火星から「日食」を高解像度で撮影した動画が公開される
2021年2月に火星に着陸したNASAの探査機「パーサヴィアランス」が、火星から天体の太陽面通過を撮影することに成功しました。撮影された動画はNASAのジェット推進研究所によりYouTubeにアップロードされています。
NASA's Perseverance Rover Sees Solar Eclipse on Mars - YouTube
This 40-second solar eclipse seen from the surface of Mars is sublime | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2022/04/nasa-rover-captures-an-amazing-view-of-a-solar-eclipse-on-mars/
NASA's Perseverance rover captures video of solar eclipse on Mars
https://phys.org/news/2022-04-nasa-perseverance-rover-captures-video.html
以下がパーサヴィアランスが撮影した日食の様子。画面中央に大きく写っているのは太陽です。
その太陽に重なるように右上から謎の天体がせり出し……
左下に突き抜けていく様子が分かります。
太陽を食(は)んだ天体は火星の衛星の1つ「フォボス」です。フォボスは月よりもはるかに小さく、直径わずか20kmほどの天体で、月とは異なりゴツゴツした形をしています。またその小ささから、月と太陽で見られるような皆既日食は火星から見ることはできません。
なお、火星から撮影した日食の映像が公開されたのは今回が初めてではありません。NASAは以前から複数の探査機を火星に送りこんでいますが、そのうちの1つ「キュリオシティ」が2013年に日食の映像撮影に成功しています。キュリオシティは2019年にもフォボス及び火星の第2衛星「ダイモス」が太陽面を通過した映像を捉えていますが、いずれも鮮明ではなく、白黒の映像となっていました。以下の動画はキュリオシティが2019年に捉えた日食の映像です。
Curiosity Snaps Solar Eclipses on Mars - See Phobos and Deimos - YouTube
火星を周回するフォボスは火星に潮汐(ちょうせき)力の影響を及ぼしており、部分的に地殻やマントルをわずかに変形させているとのこと。重力によりフォボスの軌道もゆっくりと変化しており、これらの要素から天体物理学者は火星の内部がどれほどの柔らかさなのかを理解し、地殻とマントルがどのような物質からできているのかについて推察することができるようになります。
なお、今回の映像は4億画素超えの火星のパノラマ写真も撮影した高性能カメラ「Mastcam-Z」によって撮影されたもの。NASAは今回の映像を「これまでの中で最も高いフレームレートかつ最も深いズームで撮影されたフォボスによる日食映像」と評価しています。
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