が施行されていることも、Appleのゲーム分野での収益を鈍化させる懸念のひとつとして挙げられています。

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in モバイル,   ゲーム, Posted by logu_ii

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